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本書は、多国籍企業の利益のために、99%の自国民を根こそぎ収奪し奴隷化を推し進めているアメリカの現在が描かれてる。これはありがちな陰謀論などではなく、紛れもない現実だ。
そしてその”毒牙”はTPPという形で日本をも襲おうとしている。対岸の火事なんかではない。火の粉はすでに降りかかっており、それどころか多国籍企業の使い走りとなってその火の粉を大きな団扇で煽っている輩もいる。例えば、本書を「アカの手先だ」と誹謗するようなヤツこそ、注意しなければならない。
もうじき参院選が始まる。それまでに本書をよく読み、よく考えよう。我々は、多国籍企業の奴隷となることを選ぶのかどうかを。
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SNAP(supplemental nutrition assistance program=補助的栄養支援プログラム)p1
養鶏業者「デッドトラップ(借金の罠)」p26
<メモ>
グローバル化の到達地点は地獄だった?アメリカは煉獄の最中?
もはや主権は国内政府にはなく、多国籍企業に移った?ロビイングの威力。
カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン「ショック・ドクトリン」:ショックな事件が起きた時、人々が思考停止している間に過激な政策を実行する手法。p128
モンサント社
【アメリカは最強の外交武器を手に入れた】p155
「ターミネータ種子」
諸外国に「民主主義」「強い農業」「財政再建」「人道支援」などを理由に介入、集約させた広い農地で輸出用GM作物の大規模栽培を導入させ、現地の小規模農民を追い出した後は、株式会社アメリカが動かしてゆく。p157
<メモ>「民主主義」はラベルにすぎないのだろうか?
<メモ>タックスヘイブン(租税回避)、アップルの訴訟
Cf. 松井博『企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン』
消費者運動家で元大統領候補の弁護士ラルフ・ネーダー「企業群はあらゆる規制を撤廃し、いよいよ最終段階に向かっている。TPPが頓挫しても、またすぐ別の名前で繰り返し現れるだろう。その本質を知りたければ、過去30年の間にアメリカ国内で企業が政治を後押しして作りあげてきた、この異常なビジネスモデルを見ればいい」p166
<非常事態管理法>は、財政難に苦しむ州の自治体に代わって、選挙ではなく州知事が任命した「危機管理人(Emergency Manager)」に財政健全化の指揮権を与える法律。p178
モザイカ・エデュケーション:落ちこぼれゼロ法(no child left behind act)導入以降、教育ビジネスで急成長を遂げている多国籍企業。チャータースクールの経営。p180
<メモ>コミュニタリアニズム内部での瓦解
破綻した自治体に対する銀行のやり方は、ちょうど債務超過国に対するIMFのやり方と、実施する中身がよく似ている。どちらも相手の将来を見据えた根本からの立て直しではなく、公共部門を最安値で売却させ、短期間にできるだけ企業収益を上げ、最終的には融資分をきっちりと回収するのだ。p187
食の世界と同じように、グローバル化における価格競争を激化させた最大の原因は、政府によって次々と実施された規制緩和政策と、それらを国境を越えて適用させた国際法の数々だ。そして合法的な
「株主至上主義」は環境が法制化される背景には、それを望む経済界と金融界が政府と結びつく「コーポラティズム」の存在が見え隠れする。
2005年12月。人口10万人、全米初の「完全民間経営自治体サンディ・スプリングス」が誕生する。PPP(Public Private Partner)と呼ばれるこの新しい手法は、アトランタ周辺の富裕層の間で爆発的な人気を呼んだ。p200
<メモ>「公共」の消失。
米国立法交流評議会(American Legislative Exchange Council=ALEC)p209
ALECは企業ロビイストでも政治団体でもなく、NPOとして登録されている。だがその実態は、通常のロビイストや政治団体よりもはるかに強大な力を持つ、非常に洗���されたシステムだった。p210
メンバーのほとんどが上位多国籍企業の面々だった。
ALECのモデル法案は、一つの州が駄目でも放射状に複数の州で提出されることが最大の強みだ。p219
