紙の本
抱腹絶倒の断捨離記録
2021/12/26 17:32
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投稿者:ひでくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
病気を境に収集癖→捨てまくり生活に変貌した著者の断捨離記録。
時に激怒、時に悩み、イジイジしながらあーでもないこーでもないと試行錯誤する捨て生活は抱腹絶倒もの。
それにしてもこちらが恥ずかしくなるような開けっ広げの記録。
とにかく読んでいて楽しい。
このひとの本はハズレがない。
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健康になってからすっかり嗜好が変わってしまった経緯がおもしろい。しかし内澤さん、年々自分語りが冗漫、いや上手になってきましたね。
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内澤さんは初読み。『世界屠畜紀行』とか『身体のいいなり』のような硬派な?社会問題?の方、と先入観を持っていたので構えていたのだけど、数ページ読んでぶっ飛んで後悔した。面白いじゃん! なんで『屠畜紀行』読んでなかったの私、『飼い喰い』読んでなかったの私。
と言うより私このパターン、佐野洋子さんでもやったのよね~んで佐野さんはお亡くなりになった直後だったorz。内澤さんは存命。まだ間に合う!これから要チェックしていきたいです。
基本捨て捨て本。
その間に別の著書『飼い喰い』スピンオフのエピソード(勿論捨てに絡んで)、トイレットペーパーを止めるにあたってのウォシュレットネタ。
この本の始めの方で実はまだドレッサーはある、とあったのだけど本当に捨て作業は進んでいるのか?
いやでもちゃんと進んでいたようです。
ご病気と共に憑き物が落ちたかのように自分の蒐集してきたものが重荷に感じられるようになり、捨てるようになる。
そしてあらかた捨てて身軽になったら、最後まで残したものと(捨てたものとも)対話出来るようになった。内澤さんが「モノや本も所有するだけで、生命力が必要なのかもしれない。」と言うソレなんだろうな。
モノや本を所有するか、別のモノに引き当てるか、生命力の使い道について考えてみようと思った。
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これは断捨離の本ではない、と思う。ふぁっきん断捨離!な私ですが、なぜだかこの本の中の内澤さんにはすごく共感できるのでした。私もなにかとバカバカものをため込むわりに、ある日突然スッと憑きものが取れたようにどうでもよくなってしまいバサバサと捨てては、ある日急にゆれ戻しがきて後悔する、ということをくり返している。なので、捨て続けていた内澤さんの心理状態を読みながら、あぁ私もそういうことだったのかもしれないと腑に落ちることがたくさんあった。
ほんとね、荷物が多くて困っているんだけど、荷物が多いことに困ってるんじゃないの。片付かないのがイヤなだけなの。蔵みたいなバカバカとため込んでおけるスペースさえあれば、なにも悩むことはないのに!
一人あたりの住環境はどんどん小さくなっている気がするのに、どの時代にもないほどモノにあふれている現代。私が欲しい程度の物はなんでも買えちゃうそこそこの経済力(毎月お給料もらってるしね)ゆえ、モノは増え続ける。こんなにいろいろ売ってなければ買わないのに~。しかし、ヨーグルトの香りのする共和国の青年の例のごとく、貧しかったら貧しかったでますますモノをため込むことになりそうな気も。結局ため込むのはただの性格か…。私も悩みは尽きません。
文中に出てくる「投げ捨て展覧会」には私もいきました。そして私が大好きな本たち(『印刷に恋して』『本に恋して』『世界屠畜紀行』)の原画を手にし、感動にうち震えておりました。あの展覧会のウラに、こんな事情があったとは…!
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「本の雑誌」で連載を読んでいたので、もういいかなと思っていたけれど、やっぱりまとめて読むとずーっと面白い。迫力満点である。
「捨ててスッキリ!」なんて簡単な話ではない。やむにやまれず、たまりにたまったモノたち、つまり過去の自分を捨てていったら、またその先に違う葛藤が待っている。それでもそれは自分で決めて選んだことで、痩せても枯れてもそれを引き受けて生きていくのだという内澤さんの潔さを感じる。
グルグルめぐる思いがかなり正直に、というより赤裸々に語られているので、決して軽い読み心地ではないが、笑えるところも多々あって、充実の一冊だ。
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『身体のいいなり』に書かれたような身体の変化のせいなのか、著者は気持ちまでが変わって、"なんでも貰う拾う集める貯める暮らし"から、捨て暮らしに一転する。捨てて、捨てて、捨てまくる日々が綴られる。とくに私が気を引かれるのは、紙と本の捨てぐあい。うちも紙だらけなので。
製本の趣味のため「…素敵だからいつか何かに使えそう」と買った紙が、うんざりするくらい溜まっていたのも、ごっそり人にあげたり手放したり、紙を捨てまくった著者。
▼で、いざ紙ががっさりとなくなってみても、すでに別居したときに紙と離れてることもあるし、今現在本を作っているわけでもないので、特に困るわけでもないんだな。
これが、妙にじわじわと、ボディブローのように、こたえた。いざなくしてみて、ああやっぱり困る!!と嘆くほうが、まだ良かったようだ。どうやら資料本以外、何を捨てても特に困らない。ってことは、もう自分はこれまで積み上げた過去にも、これからの現世にも以前ほど興味や執着がないんじゃなかろうか。…なんだ、このがらんどう感は。なぜだろう、自分の中のみっともない執着や我欲と対峙するほうが、よっぽどましだ。
このうつろな思いは、処分が進んでいくごとにしんしんと深まってゆくのである。(p.186)
"内澤旬子のイラストと蒐集本展"で、これまでのいっさいがっさいを、なにもかもぶちまけてどかーんと出した著者。すごい量だったという。
