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大ゼランドニと共に聖地を巡っていく旅に出たエイラは、行く先々で、その希なる力を見せつけていた。
癒やして回るのは意に添うことだったが、力を見せつけることは決して意に添うことではない。知れず目だってしまう容貌とは裏腹に、エイラは注目されることを好まなかったし、それでなくとも人目を惹くものが多くあったのだ。
後一冊を残すところとなったこの中巻は、西ヨーロッパの洞窟絵画を紹介して回るガイドブックにもなっている。丹念な描写は、描かれた当時を再現しているかのようで、残念ながら、それに比べると、人の営みがいささか軽んじられているかのような力の入れ具合だった。
それでも今回特筆に値するのは、3万5千年前の人々の裁きだろう。
人々に力を誇示し、無法をして回った男たちを捕まえたエイラは、その裁きの一助となる発言をすることになる。
女神へ返すことしかできない歪みもあるのだと。
その後、いくつかのできごとの後、この問題は終結を見るが、それはエイラにとって、ゼランドニアにとって好ましいものではなかった。この問題が、後に及ぼすものは何か、注意深く見守りたい。
エイラの大いなる旅路に、道標として立ついくつかのできごとが、次に来る最終巻にすべて収束していくのだろうか。
そして、さらなる道は示されるのだろうか。
ともかくも、次が最後である。
某サイトより転載