紙の本
アダム・スミスの主著とも言える、彼の思想がよく分かる一冊です!
2020/02/26 15:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『国富論』を著したことで有名なアダム・スミスのもう一つの名著『道徳感情論』の翻訳版です。我が国ではアダム・スミスと言えば『国富論』として知られていますが、実は、『道徳感情論』が主著で、『国富論』はその副産物だったと同書の著者は言います。これは驚きです!同書では、この主著である当該書を分かりやすい邦訳で、アダム・スミスの思考を教示してくれます。同書では、私たち人間がもつ様々な感情を抑える義務と道徳を確立することで、新しい社会の在り方を探っていったアダム・スミスの考えがよくわかります。
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「共感」という切り口から、人間の感情を深く考察したもの。著述そのものはとても意味深いが、訳が悪いのかとにかく読みづらい。
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風邪薬で仕事が進まなかったので『国富論』で名高いアダム・スミスの処女作、高哲男訳『道徳感情論』講談社学術文庫、読んだ。の著者の処女作が本書。「人間がまず隣人の、次に自分自身の行為や特徴を、自然に判断する際の原動力を分析するための論考」。http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2921766
アダム・スミス『道徳感情論』講談社。スミスは人間の行為や特徴を検討することで、人間は利己的動物ながら他人に共感することができる。スミスは人間の行為とその特徴を検討することで、社会を形成する人間の「適合性」のメカニズムを具体的に本書で明らかにする。まさに英国道徳哲学の面目躍如。
アダム・スミス『道徳感情論』講談社。(狭義の経済学には門外漢ながら)分析が対象を扼殺するのは学の常。人間の全体よりも部分に注目するが、(スミスは『国富論』での議論も含め)全体性をとらえようと努力している感がある。五百頁を超える訳書ながら非常に読みやすく示唆に富む一冊だった。
アダム・スミス『道徳感情論』講談社。先験的な規範よりも、相互検討的な適合性によって導かれる行為規範を尊重し、それを絶えず検討することで徳のある社会が実現可能となる。英国流の経験主義と言ってしまえばそれまでだが、このアプローチは必要不可欠と思う。古典中の古典ながらおすすめの一冊。
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岩波以外になかなかでなかった訳がこのほかにまもなくもう1冊出るようだ。有り難い限りだが、そこまで需要があるのかな。ちょっと不思議。まあ、老後の楽しみのつもりが少しはやくよめるようになった。
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『国富論』の著者で、資本主義の元祖とも言えるアダム・スミスの著。『国富論』の内容から無秩序な自由競争を推進したように批判されることもあるスミスだが、そんな見方が間違っていることを教えてくれる一冊。驚異的とも言える人間社会の洞察力が見て取れる。
スミスや資本主義について勉強するなら『国富論』はもちろん、合わせて『道徳感情論』を読んで欲しい。
何十年後か分からないが、必ず再評価される本だ。
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私たちの道徳感情はどこから来ているのか?について、徹底的に論考したもの。本書を思い切り要約すると、
1) 各人が自然と持つ、ある行為に対して共感できるかという適合性の感覚がまず存在し、
2) 適合性感覚に照らして、ある行為についてどんな評価をするべきかという感覚があり、
3) それらを考慮して、自分の行為をどのように律するかという判断基準があり、
4) 社会の大多数の価値観である慣習や流行の影響を受けながら、現在の道徳感情がある
という流れである。その後、世の中の多くの道徳理論に対する批判のおまけがくっついて、膨大なボリュームとなっている。現代の正義論と比べると、著者アダム・スミスの主観が強すぎ、論旨展開も整理されていない印象を受けるが、まだ構造主義も生まれていない時代では、こういう書き方が格調ある文章なのだろう。そのような文章だけに、忍耐強く読むことによって、読了時の達成感はかなり高いものがある。
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20190311
『国富論』で有名なアダムスミスの人間心理を基礎とした議論。行動経済学の先駆けとも言えるように、人間の美徳や正義が社会の調和を図る基礎となるという主題。
人が感情に関係なく自己愛=自己の選好に従って行動した結果、需要と供給の均衡に達するという経済原理の基礎を作った有名な国富論とは対照的である。しかし、経済原理では解決できない外部性や市場の失敗、格差と言った議論が噴出している現代においては、逆に道徳感情論が輝きを増してくる。
自分の基本理念は合理性で社会が作れると考えている。そのためには、不合理である人間感情を理解した上で、マーケットデザインするという不合理を包括した合理性への追及が必要なのだと思う。
//MEMO//
見えざる手(国富論)を主張し、経済学の基礎を築いたアダムスミスであったが、経済学では自然と調整されない問題について提起していたのは興味深い。
人間の倫理、道徳、感情を高め無い限り、市場の失敗が生まれてしまうという議論の基礎となる本書を精読したい。
①友好的な徳
→人間愛
→思いやりの努力
②激情的な徳
→行為の適合性
→同調する努力
報奨と罪
報奨←謝意
罪←憤り
主体的な報奨
間接的な報奨→功績
主体的な罰
間接的な罰→欠陥
正義
善行
公平な観察者
一般規則=道徳
①←自然
②←教育(理性と哲学)
義務感=神の命令
美徳
①本人の幸福
・賢明さ=プルーデンス
・安全
②他人の幸福への影響
・正義
・善行
・愛着
・自制心
徳
①適合性
②賢明さ
③思いやり
是認
①自己愛
②理性
③感情
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アダムススミスの主著であり、以前から読みたかった本。難解で、正直意味が分からないながらも、どうにか最後まで読み通すことが出来た。
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(原本への感想)一文が長くて脳が滑る。解説と7章のみ読んで道徳の原理を追求したいわけではないことは分かった。人間の挙動の観察から離れない。
そうした手法と鶏卵前後の関係なのではと想像するが、スミスが考える道徳の形はある原理から出発した静的な体系ではなく、間主観的な相互評価で決まるように読める。つまり人間個人の道徳より先立って社会ないしコミュニティがあるのだということで、これは父権主義に見えて結構モダンな割り切りなのかもしれない。
(訳文への感想)訳文というのはどうしても原文を想定しながら読まないといけないわけで、この訳はその負荷を下げてくれて助かる。
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“冤罪と人類/道徳感情はなぜ人を謝らせるのか”を読んだ人が、「道徳感情ってよくわからないんですよね、分かったら教えて下さい」と言われて、手に取った。
読書人生で五本の指に入るくらい難解、挫折しかけるも、ようやく読了。振り返ると、半分も理解している自信はない…
人間社会を正常に構成するためには、“共感”というものが必要で、それと共に、“思いやり”とか“慮る”とか、いわゆる忖度のようなものがあって成り立っている。それらがその社会に合っているか否かで、しだいにルール化されて行く。
人の思いが社会を作り、そしてその社会が人に影響を与えている歴史的循環が起こっているもよう ʅ(◞‿◟)ʃ