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紙の本
写真をみても分かるように、この本のカバーデザインは素晴らしい。音楽関係の本は案外デザインがぞんざいなのだけれど、これは内容ともに立派。少なくともデザインはベストです
2003/10/12 19:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「〈バッハコレギウム・ジャパン〉を率い自らオルガンなども演奏する鈴木雅明が、バッハの音楽について語る」音楽対談集。聞き手は慶応大学で音楽学を学び、音楽評論家、日本旅行作家協会会員でもある加藤浩子。内容は、かなり本格的なものだが、専門家でなくても何となく理解できる。
鈴木雅明は、現在東京藝術大学助教授で、日本キリスト改革派東京恩寵教会オルガニスト。藝大卒業後、オランダにわたりアムステルダム・スウェーリンク音楽院も卒業している。1990年からオリジナル楽器アンサンブルと合唱団〈バッハコレギウム・ジャパン〉(BCJ)を結成し、オルガン、チェンバロを演奏し、指揮もする。チェリストの鈴木秀美とは兄弟、といってもこの本のなかで秀美のことが語られることは殆ど無い。
専門的な会話が多く、かなりの頁は楽譜で占められているので、一見とっつきにくい。さらに言えば、誰が名演奏をしているか、といった俗っぽい情報は全く無い。といって専門家を相手にした本でもない。いつも専門的な講演をしている鈴木のことを考えて、聞き手の加藤が全体の水準を高めに設定している、というのが正しいのだろう。
個々の部分を論じる力はないけれど、オリジナル楽器というものが、実はかなりのものが実在しなくて、演奏者自らが文献や楽譜の記述を頼りに、自分の手で制作していて、それも日々改良が加えられているというのは、如何にもバッハを演奏する人々の話という気がして、感心した。それから、古楽器の演奏が世に認められたのは、ほんのこの三十年位の話で、解釈自体もまだまだ百花繚乱状態。しかし、それは当時の楽譜のありかたがそうだから、というのも面白い。モダン楽器と古楽器のあり方、演奏者が偉くなりすぎてしまった現代のひずみなども良く分かる。
個人的には、私自身は「マタイ受難曲」よりも「ヨハネ受難曲」の劇的な展開が好きで、同様のことを鈴木が述べているのが。強い味方を得たようで、嬉しかった。また、いい演奏というのは、演奏者が心地よく感じるものがそうだということ、バッハの演奏にはキリスト教への信仰が不可欠というあたりは、日本の演奏者(鈴木は指揮者でもあるけれど)にも、そういう考えを持つ人がいるのだと感心した。
また、ドイツにあるオルガンというのは、どれひとつとして同じ響きをするものではないとうこと、各地を演奏しながら、素晴らしいオルガンとであった時の喜び、バッハの音楽作法、彼の革新性、オペラを作りたかっただろうという推測、ヴェルディへの好意的な発言、ドイツとフランスにおける音楽の拍の考え方など、深く考えればきりがないような話ばかりだけれど、素人でもそれなりに分かる。
中で、何度か言及があったのは演奏者は、オルガニストのリヒター、レオンハルト、オランダのトン・コープマン、声楽のフィッシャー・ディースカウ、ペーター・シュライヤーなど限られるが、どこにも先人に対する敬意が溢れている。BISのCDで、鈴木の活動は知っていたが、機会があれば、ぜひ実演を聞いてみたいと思う。
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