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すでに多くの方が指摘されているように数あるビッグデータ本の中で、「ビッグデータとは何ぞや」ということがよく分かる良本。
つまり、ビッグデータとは、
“世の中を、因果関係ではなく相関関係でとらえられるようなること”
ということ。
人の居場所や動きを含めたさまざまなものがデジタルデータ化され、コンピューターの処理能力・計算能力が飛躍的に高まり、高度なアルゴリズムが開発されたことによって、世界を数量的に捉えて解き明かすことができるようなった、それがビッグデータ時代ということらしい。
統計学は、無作為抽出により少数のデータでも正確な分析ができることを発見したことから発展するのだが、今日、全てのデータが扱えるようになったことで、無作為抽出ということが意味がなくなった。
相関の高そうな関係に目星をつけて仮説を立て、無作為抽出の精度の高いデータを集めて因果関係を証明するという必要がなくなったということ。
理論ではなく、膨大なデータが何かを語りだすのである。
本書はプライバシー問題についての懸念にも触れている。ビッグデータ時代のプライバシー保護は、データ収集時の同意、匿名化という対策では対応できなくなる。(データを二次利用することに意味があるのだし、別のデータの対応関係から匿名性はすぐに破られるということ。)
これについては、今後の課題ではあるが、データを扱う側に説明責任を負わせることが必要だとの意見はその通りだと思う。
ビッグデータ時代、我々は過去の行動の囚人になりかねないが、過去の行動をもとに未来が予測されるのであれば、厄介な問題を回避して良い結果になるよう対策を取りやすいともいえる。
最後に紹介されているヘンリー・フォードの「車がない時代に、人々に何が欲しいかと尋ねれば、もっと早い馬が欲しいと答えただろうが、車が欲しいとは誰も言わないだろう」との言葉に、ビッグデータ時代のあるべき姿を見たような気がした。
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難しすぎず、かといって表面的な説明に終始することもなく、ほどよい難易度。しかも読み終えた後には、世の中の動きに少しだけ敏感になれたような充足感。
黒い背景に青い文字。しかも「ビッグデータの正体」なんて言う、愛想もなにもないタイトルですが、少しでも「ビッグデータ」という言葉が心に引っかかっている人にお薦めです。
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随分フィーバーしている「ビッグデータ」。冷静に「ビッグデータ」という言葉を考え、理解してみたくて、購入。単一の企業で「ビッグデータ」を扱うビジネスしているのは、日本だけでも1000社に満たないのではないか、なんて思ってますが、どうだろうか。
ということで、読了。全部で300ページ程度あり、読みごたえは十分。
いろいろな解説・考察があり全体感を持つのに有効。
特に、ポジティブ・ネガティブの両面に触れている点は、客観的にとらえるのにプラス。ビッグデータに取り組む際のリスクやガバナンスについては、考慮が足りてなかったと感じた。
後半に登場してくるビッグデータ企業の分類は、今後多用されてくるような気がする。
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本書はビッグデータがもたらす世界について書いた本である。
良くも悪くも、とても示唆が多く、同時に考えさせられる本だった。ビッグデータというのは、良く言われるのがfacebookのいいね!とかそういうのですらデータ化されるものであるという言われ方をさせるが、本書でのビッグデータのニュアンスとしては、世の中をほとんど情報化させるものという、やや誇張したような(?)使い方をしていた。
とはいえ、とても考えさせられる一冊だった。まず、データの数が世の中の全てとイコールであるとして、それらを分析してしまえば例えデータの質が悪かろうと正しい答えが見えてくる、という主張があったが、あくまでもこれは本当に世の中のすべてのことがデータ化されていれば、の話に限られたことであって、本書の途中で(統計学で言う所の)標本変動はなくなると指摘されているが、そもそも完全にデジタル化されていない世の中に至っては、デジタルディバイドが存在している以上セレクションバイアスは必ず発生しているため、単なる机上の空論に過ぎないのではないか、と思ってしまう部分があった。なので、この本書での指摘がリアリティを持つのは、相当なステップの先だろうなと感じた。
また、求めたい値が分かれば因果ではなく相関関係だけを明らかにすれば良い、という主張があったが、これは正しくないと思う。確かにアマゾンのユーザーに類似のサービスを告知したりする機能など、相関関係によって便益を生むケースももちろんあるが、相関だけではなく因果でないと見えてこない議論だってたくさんある。要は、それぞれの特性の優位性を考えた上で、適材適所で使い分けることが大事なのだと思う。
