紙の本
最後まで読むとよさがわかる
2019/05/23 00:19
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻の途中までぐらいまでは感情移入できる登場人物がいなくて読むのに苦労しましたが、下巻に入って俄然面白くなってきました
紙の本
混乱しかないのに一つの物語
2016/09/28 15:48
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投稿者:ポージー - この投稿者のレビュー一覧を見る
山形県の神町というところを舞台にした小説。そこではパン屋の主が絶大な権力を持っていて、警官はロリコンで、盗撮サークルが町中にカメラを仕掛けて、住人は幽霊に怯えている、などなど基本的に滅茶苦茶なことしか起こらない。しかしこの物語は戦後から現代までの神町を捉えていて、そこで語られる歴史が根拠ある枠組みとなって破綻することはないし、様々な事件の謎も最後には解決される。
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これはなかなかの読み応え。
がつんと言うのとも違うけど、物語力があって、
堪能させていただきました。
阿部和重、多分初めてと思いますが、少なくともこのシリーズは
独特の世界構築がされてて癖になりますね。
ピストルズも(ちょっと満腹気味だから間をあけてから)読みたいと思います。
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地方の一都市を舞台にした群像劇です。登場人物が誰一人として他の人のこと慮ることはなく、自分の欲望のままに突き進みます。数々の登場人物とエピソードが折り重なり、不気味な胎動を感じさせる上巻です。
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山形県に実在する神町という町を舞台に、一筋縄ではいかない曲者達が巻き起こす様々な事件を描いた群像劇。
あえて感情移入を排するためか、登場人物がみな人格的に壊れていて、上巻は読み進めるのに少し苦痛を感じる程だったが、ストーリーが大きく動き出す下巻の半ばあたりから俄然面白くなり、ラストもこれしかない感じの結末で、道徳心のかけらもない人物ばかりの小説でありながら、読後感は意外と悪くなかった。
いずれにしても、戦後の日本社会の一面を象徴する、「神町」という町そのものがこの群像劇の真の主人公のような印象を受けたが、そういう意味では同じく「神町」を舞台とする「ピストルズ」という作品も是非読んでみたい。
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蟻の群れのようにも感じる登場人物の多さと、それぞれがつくり上げる物語りの絡まりが最後にウソのように一瞬で「ストンッ」と一箇所に落ちてしまう。
最後のサプライズを抜きにしても、これほど見事に「創られた物語り」というものを久しぶりに読んだ気がします。
皆が主人公とも言える登場人物たちが関わる、あまりにも俗っぽい、人間の黒い欲望を全て写し出しているかのような日常や事件がどのように搦め捕られていくのか。
そのクライマックスを体験すれば、この小説の素晴らしさに疑いは持たないと思います。
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コーラ瓶 肛門 盗撮 金森 隅元 山形県東根市神じんまち 天童市 コカイン白い粉末 小麦粉 洪水 コルトレーン 渋谷道玄坂 アフガン・ハウンドは、アフガニスタン原産の長毛サイト・ハウンド(視覚型狩猟犬)。 木箱AB 禽獣 優れてエコロジカルな結末 山形市花笠祭り 鋏 虎刈り 臍を頂点 腐敗 コンテナ 自警団 熊女 アーアー コカイン歯茎に塗る モデルガン 和歌子 フックボール ターキー 窮鼠猫を噛む カタストロフ 白豚 顔面崩壊 混血児 パンパン 朝鮮戦争 不発弾 UFO シンセミア麻薬の一種 小麦粉塵爆発で死亡の父 パン屋廃業 毒を盛る妻 盗撮サークル壊滅 愚問だな 道連れ
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胸が悪くなるような、暴虐なシーンの連続。
戦後の混乱期、町の顔役となった田宮家。
一家への血の粛清がはじまっていく。
町の均衡を破ったのは、しかし田宮家だけではなかった。
戦後の混乱で凄惨なリンチの末命を絶った女性の孫である隈本光博が町にやってきたことによって、大崩壊が齎される。
「阿部和重」を騙って彩香に近づこうとする、盗撮グループ唯一の生き残り、金森が描かれて小説は終わる。
非常に不穏な感じが残る。
上巻で動き始めた数々の事件、事故、犯罪が、次々と関係者の死や、大事故などによって「回収」されていく。
内容のおぞましさを超えて、小説の構想力に圧倒されてしまう。
結末を知らずにいられないような気分になる。
たしかに、これはすごい小説だ。
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最終的にも救えない結果。
めっちゃ人が死ぬ。
どうせなら建設会社のやつらや麻生家のやつらも、もっと天罰受けた方がすっきりした。
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実際に存在する山形は東根市の神町を舞台に、信じられないくらいの登場人物の多さに(解説によると60名だそう)入り組んだ相関関係を、戦後の混乱期から現代まで、町史的に描いているフィクション。構成も年代記であっても、ただ年代を追っているのではなくて、手法が凝らしてあるのもよい。
ところどころ臭気ふんぷんの場面が参るし、そんなのありか?という漫画的なドタバタ展開があるが、それが妙味になり、効いてきておもしろくてやがて深く考えさせられる。なるほど現代はそういう戦後のどさくさの上に成り立っているのだと。この町の創造の出来事は架空であって架空でない、日本中がそうなんだ、今でも、と言うような。
上下巻合わせて1000ページ、ぴっしりと活字が並んでいるけど、文章は平易。長編の世界文学を(例えば『カラマーゾフの兄弟』など)スイスイ読んでいた高校時代を思い出した既視感。こういう作品が世界に通じる文学じゃないかと思う。解説によるとフランス語には訳されて好評だったとか。ノーベル文学賞が目的ではなくても、英語訳は必須アイテムなんだね。
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不発弾の爆発、小麦粉による爆発、車のクラッシュ、やや非現実的な事件により登場人物がバタバタと死んでいく結末が雑な印象。大作を読み終わった後には疲労感と胸のモヤモヤが残った。
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最後まで読んだけど…笑
壮絶です。言葉を失います。
この群像劇に登場するのは、感情移入することが難しいしょうもない人たちばかりですが、読み進めてようやく「この中では比較的マシ」程度に認められるようになった人たちがふたり続けて亡くなって絶句しました。
あとは涙なくして読めなかった。
阿部さんがこの小説で伝えたかったテーマなんて特にない気がするし(笑)、エロとグロが満載で目を逸らしたくなるほどお下劣だったり残酷な箇所もあるけど、僕はこういう小説大好きです。
意味のなさや下品さを含めて、「人間」が存在することが肯定されている気がするので。
知的で勿体ぶった文体もGood。
神町トリロジーは制覇するつもりです。