▼もっと綺麗に選別して飾ったほうが売れるのにというご意見もいただいたけど、こっちのが気取ってなくて、全然心地良い。あたしの25年バーンと、ぶちまけてある。あーははははははは。
かっこ悪くて、最高だ。
コレ全部と一緒に暮らしていたときもあったのだと思うと、感慨深い。ちょっとあれだ、たとえは悪いのだが、イラストも古本も、むきだしの死体みたいだ。雑然と、累々と横たわる死体たち。全員成仏してくれれば、さっぱりする。(pp.211-212)
だが、さっぱりするには、それらに「値段」をつけなければならないのだ。自分の過去25年分のあまりのカオスに圧倒されて、「これを自分の名において売ることの恥辱に押しつぶされそう」(p.215)になる。
いっそ百均に?とやけっぱちになる瞬間に、「待てい」と内なる金の亡者がわいて出てきた。
▼一冊百円で売っちゃあ、どうすんのおまえ? これまでいくらこの道楽にぶちこんだと思ってんの? それでまた病気にでもなって、金がないって騒ぐわけ?? 引っ越したんだろ?? 物入りなんだろ?? 馬鹿じゃねーの?? これだけの人を巻き込んでんだから、少しは体裁整えて、てめえなりの付加価値ってやつをつけて、売れよド阿保が!!(p.216)
金の亡者はそうのたまう。
p.214に入っている「金の亡者イメージ図」がおかしい。
自分のためこんできた本やらなんやらに「値段」をつけるのは、自分の仕事に「値段」をつける難しさと似て、難儀やろうなーーと思う。
(1/14了)
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巷の断捨離本のように、捨てると魂のステージがあがる、というヤツではない。むしろそれを通じて自分の闇、というか病み、というか。それを照れ隠しかおちゃらけて描いてみた、と受けとりました。
トイレットペーパーも捨てる。配偶者も捨てる。本や原画も投げ捨てるように手放す。その様子にカタルシスをおぼえる人もいるだろう。でも僕は、「飼い喰い」で出会ったあの豚たちにまた会えたこと、そしてその時このような精神状態だったのだ、ということが読めて、むしろそっちに心奪われたのです。
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豚を飼って食べる「飼い喰い」とリンクしているのでそちらも読まなければと思う。(別に読まなくてもいいのだけど)
旅行先で買ったものや小物を多く持っていてたくさん捨てたけど、最後には捨てたのを悔やんでいるものも。
そういったものはほとんど日本で手に入らない本だったので本は捨てるべきではないのかなぁと。
私も色々捨てたけど、量産されていない本はやっぱりとっておこうと思う。
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意外と捨てないなと思いました。あと過去作品を読んでいるほうが絶対楽しい。
そして行き損ねた展覧会の裏側が出ていて、さらに悔しくなった。
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どんなに捨てるのか、気になって読み始めたのだが、そう捨てるわけでもない。
印象としては、著者はちょっと極端な人。
普通に生活している人が、頭のどこかに引っかかりながら、そのままにしていることを、突き詰めたら、こうなった。ということを書いて生計を立てている印象。
乳がんに罹り、いつ死ぬともしれぬから、踏み出せた、というようなことも書いていた気がするが、それは、まぁひとつのきっかけにすぎず、もともとそういう突き抜けたところまでやるタイプの人ではないか。
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内澤さんの本としては一番エッセイらしい本。今までずっと読んできたから、その背景や心理状態がわかって面白い。
この本が初めての内澤さんの本という人にはどうかわからないが。
体のこと、お金のこと、人間関係のことがストレートに飾らぬ言葉で書いてある。結構ハードなことでも、陰にこもった書き方をしないから、読んでて爽快。そして共感。
まあ、お金に困ったことのない人や、人間関係で躓いたことのない人、一度も体調を崩したことのない人は共感できないと思うけど、そういう人は内澤旬子に辿りつかないでしょ。
癌を経験して(ヨガのおかげで)前より健康になったという内澤さん、これでお金持ちになって、素敵なパートナーができたりしたらどう変わるだろうと思うと、彼女の幸せが楽しみ。
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あの養豚・屠畜の内田さん。そうだったのか!
自分の知りたいことにノメル、そのあげくの断捨離決行。
すごいパワー、離婚もしてしまう。その先は人生まで捨ててしまいそうなくらいすさましい「捨て方」。参考になりました。同様の書籍・資料マニアだから・・。
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内澤さんの本初めて読みました。
エグい表現があったりして笑ってしまいました。それだけではなく、読んでいてつらいこともあったり・・・これは、エッセイなんですね。
イラストがまたいい味醸し出してます。
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「世界屠畜紀行」の著者の断捨離エッセイと聞いて読み始めたらなーんだ「じみへん」の著者のエッセイ、「もたない男」より全然さっぱりしてないじゃないと思いつつ読み進めると、捨て去ることで鬱になっていってる…。これは断捨離しちゃダメって本でしたね。その辺りは共感できました。エグい表現やユーモアの度合いも私には強すぎるのですが、屠殺紀行で見られた著者の強い意志というかこだわりと書くことへのプロ意識はすごいなと感心しました。
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こんなに面白いとは!
腹を抱えて泣き笑う箇所多数。
それでいてぐっと沁みる、腹にこたえる箇所も多数。
引越をよくする人もそうでない人も、
「荷物」問題は人生にとってつきもの。
「人生」を考えることそのものでもある。
「捨てるだけが人生じゃない」。何を抱えて自分は生きているのか、改めて我が身を振り返りながら読んだ一冊。