▲80年代から加速した規制緩和と民営化、垂直統合、政府・企業間の回転ドア、ALEC、そして市民連合判決といった一連の動きが、アメリカを統治政治から金権政治へと変えていった。寡占化によって巨大化した多国籍企業は、立法府を買い、選挙を買い、マスメディアを買いうことでさらに効率よくその規模を広げていく。p234
<メモ>タイトルに難あり。もっと広く読者を獲得スべき。
2010年のカリフォルニア州の第三党から州議会選挙に立候補したジル・スタイン「〜。大統領も同じです。選挙中どんな公約をしようが、スポンサーの意向に沿わなければ、上下両院の承認を得ることもできない。分かりますか?政治家もマスコミも買われてしまった今、アメリカの民主主義は、数年ごとに開催される大規模な政治ショーと化したのです」
<メモ>ポピュリズムの現況は政治家単体ではない。
【SNSは諸刃の剣である】p259
それは利益のために大衆を操作する「1%」側のマーケティングにも、真実を伝え意識改革をうながす、「99%」側の武器のもなる。
【あとがき】p273
いま世界で進行してる出来事は、単なる新自由主義や社会主義を越えた、ポスト資本主義の新しい枠組み、「コーポラティズム」(政治と企業の癒着主義)にほかならない。
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とにかく、日本では報道されない米国の現実に関するルポが満載です。
農業も政治もメディアも市場原理の名の下に、「1%」に支配されている現実には、戦慄を覚えます。
まさに、今日(2013.7.19)デトロイトの財政破綻のニュースが飛び込んで来ました。
日本が追随しないことを祈るばかりです。
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前半部分はアメリカの国内外で展開されているアグリビジネスについて書かれている。この事実から想起されるのは、TPPで日本の農業の将来がどうなるのかということ。
すべての農業関係者に、いやすべての国民に読んで欲しい。
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我々は紛れもない現在のアメリカのを認識しなければならない。TPP参入により安全な食生活をはじめ、日本が破壊されることは明らかだ。それを防ぐにはどうしたらよいか考えるべき時が来ている。多くの人に読んでもらいたい一冊である。
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アメリカ自国内で進行する多国籍企業による支配の実態を、特にアグリビジネスを取り上げながら、アメリカという国の隅々までをどのように搾取しているのか、そして他国にまで”侵略”していっているのか、豊富な事例をもとに明らかにしている。
農作物や家畜の生産現場から小売り現場に至るまで~上流から下流まで~すべての過程を支配し、農業を中心にした地域文化・産業を破壊し、遺伝子「改良」作物の導入などで、大企業が確実に儲けられる仕組みを巧妙に作ってゆく様には背筋が寒くなる。
そして「1%」による支配は、豊富な資金力によりマスコミや議員を買収し、法律をはじめとした”システム”として機能していることにも触れられてゆく。
呆れるのは、ついには富裕層のために企業が経営する新しい地方公共団体を作ってしまうところまで行きついていること。一方で「99%」の一般大衆は、財政不足から警察、消防という基本的な公共機能すら破たんした中で生活せざるを得ない現実。
こうした現実がアメリカでは野放し、、、いや、良いシステムとして国を挙げてすすめられていることに、恐怖を感じる。
そしてTPPをはじめとする経済機構によって、こうしたアメリカ型の手法が他国の主権・システムを踏みにじるような形で”輸出”されようとしている現実。
最後に、ITを使った草の根、市民運動が、巨額の資金を使った企業の援護した選挙に打ち勝つ話が紹介されていて、わずかながらの希望を垣間見た。困難な道だけれども、結局、このように主権を一般大衆の手に取り戻してゆくしかない。
こうした”企業栄えて、民滅ぶ”経済政策、政治が跋扈する経済的基礎としては、物づくりではなく投機的金融資本主義が幅を利かすアメリカの経済基盤があるのだろう。たとえ民が滅ぼうと、国の諸機構を民営化し、それを口実に株価を切り上げ、虚構の繁栄を謳歌する。サブプライム・ローンの破たんのように、頓挫したときには国税を投入して繕う・・・こういうシステムに思い至る。
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すごく面白かった。
ぐいぐい読ませる感じ。
