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モナリザに関する批評史、ダ・ヴィンチの技法等からモナリザが何故これほど有名になったかを解説している。人物画、背景の風景、モデル、ダ・ヴィンチの生涯等モナリザに関する美術史上の情報がきちんと整理されて記述されている。著者の新奇な説を主張するたぐいの本では無い。
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モナリザは1911年に盗難のニュースは「ジョコンダ夫人」の絵と報じられ、2年後の発見のニュースでは「モナリザ」。イタリア語の「モナ」と「モンナ」の違いからモンナリザと呼ぶべきとの話しも楽しい。しかし、背景にあるダビンチへの偏見と尊敬がこの絵の神秘性を高めているとの説明はその通りだと思う。後背の景色の素晴らしさについては、これまでは全く気づかなかったが確かに東洋・西洋的な背景画が左右に分かれているというのは興味深いことである。最後にこれほどの名画でありなが、なぜ私たちが感動しないのか!?の説明も全く賛成できる納得性の高い解説。なるほど!
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http://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB12440850
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本書を読みながら、改めて自分が、レオナルド・ダ・ヴィンチに対して盲目的な畏敬の念を抱いていることを実感した。人が彼について語るとき、その称賛の言葉の語気が強ければ強いほどうっとりする。
それはさておき本書だ。
まず『モナ・リザ』の名声について、美術批評史の興りから説明している点が他の類似本と一線を画しており、非常に勉強になった。19世紀末、ウォルター・ペイターの詩的(かつ誤解を含んだ)論評が、オスカー・ワイルドの絶賛もあって一世を風靡した。それは多分に時代の影響を受けるもので、当のダ・ヴィンチの与り知らぬ印象を流布することとなる。
『モナ・リザ』の見どころとしては、背景に関する考察が詳しい。4つの異なる風景の合成。また微笑については、自分は、よく言われる「左右で印象が異なる」という説明に首をかしげていたのだが、左右ではなく対角線で分けた見方には説得力があった。ただし、ダ・ヴィンチにどういう意図があったのかまでは言及していない。
『モナ・リザ』の実物を見た多くの人ががっかりする、という事実にも切り込んでいる。この作品が描かれたのは、写真はおろか風景画も人物画もなかった時代、油絵が新しい技法という時代だ。いかに革新的であったか、当時の眼を想像で補うしかないことがもどかしい。