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人生折り返しを過ぎた(はず)だと言うのに知らないことばかりだ。
自分の無知にまたしてもあきれ果てる。
ハンセン病の名前くらいは聞いたことがあった。
ハンセン病訴訟のニュースもうろ覚えだけれどなんとなく知っている。
そう言えば小泉さんがハンセン病患者と握手とかしてたっけな。
私のハンセン病の知識はこの程度。
なぜハンセン病訴訟がこれほどまでに長引いたのかその裏には何が隠れているのか
考えたこともなかったし考えようともしなかった。
この本を読むまでは。
この本はハンセン病患者の歩んだ苦悩の道を描いた作品である。
ノンフィクション作家出身の著者だけあって、圧倒的なリアルで迫ってくる。
ハンセン病と分かった時点で故郷を追われ、療養所に入るか放浪の生活を強いられるしかなかった患者たち。
人々の差別はあまりにもひどくむごたらしい。
そもそもが国による政策と無理解によるためなのだから遣り切れない。
内容そのものは非常に重苦しく、読み進めるのが辛かった。
しかしミステリー仕立てになっているためか小説とも十分楽しめる。
過去の事だとは言え、ハンセン病患者のたどった道を知ることは有益だ。
これは氷山の一角。
ハンセン病に限らず国の政策が誤っていることも当然あるだろうし、人々の無知による悲劇はまた繰り返されるのだろう。
それを防ぐためにも何が真実なのか見極める力を養いたいと痛感した。
良い作品です、色々な意味で。
お仲間さんのレビューのおかげでまた一つ勉強になりました。
ありがとう。
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ノンフィクション作家による初の小説。小説として仕立てられてはいるけれど、そこにある真実はまさにノンフィクションなのだろうと思う。ハンセン病という名前は知っていても、それがどういう病気でどんな差別があったのか何一つ知らなかったので、読んでいてとても重苦しくつらい物語だった。自分より少し上の世代でもこれほどの差別があったという事実を、もっと多くの人が知る必要があると思う。涙なしには読めないつらく悲しいお話だったけど、最後に希望があって良かった。本当に、読んでよかったと思う。
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衝撃的。
小説だけど、きっと現実にあったことを題材にしているのだろうと思う。知らなければ良かった。いや、知らなきゃいけない。…どっちかな。
この本について誰かと語れるようになるには時間がかかりそう。
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ハンセン病患者の悲惨な虐げられた現実を、生々しくドキュメンタリータッチで描写されています。人間の行為とは思えない酷い仕打ちを繰り返してきた村の中心人物。悪業を繰り返しながらも、村の長老として君臨してきたのは、許せない思いに浸りました。
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ノンフィクション作家による初のフィクション。
緻密な取材をもとにして描かれるのはあくまでフィクション。しかし、ハンセン病に対する当時の差別は史実に残る以上のものなのかもしれない。そう思わざるを得ないほどの生々しさと現実感があった。インタビュー等で多く残されているのはあくまで隔離施設に収容されていた人々の声。しかし、著書のように施設にも入らず、ひっそりと身を寄せ合うようにして生き抜いてきた人々は確かにいたのだろう。そしてハンセン病に対する差別意識はおそらく著書にあるのと同様なもしくはそれ以上かもしれない事実があったことを想像させる。それは国の集団の偏見と先入観による誤りであったということを忘れてはいけない。そして、集団の力というものの危うさを胸に刻まなければいけない。
それは決して過去のことではない。
ハンセン病の謝った歴史を知る事ができるとともに、ミステリーとしても読み応えのある1冊。
フィクションという形式で描かれているからこそ夢を託す事ができるのかもしれない。
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四国の山村に起こった謎の連続老人失踪事件をめぐるミステリー小説のスタイルをとりながら、ハンセン病および精神障がい者に対する差別問題や、国や社会の過ちを告発する異色の書。ハンセン病回復者などへの取材を重ね、差別をする側の狂気や残酷さ、人間性を奪われ行き場を失った人々の哀しみをあぶり出している。著者の石井光太は、貧困・医療・戦争などをテーマに多数の作品を発表してきたノンフィクション作家。
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ハンセン病の壮絶な差別・いじめの話を
殺人事件を軸に小出しに展開していく感じ。
ハンセン病の差別話は凄惨でゾクゾクしましたが、
