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p95-99で教育訓練に関する指摘がありますが、新たな政策を考える際には、こういう極めて当たり前の現実を踏まえつつ細部を詰めていかないと大変なことになるんだろうなあと改めて思った次第。
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日本は「人」に対して「職業」を充てるのに対し、欧米は「職業」に対し「人」を充てる、という日本の労働の特殊性を知ることができ大変参考になった。
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日本における若年層の雇用・労働と、そこへ辿り着くまでの教育について、欧米と比較しながら戦後から現在にかけて労働法的な側面と政策を辿っていく。
まず指摘されるのは、若年者の失業問題は国際的には以前からずっと存在し、むしろ日本でバブル期以前に若年失業問題がほとんど存在しなかったことのほうが特殊であるということ。その要因として、日本特有の「ゼロからの企業内育成」を前提としたメンバーシップ型の雇用を挙げ、それが「誰もがどこかへは入社できる新卒一括採用」を生み出して若者の雇用安定をもたらした一方で、家庭を含んだ社会全体での職業教育の必要性の希薄化を生み出したと指摘されている。
ところがバブル崩壊以降、新卒採用の縮小により、「誰もが新卒(=実務スキルゼロ)でどこかへ入社できる」とは限らなくなったことにより、日本でも若年失業の問題が顕在化した。しかし当初は「自主的なフリーター」「就労意欲の低下」といった若者自身の問題と認識されていたため、日本が本格的に若年失業対策に乗り出したのは2000年以降になってからで、いまだに試行錯誤中であることが書かれている。
本書では新卒にメリットのあるメンバーシップ型を維持しながら、そこで抱えきれない部分に対しては欧米に近い「ジョブ型正社員」の導入が提唱されているが、これは中小企業の中途採用ではかなり近い状態にある気がする。なのでネックなのは中小企業経営にあるのではないか、という気がする。
また、政策の観点が詳しい一方で、民間企業による職業斡旋がどのような影響を与えてきたかについて書かれていないので、そこが少し物足りない感じ。
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日本の雇用形態を歴史・法律を紐解いたり、欧米を中心にした諸外国などと比較しつつ、「入社」の仕組みから、どう働いてきたかについてまとめる。
(1章~2章)
そのうえで、どういう教育システムが構築され、「入社」に結び付けようとしてきたか、その弊害、ひずみを追う
(3章~4章)
そして若者向けの雇用政策の変遷や、正社員の現在を追いつつ(5~6章)、どういった「働き方」が望まれるかを考える(7章)。
若者労働問題入門書、とでもいうべきか、置かれている現状を、
それがどういう道筋をたどってきたかも含めて、丁寧に解きほぐした一冊。
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http://lovesloth.blogspot.jp/2013/12/blog-post.html
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全ての会社員、とくに就活中の学生や転職を考えている人には必読。組合活動に携わっている人にもおすすめ。
批判したいのは、「ジョブ」とは何かということの定義が曖昧なまま議論が進むこと。そこが曖昧だと、最終的に著者が提示する「ジョブ型正社員」にしても、それが何を目的とした提言なのかがわからない。
世の中にはいろんな種類のジョブがある。医師や弁護士のようにわかりやすいものもあれば、必ずしも目に見えないものもある。また、極論と思われるかもしれないが、世の中には知的に障害がある等の理由で、いわゆる「ジョブ」を習得できない人もたくさんいる。そこに目を向けていないことを批判するつもりはないが、ではどこに目を向けているのかを示してくれないと、いいも悪いも言いようがない。
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≪目次≫
序章 若者雇用問題がなかった日本
第1章 「就職」型社会と「入社」型社会
第2章 「社員」の仕組み
第3章 「入社」のための教育システム
第4章 「入社」システムの縮小と排除された若者
第5章 若者雇用問題の「政策」化
第6章 正社員は幸せか?