最後に、ビッグデータのはらむ危険性について述べた箇所を読んでいて思ったのは、やっぱりものごとは根本が大事であって、そこの哲学ができていないことにはただの悪の根源になりかねない、ということだ。そういう意味では、本書の趣旨とは逸脱するが制度設計と、その前提となる哲学はとても大事だなと感じた。
しかしながら、とても面白い一冊だった。ぜひともまた読み返したいと思う。Sexy little numbersがビジネス寄りの話なのに対し、本書はもう少し抽象度が高く、ビッグデータそのものに焦点を当てた本、という感じだろうか。
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ビッグデータ関連はくだらない本が多い中、本書は超良書。前半で先進事例、後半はリスクについて触れている。
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無作為抽出は掘り下げると不正確、また、完全なる無作為抽出は難しいとしてビッグデータの効用を謳い、インフルエンザの流行から、航空券の価格予測などの事例を持ち出し、因果関係など無くとも相関関係で物事の予測が可能と説き、ビッグデータのメリットを強調するも、ジョージオーウェルの「1984」や映画「マイノリティレポート」のような監視社会にも警鐘を鳴らす好著。
「フェイスブックはユーザデータの新たな使い道を早い段階からあれこれ大っぴらにすると。ユーザを不安に陥れかねないとの理由から、虎視眈々とタイミングをうかがっている。」とあり、本書でもバラバシが携帯電話会社の協力を得て行ったソーシャルネットワークの分析なども触れていて、フェイスブックのようなソーシャルグラフからはとても興味深い知見が得られそうではあるが、一ユーザーとしては不気味だ。
先日読んだ『世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア』でもエビデンス・ベースド・マネジメントとして、理論的な説明(因果関係)が十分に無くても統計的に確かなエビデンス(相関関係)があればその結果をもとに対応するとあった。このような社会の動きのなかでは、データ独占禁止法のような法的制限が必要ではないだろうか、フェイスブックなどに牛耳られるのは御免被りたいですな^^;
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メディアが囃し立てるビッグデータ。
その活用とそれに囚われずに生きるためにはどんな観点が必要か。
熱いと同時に冷めた目でビッグデータを論じる良書。
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ビッグデータ関連の書籍では、かなり面白かったなぁ。因果関係より相関関係。スモールデータの既存の価値観をビッグデータでは180度転換する必要がある。データが個人から社会全体のありようを見せてくれるからだ。
-引用-
世の中、因果関係で説明できないことは山ほどあるが、悲しいかな、人間というものは、原因がわからないとすっきりしない。しかし因果関係に執着しないのが、ビッグデータの世界だ。重要なのは、「理由」ではなく、「結論」である。データ同士の間に何らかの相関関係が見つかれば新たなひらめきがうまれるのだ。…例えば、膨大なのデータから「オレンジジュースとアスピリンの組み合わせで癌が治る」ことがいえるなら、正確な理由はどうあれ、この組み合わせが癌に効くという事実のほうがはるかに重要となる。…それで十分だ。ビッグデータの世界では、ある現象の理由を何が何でも知る必要はない。データがすべてを物語っているからだ。
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すでに周回遅れになりつつある従来企業だが、さらに足を引っ張りそうなのが、因果から相関への頭の切り替えだな。原因に拘りすぎて、それを探ろうと足踏みする姿が目に浮かぶ。。。
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本書では、3つの大変化を定義しています。
「すべてのデータを扱う」、「精度は重要ではない」、「因果から相関の世界へ」。最初の変化が訪れれば、他の2つは従属的に起こる事は想像に難くありません。定量化することが基本である物理の世界では以前から当然のことです。
あらゆるものがデジタル化される世界になってきた今、データ化してそこから何かを読み取る力が重要になってきます。
デジタルツールの普及により、ちょっと古い表現ですが、マルチメディア化が容易になり、感性の世の中にシフトしてきていると思われがちでですがが、その裏ではデータの世の中になってきているということでしょう。ますます理系的思考が重要になってきます。