ストーリー的には都合良すぎるところがあって微妙かな。
特にエピローグの「永遠の0」風な実は血のつながりが…のところはしらけてしまった。
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ドキュメントを読んでいるように感じるミステリー。2012年に起こった事件と、1952年のある村での出来事が交互に進行してゆく。60数年前に日本で本当に起こった「ハンセン病」への間違った意識がテーマの話。集団心理の怖さを垣間見る。人は「免罪符」さえもらえれば、どこまでも残酷になれる生き物なのかもしれない。ミステリー要素があったので、かろうじてこの本を読み通せた。現在の事件とある村での過去が結びつく。「蛍」のような小さな光から、大きな光になり、差別されて生きてきたハンセン病患者のこれからを照らす事を願う。
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つい最近、多摩全生園とハンセン病資料館に足を運んだ。
国がここまで法的に人権を奪っていたなんて…そして、それがずっと昔のことではなく、1996年まで続いていたという事実に絶句した。
差別自体は今も解消されたとは言いがたい上に、このような罪深い日本の歴史を知らない人も多い。
本書は、「療養所」への収容を拒み人知れず「カッタイ寺」で生きてきたハンセン病患者と、ハンセン病を忌み嫌い迫害してきた人々の運命を描く物語である。
著者も強調している通りフィクションであり、事実がどこまで再現されているかは定かではないが、人々の内面の描き方にはリアリティがある。
ハンセン病資料館に訪れた際にも感じた、
「人は人をここまで迫害できるのか…」
という衝撃。
虎之助の無念を思うと本当に、本当にいたたまれない。
だが、一筋の希望が残るエピローグには少しだけ救われた。
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ハンセン病患者のお遍路専用の寺があったとは知らなかった。
本文中にもチラッと「東の方が偏見が少ないらしい」との表記があるが、ハンセン病だけでなく、部落問題なんかもその傾向にある気がする。東北出身のダンナと話をしていて微妙な背景の違いを感じることも多々あるし。
石井光太は「物乞う仏陀」の作者。目を背けてはいけないことを徒然思い出させてくれる貴重な作家だ。
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重くて哀しい かつて国が隠し隔離し続けた癲病患者への政策が如何に患者や家族に計り知れない加害を与え続けたかを抉ってくれる作品。ハンセン氏病については極く薄い知識しか無いけど、ここでは間違った知識しか無い時代の1952,3年の話と現代に起きた殺人事件の話を交互に繰り出して相互の関連性を炙り出す。陰惨な事象に心が鬱ぐけど最後の優しいエンディングに救われました♪
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ハンセン病なめてました。この本を借りる時、ハンセン病の本と知らずに読んでいたけど、実際にこれに近いことが日本の各地であったんだろうなと思うと人の業を思う。
世界大戦時のアジア侵攻日本兵さながらの描写に気持ち悪くなるシーンも多かったが、冒頭のシーンがラストでつながった時の「あー!」はようやくここまで読んできたって思えて思わず感動してしまう。
現在と当時を行きかいながら接点が繫がっていく組み立てもついつい先を読みたくなって鬱々となる物語ながらも一気に読めた作品だった。
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この本を読む前の私は、ハンセン病について「過去に差別された病気」とぐらいしか認識していなかった。
具体的にどんな病気だったのか?
どんな差別をされていたのか?
そして、驚くべきことに今現在もハンセン病の人のための施設が全国にあるとかいうことも知らなかった。
この本はあくまでフィクションとのことだが、ハンセン病についての赤裸々な事実を知ることができたと思う。
思わず目を背けたくなるような描写もあるが、それが現実なんだ、と。
知ることができてよかった。
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フィクションのようで、
しっかりしたどんでん返しがあるのがすごい。
夢中で読み続けた。
過去の非道な人たちの罪と
今の日本の在り方と。
色々と考えさせられる。
四国に行ってみたい。
久しぶりにぞっとくる良い1冊。
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石井さんの小説。
彼の「遺体」は映画まで見たので、今回も緻密な取材に基づいて書かれているのだろう、と手に取る。
ハンセン病の話は新聞から得た程度だが、きっとこんなことがあったんだろうなぁ。
生々しくて読むのに絶えないシーンもあった。
身近に居ないとなかなか分かりにくい差別問題だと思う。