第7章 若者雇用問題への「処方箋」
≪内容≫
学校図書館。
就職問題を歴史的に政治的にきちんとまとめた書。やや冗長なところもあるが、内容からいってそれを入れないと分かりにくくなるため、しょうがないか。
欧米の「ジョブ型」社会と日本の(特異な)「メンバーシップ型」社会。1960年代の高度成長が生み出した歪んだ就職を生み出した(「就職」ではなく「就社」)。2000年代に入って、貿易だけでなくこうした就職もグローバル化し歪みが一気に表面化したが、政治はそれに追いついていないし、是正する気もないように見える(それは今の「正社員」のみを優遇するため=それを良しとする一流企業を保護するため)。
第7章で著者は対策を挙げているが、高校教員としてはあとがきにある、「教育現場で『労働法制』をきちんと教えること」をどのように実施できるかが気になった。現在のような「大学入試」のための教育では、なかなかそこまで教えきれない(「現代社会」という授業が唯一の砦か?)ので、自分の持っている「日本史」の現代史の、高度成長期あたりで触れることになるだろう。そうした地道な努力では、なかなか深化しないかもしれないが…
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「メンバーシップ型」の雇用と「ジョブ型」の雇用。後者にシフトしていくのは確かに大事だけど、大学生の教育にまで仕事を見据えさせるのは反対。
本著では批判されているけど、大学はアカデミックであって欲しい。直接仕事に活きないかもしれないが、大学生しか出来ない事をしてから社会に出たい。
仕事に関する訓練を充実させたいのなら、職業訓練校で良いじゃない、と思う。
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ブラック企業や非正規雇用など若者の労働問題について、基本的なところから解き明かしていく1冊です。
教育の仕組みや諸外国との比較もとても興味深いのですが、この本のいいところは、解決策についてしっかりと述べられているところです。
以前から、雇用問題が世代間の対立として感情的に語られることに違和感を覚えていたので、この本を読んで本当によかったです。
労働問題に興味のある方すべてにおすすめの本です。
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2020年5月再読
最初に読んだのは、2014年頃だったと思う。
日本の労働問題について、これほど切れ味鋭く論じた本は、初めて読んだ。発行は2013年なので、発行から7年が経過しているが、分析は全く色褪せない。
日本の労働慣行と、欧米、特にアメリカの労働慣行の違いをきちんと整理したくて再読した。濱口先生のテーマは、言ってみれば、働く人達の幸せであるのに対して、私の興味は、労働慣行の違いが企業の、ひいては一国の産業競争力にどのような影響を与えているかということ。でも、最後は一緒かもと思い始めた。
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日本の雇用問題を歴史的な経緯の縦軸と諸国との比較の横軸で平易に解説した良書。現代の雇用問題を語るにはぜひ読んでおきたい。
かつての日本は学習と労働が切り離されていたが、「入社」のシステムが日本のパフォーマンスを支えていた。その「教育と労働の密接な無関係」が、部分的にせよ機能不全に陥入れば、それに代わって若者の雇用への移行を支える仕組みは、「教育と労働の密接な関係」以外にはあり得ない、と説く。
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こ難しい本って、なかなか一気読みできない質なのですが、興味ある内容かつ、分かりやすい文章だったので、一気に読みました。新卒一括採用が、気色悪いとおもいながらも、シューカツに身を委ねた自分ですが、メンバーシップ型とジョブ型雇用の論調を読んで、はっきりと今の時代に合わないと再認識しました。変わらないと日本は、壊れてしまうなと。。。
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欧米等のジョブ型雇用と日本のメンバーシップ型雇用について、詳細にわかりやすく論じられている。大学生にも現職の社会人にはぜひ一読して頂きたい内容である。
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詳しい感想はこちらに書いています。
http://ur-e1log.hatenablog.jp/entry/2016/11/22/211740
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とてもおもしろかったです。現代の日本の労働状況をときほぐして説明してくれる本でした。日本の、職業に直結しない教育の度合いというか、卒業して就職へ臨む若いひとたちの「これまでの教育が職業に役立つかどうか」の意識というかは、先進国で最下位だったそうです。義務教育を受けても、それがその後の就職にはつながらないと日本人は考えているし、実際そうなのでした。そんな日本の労働システム。本書では、メンバーシップ型と読んでいます。年功序列だとか、新卒一斉就職だとか、そしてそれらとマッチングした企業内のシステムだとか、特殊なんですね。欧米に限らず、中国を含むアジアの先進国にも、日本のようなメンバーシップ労働システムはないそうです。日本では、仕事のスキルのない新卒者をいっせいに採用して、社内で少しずつ教育して使いものになる労働者に育てていきます。一方で、欧米型では、スキルのない若者は採用されません。欠員がでたときに、その仕事ができる人を公募して、若者にしろ中年にしろそこは構わず、持っているスキルで採用の有無を判断するそうです。その結果、若者たちが就職できないという問題を生みますが、公的な職業教育制度があったりして、その問題に対処しているそうです。もともと「人」を大事にする思想ではじまったメンバーシップ型労働システムなんだそうだけれど、法律など建前としては欧米的なジョブ型労働システムをよしとしているようです。ハローワークでの職探し、職業訓練、などは「仕事」に「人」をはりつけるジョブ型の考え。日本的なのは、「人」に「仕事」をはりつけるメンバーシップ型の考え。そして、いまや学生たちは就活と職探しを別々に考えているらしい。職探しは就活より下とみていて、なんとしても新卒で就職しようと躍起になる。給料もそんなに違わなくて、長い時間かけて取り組んだとしてどこがブラックかもわからなくても、既卒で職探しはしたくないみたいなんですよね。