紙の本
明治から昭和の初期に活躍された岡本綺堂氏の探偵趣味の奇譚を集めた短編集です!
2020/08/17 10:52
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、明治から昭和の初期にかけて活躍され、『異妖新編』、『随筆 猫やなぎ』、『支那怪奇小説集』、『明治劇談 ランプの下にて』、『怪獣』、『近松物語』などの話題作を次々に発表してこられた岡本綺堂氏の傑作です。同書には、死んだ筈の将校が生き返った話、山窩の娘の抱いた哀切な秘密、駆け落ち相手を残して変死した男の本当の死因、空き家に出入りする娘は本当に毒婦か、娘義太夫の美貌の太夫に毒を盛ったのは誰など、探偵趣味の横溢する奇譚を集めた短編集です。岡本綺堂氏の独自の作風が味わえる一冊です!
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収録作品は、
探偵夜話: 火薬庫/剣魚/医師の家/椰子の実/山の秘密/蛔虫/有喜世新聞の話/娘義太夫/穴/狸尼/狸の皮/百年前の黒手組、
附録: 女教師/密漁。
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帯表
「わたくしが探偵談に興味を持ち始めましたのも、つまりは怪談から誘ひ出されたやうな次第であります。」
探偵趣味の横溢する奇譚を集めた好評第四弾
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物好きな青蛙堂の主人が(多分以前は怪談を集めた。)、今度は探偵物語を持ち寄る会を開催する、という体。いろいろな素人さんが、物語っていく…。時代は明治で、まだ江戸が近かった時。不思議なことが身近にありながら、論理的に考えることもあるから、怪談と推理の境みたいでおもしろかった。
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“探偵趣味の横溢する奇譚”集。
印象に残ったのは「山の秘密」「狸尼」。
共に、ゾクリとさせつつ、謎と悲しみの余韻が残る話だと思いました。
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青蛙堂鬼談が青蛙堂探偵談に! …というわけで、百物語の形式で次々と参加者が体験した不思議な物語とその謎解きが語られるという、探偵趣味に溢れる一冊。
怪異と探偵モノの両方の素養に溢れた綺堂ならではの面白さを堪能しました。
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一見怪奇な事件に思えるけれど、それなりの理屈を付ければきちんと解決のできる、しかしやはり奇妙な読み心地の物語を集めた短篇集。どれもが奇妙で不気味で、そして魅力的です。
お気に入りは「椰子の実」。シンガポールで起こった奇妙な事件の物語。ミステリとして考えられそうだけれどまったくもってどういうことなのか、と思いきや、真相がわかってみると案外と単純で納得なんだよなあ。しかしただただ不運というか、やりきれない哀切さも印象的です。
「有喜世新聞の話」も面白いなあ。入り組んだ男女の関係から発生してしまった事件の真相。それははっきりと解き明かされないままに終わるものの、だからこそ印象的な気がしました。
「剣魚」「蛔虫」も面白いのだけれど……タイトルで真相がわかっちゃうのは微妙かな(苦笑)。