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堀真清編『原典で読む 日本デモクラシー論集』岩波書店、読了。福澤諭吉から東日本大震災への提言まで。自由民権、女性解放、戦後民主主義とアジアとのかかわりなど、近代日本における民主主義の探究とその格闘を俯瞰する。原典33編を収録。危機的現在において、非常にタイムリーな一冊。
1・福澤諭吉、植木枝盛、中江兆民、二葉亭四迷、田中正造、2・与謝野晶子、伊藤野枝、水平社、住井すゑ、3・吉野作造、美濃部達吉、石川三四郎、4・渡辺一夫、伊丹万作、加藤哲太郎、5・矢内原忠雄、大山郁夫、丸山眞男、大宅壮一、6・竹内好、石母田正、和田春樹、池明観、寺田寅彦、大江健三郎、隅谷三喜男、水上勉、7・原田正純、柳田国男、日本弁護士連合会、の文章を収録。
1抵抗・自由・民権、2女性解放・差別との闘い、3軍国主義批判・暴力批判、4戦争と責任、5戦後民主主義から55年体制へ、6アジア、7さらなる課題(※震災、米軍基地、核、水俣など環境倫理等々) のテーマで構成。
「臣下意識を露呈して喜色満面の『未曾有』首相を戴いたばかりの日本である」。本書で示される先人の思索と抵抗の「紡いできた民主主義論はおのずから系譜をなし、さらに広い地平、より高い尾根をめざして前進する者を鼓舞してやまない」。