- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
死者の奢り・飼育 改版 みんなのレビュー
- 大江 健三郎 (著)
- 税込価格:737円(6pt)
- 出版社:新潮社
- 発売日:2013/04/01
- 発送可能日:購入できません
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
電子書籍
死者の奢りについて(ネタバレ含む)
2022/06/11 09:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サンバ - この投稿者のレビュー一覧を見る
地下室に降りて行く。僕と女学生は滑り止めのすり減った階段を歩き、女子学生はゴム靴がすべるたび、短い声を立てた。2人はアルバイトで今日一日、解剖用の死体を古い水槽から新しい水槽に移す作業をするのだ。
地下室では、小柄でがっしりした肌つやのない50の男が待ってい、管理人として2人を案内した。死体は最近のものから、30年ほど前のものまでさまざまだ。アルコールに浸けてあり、姿形は意外にも残っている。彼らを新しい水槽に移す中で、主人公は彼らを「物」だ、と感じる。そして、戦中に脱走した際に撃たれて死んだ男の死体と話す。主人公は、戦争の終わりという「唯一の希望」が虚しく氾濫する中で、窒息死しそう成長期を過ごしたこと、男は、俺たちは今度君たちが戦争したらそれを判断・評価する資格を持っていること、を話した。
昼休憩で外に出ると主人公は、皮膚の呼吸を感じ、生きている心地がした。しかし、生きている人と話すと、通じ合えない、理解されないことが主人公を苦しめた。彼は走って地下室に戻った。
昼休みに、女子学生から妊娠していること、おろそうと思っていることを聞かされた主人公は、これにも上手く応えられない。彼女は自分のお腹の中の存在を、死体と同じ物だと言った。主人公は、12歳の子供の死体の陰部を素早くみた。
17時、女子学生がみっともなく転んだ。主人公も直前まで話してこみ上げていた笑いが急激に萎んだ。
作業は進んだが、女子学生は途中で吐いて動けなくなった。彼女は死体を見て「子供を産みたくなった」、死体のように存在を与えたくなった、と言う。
やがて、助教授という若い男が、この1日の作業は全く手違いで、死体は全て火葬する手筈だったと喚き出した。文部省が明日の午前に来るのだから、それまでにやり直しをしろ、とも。
アルバイトの金も「事務に直談判」次第となった。彼女は文部省対応に懸命な医師たちにほっとかれて長椅子で安静にしていた。主人公は、夜明けまで終わらないな、と感じながら作業を再開した。
紙の本
他人の足
2015/03/14 14:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:月光 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大江が書いてる小説はサルトルばりの実存主義を主題とした純文学小説。さっぱり
わかりません。ともかく自分とは縁のない小説だと思いつつ、一応全部読んだ。読んだら「他人の足」という標題作以外の作品が、抜群の出来栄え。これってどういうこと。この作品はカリエスの病棟に一人の新人入院患者からはじまる。
紙の本
読ませる力
2000/11/20 00:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:katokt - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドアも窓もない狭い部屋に閉じ込められたような閉塞感ともなう小説なんぞ、たまにはいかがでしょう。大江健三郎といえば、ぜったい口にだしてよまない文章の典型。ひとのせりふとか口にだしたらヘンだけど、文章の中では自然なんだよな、なぜか? 詩的なものを感じさせるのがその原因なのだろうか? じっくり読んで考えよう。