ビッグデータには、いくつもの魅力的な”功”がある一方で、取り扱いを間違えるとプライバシー侵害等”罪”の側面も見え隠れしていますので、注意が必要でしょう。
しかし、昨今デジタル・ネイティブが世の中に排出される時代になってきた様に、いずれはビッグデータ・ネイティブによって何が正しいかが判断される時代になっていくのでしょうか。
何をビッグデータとして捉えるか、ビッグデータから何を読み出すか、ここに勝者と敗者の分かれ目があると感じました。原題「BIG DATA」の副題である”A Revolution That Will Tranform How We Live, Work, and Think"まさに”如何に考えるか”の変化が起きようとしているんでしょう。
そして、裏表紙にさりげなくかかれている”DATA IN NEW OIL"。上手い表現ですね。鉱脈を早く掘り出して、ビジネスに結び付けた人たちがDATA dollarを手に入れるのでしょう。さっそく探してみます。
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目次を見てビビッときたビッグデータ本。第2章と第4章のサブタイトルで、本書の価値は語り尽くされている。読書時間0.1秒(笑)。いちおう30分くらい目を通したけど、中身はどうでもいいかも。第8章と第9章は、この業界でこれから一番の争点になる部分なので、暇なときにもう少し真面目に読んでおこうかと思う。米国情報機関による個人情報収集問題は、ビッグデータ界隈の魑魅魍魎の動きを活性化させるのに、これ以上ない劇的な号砲となるであろう。ていうか、あれをあっさり認めてしまうなんて、オバマは何を考えているんだ?民間企業だとしたら悪くない対応だと思うけど(CSRや危機管理のマニュアルに「とにかく事実関係を速やかに認めることが重要」なんて書かれている)、米国政府がそれをやったらダメでしょう…。
話がそれたけど、以下、本書の目次。
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第1章 世界を変えるビッグデータ
When Data Speaks データが語り始めるとき
第2章 第1の変化「すべてのデータを扱う」
「N=全部」の世界
第3章 第2の変化「精度は重要ではない」
量は質を凌駕する
第4章 第3の変化「因果から相関の世界へ」
答えが分かれば、理由は要らない
第5章 データフィケーション
「すべてのもの」がデータ化され、ビジネスになる時代
第6章 ただのデータに新たな価値が宿る
ビジネスモデルの大変化 その1
第7章 データを上手に利用する企業
ビジネスモデルの大変化 その2
第8章 リスク――ビッグデータのマイナス面
『1984』の悪夢は実現するか
第9章 情報洪水時代のルール
ビッグデータ時代のガバナンスとは
第10章 ビッグデータの未来
ここまで述べてきたことの「まとめ」
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ビッグデータの特徴として「因果から相関の関係へ」、つまり、答えが分かれば理由は要らないという点を本書は掲げている。これは大事な視点。しかし、この2つの関係は対立軸ではない。相関関係がわかることで因果関係の解明につながる。そいの意味で統計学だけが重要ではない。デザイン思考が求められる。また、知恵や価値創造といった部分がより重要な要素を持つ世界になるだろう。非常に落ち着いた視点でビッグデータを分析した良書。ぜひご一読を。
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流行りのビッグデータの解説書。良い面だけでなく、悪い面も合わせて記述しているて点は、煽りだけのトレンド書籍と違って良い。十分な分析から抜粋される多数の具体事例を交えていて、面白みある文体。
ただ、ビッグデータだけでなく、最近のバズワードは意味範囲が不明確なものが多すぎる課題をあらためて感じる。ひとつ一つに本書のような解説書が必要、というのも如何なものかと思ってしまう。
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ビッグデータの台頭によるデータの扱いの変化
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第1の変化「すべてのデータを扱う」
第2の変化「精度は重要ではない」
第3の変化「因果から相関の世界へ」
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と、それをビジネスに活かしていくポイント。
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事例紹介が豊富で、その劇的効果に驚かされる。
何とか自分の仕事に応用して、問題解決に使えないかなぁ。