この本で描かれる、巨大多国籍企業が、国の枠を超えて、世界を支配していくというイメージは、正にSFの世界という感じです。
でも、イメージがとっぴ過ぎるので、読んでて、これ、本当なのかな?って思う部分も多いです。
情報のソースとして、信憑性に問題がありそうなものもありますし、話半分くらいに読んどいた方が良さそうです。
それにしても、21世紀って、本当に、SFが現実化する時代なんだな~って、思いました。
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TPP導入後の日本の食、健康について予測される世界が描かれている…こんな命より金が優先され、庶民より企業が力を持つ国や世界には住みたくない。
TPPについては米韓FTAで焦土にされた韓国、医療崩壊が顕著なアメリカなど、多くの見本があり、そこに行くことは容易に想像•確認できるのに報道せず、ギリギリで「今知りました」顔で報道を始めるマスコミや金の方向を向いて仕事をしている政府…監視役や実行役が機能不全な状況下で重要な一冊。
財政削減をし、公共部門を形骸化し、土台を崩す…住民がやせ細って何が残るのか、企業を富ませて誰が得をするのか
以下メモ
フードスタンプ
安いものはインスタントや高カロリーなジャンクフード
生鮮食品は高くて買えない
→子供の医療費の増加
食品業界と薬品メーカーのつながり
ペニシリン等の抗生物質の投与→全米製薬企業販売の抗生物質の70%が家畜に、人用の3倍以上
新種の病気の増加
狂牛病
→草食動物の牛に死んだ動物や食べる習慣のないトウモロコシを餌として与えた結果、つまり食の工業化と効率追求
食材が安くなれば安くなるほど、ビタミンやミネラル等の栄養分は減る→50年代の6割ほど
モンサント保護法
GM作物と当該事象の因果関係が証明されなければ、栽培を禁止できない
→その裏に同性婚の是非を巡る最高裁判決のニュースや「財政の崖」→マスコミと大企業の共犯関係
イラク
暫定当局による100の法律→国内法の上にある
国営企業の民営化と40年間の営業権付与、外資系企業による100%の株式所有
→グローバルスタンダードに基づく低賃金とコストカットによる大量のイラク人失業者
→外国企業が国内で得た売り上げはすべて国外へ
関税や輸入税の撤廃
→外国製品の流入と国内産業の破壊
マスコミと銀行の株が最大50%まで解放→金と情報は外資系企業に
GM作物
最初は増産、農薬も少なくて済む
→その農薬耐性の害虫や雑草の駆除に大量の農薬を使用
契約で翌年以降もその種子の使用を強制され、高い利用料に苦しむ
人道支援の名目で途上国に流布、外国種子の栽培を禁止したりする国には「種子の輸入を止める」
数年経てばその頃育てていた趣旨もないためあきらめるしかない?
米韓FTAの成功の鍵
1997年のアジア通貨危機の際にマスコミへの外資参入の門戸を開いていたこと
→韓国にとって一方的に不利な状況や危険性をギリギリまで隠せた
債務超過自治体と危機管理人
短期的に負債を減らしても、公共部門を売り払ってスカスカ。
公共サービス、警察や消防すらもなくなった街に誰が住めるのか
市場に公共を任せると、儲からなければ撤退できる
サンディスプリングス
株式会社経営の自治体
警察と消防以外のサービスは民間委託、払った費用に見あった適切なサービス
住んでいるのは平均年収1700万円以上の富裕層と税金対策で本社を置く大企業
増加傾向→周辺自治体の税収に深刻な打撃を与え、所得再分配など働かない
米国立法交流評議会
様々なテーマについて議員と経営者が検討し、採決。基本的に議員はそのまま受け止め、地元に持ち帰り法案として提出
組合の団交権を剥奪する法律、CO2排出規制、大規模農業の規制緩和、企業の免責を定めた法律等
保守派主導の最高裁
「企業による選挙広告費の制限は言論の自由に反し、違憲」→企業献金の上限撤廃
マスコミは無批判→広告収入で儲かるから
献金の出処を見ればその政治家のやりたいことが分かる
過激な人物が真の問題から目を逸らさせる
ロムニーの暴言はオバマ政権への評価から目をそらせた
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彼女のジャーナリスト魂は凄い アメリカの抱える矛盾を鋭くえぐっており、
これがやがてTPPといった形で日本に来襲することを懸念?指摘している。
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シリーズ三部作。
いつも驚かされている気がする。
告発・・・というのなら、アメリカ企業を告発している本でしょうか。
それにしてもGM(遺伝子組み換え)食品の表示がされていないのはアメリカだけなんて・・・・・。
中国ばかりに気を取られていましたが、のアメリカという国も似たような最低の国だなぁ。
ただ、アメリカに「悪意」を感じないと、なかなか書けないとも思います。
それにしても、著者の文章とかわいい容姿とはなかなか結びつかない。
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ここ数ヵ月に読んだ本の中で最も衝撃的だった本。
ちょうど参院選で投票率云々の話が盛り上がっている時に読了したこともあり、民主主義の最大の危機を描き出している作品だと感じた。
そして日本人にとっても、その脅威は本当にすぐそこまで迫っている。
農業に始まり、食の安全規制、外交、教育や社会保障、そして主権そのものまで脅威に晒されている。
下手に若者政策云々の危機感を煽っていられる場合ではない。いま、我々に向けられた銃を握っているのは誰か、真剣に考えなければならない。
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つい先日のこと、アメリカの都市デトロイトの破産宣言があったばかりです。デトロイトというと、その昔、社会科で習ったのは自動車産業の一大都市というイメージです。この本を読むとさらに驚くべきことに、全米の自治体の9割は5年以内に破綻するだろうと予測している人がいることです。
アメリカンドリームに象徴されるイメージや広い牧場や農場を持ち、悠々自適に生活しているような米国人たちの暮らしはもはや過去のものでしかないのか・・と愕然とします。
それほどまでに、拡がった格差社会は、この本で1%VS99%と表現される構図があるからです。つまり国民全体のわずか1%の超富裕層と残りの所得の低い国民層の99%で分けられる米国社会なのです。
今回は、表題に(株)とありますが、このことがこの本の主旨を物語っています。規制緩和や民営化など経済政策で自由市場主義の路線を進んで言った結果、企業は巨大化、寡占化し、国と国の境のない多国籍企業が人々の知らぬまに国を動かす主導権まで持ち始めている現実。
食品・農産物から始まりその元となる種子の支配、公共事業の切り売り、教育、医療のビジネス化、マスコミ、そして政治の世界まで介入して政策を企業側に都合がいいように誘導する。オバマ大統領も決して例外ではないようなので世の中、見えない仕組みを知らないと恐ろしいとつくづく思いました。そして、この構図はもはや日本でも急速に拡がっているのだと考えると寒々したものを感じます。
しかし、唯一希望は、エピローグにあった「グローバル企業から主権を取り戻す」の内容です。フェイスブックやツイッターなどのSNSのシステムを利用して、モラルに反した企業を市民の数の力で攻撃して、変えることも可能なのですから。
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アメリカの抱える問題(陰謀)について書かれている。遺伝子組み換え食品に関する警鐘が主な内容。アグリビジネスによる小規模農家の崩壊、イラク戦争でアメリカが得た物、グローバル化の弊害などについて書かれている。アメリカは「食料は武器だ」と言っているらしい。 有事の際、食料の輸出をやめれば相手国は何もできなくなってしまう。
これを読んだらTPPに賛成するのが恐ろしくなってくる。
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アメリカの政治が大企業に牛耳られ、さらに世界中に輸出されている現況が理解できた。恐ろしいことだ。日本でも貧困ビジネスといって、生活保護費をだまし取ったりする商売がはやっているようだが、アメリカでは堂々と政府を巻き込んでやっているのである。豊かな者は、ますます豊かに、貧しい者は、ますます貧しくなっていくのである。
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現在のアメリカがいく代かの大統領を経て、貧困が再生産され、人の営みで大切な食までも資本主義の負の面に毒され、政治も金権主義に毒され、そこに民主主義は存在しなくなったことが書かれています。アメリカも資本主義の行き着くところ(経済成長のために政治までもうごかして、巨大資本による搾取が平然と行われるなど)まで到達してしまったらしい。もう、ドラッカーが古典と言われる理由が分かるような気がします。これを知ってしまうと、TPPも恐ろしくて賛成などできないと思います。アメリカ製の食品には自然と注意しなくては、いけないと思ってしまう。