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角川ホラー文庫創刊20周年記念アンソロジー。
執筆陣は小林泰三、恒川光太郎、藤木稟、朱川湊人、岩井志麻子、平山夢明。
もう少し執筆陣が増えてもいいと思うが、少し物足りないぐらいがちょうどいいのかもしれない。
それぞれ『らしい』短篇でどれも楽しめたが、どれかひとつ挙げるなら朱川湊人『生まれて生きて、死んで呪って』。
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20の数字をテーマにした短編6編収録のアンソロジー
もっとも印象に残ったのは平山夢明さんの『ドリンカーの20分』
超常現象やサイコ的な怖さではありませんが、人の浅ましさ、醜さ、そして極限状況での人の本性をしっかりと描き切った好編だと思います。読む人によっては気分の悪くなる小説であると思いますが、良くも悪くもこのアンソロジーの中で最も衝撃的で印象に残るものだったと思います。
小林泰三さんの収録作は『逡巡の二十秒と遺恨の二十年』
小林さんの作品はかなりアクが強いイメージでしたが、この作品は比較的そのアクは弱め。どこか儚げな文章とラストに暗い気分になりながらもある意味では救いのあるようにも思えて印象的でした。
恒川光太郎さんの『銀の船』は相変わらずの恒川ワールド。その船に乗ってみたいような、決してめぐり合いたくないような。不思議な世界観とそこで暮らす人々の価値観が徐々に自分に伝わってくる気がします。
朱川湊人さん『生まれて生きて、死んで呪って』は朱川さんのいつものノスタルジー色は抑えた、日本ホラー小説大賞を受賞した時の作品に近い、幽霊の不気味さと人間の怖さを描いた作品になっています。
もっとわがままを言えるならせっかくの角川ホラー文庫20周年記念アンソロジーなのだから、『リング』の鈴木光司さんや『黒い家』の貴志祐介さんなど、あと二、三人くらい角川ホラーにゆかりのある人の短編を収録してもよかったかな、という気がしました。ちょっとページ数が薄目に感じてしまったので。
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≪スペック≫の劇場版ノベライズを買う際に思わずとってしまいました。
・小林さん
昔亡くした友人が垣間見える。雨粒が頬に当たる、室内なのに。ノイローゼか? いや違う。確かにそこに、彼は、いるのだ……。
・恒川さん
空想に基づく船、でもそれは夢ではなかった。ゆらゆらと生き続ける。身も朽ちない、死ぬか、生き続けるか、地上に降りるか。
(個人的にこの中で一番好き。ホラーっぽくないし)
・藤木さん
突然の電報、それは予言だった。追いかけられ逃げ惑う主人公、彼は生き残ることができるのか。
・朱川さん
姉が死んだ。自殺した。幽霊になっているらしい。姉を救うにはどうしたらいいか悩む弟。
・岩井さん
恐怖という存在に恐れおののく女性。たったひとり信じることができた男性。男性はバックパッカーだった。あるとき無性に淋しくなって彼女はホーチミンへ向かう。
・平山さん
だれが生き残るか。
一番むなしかった。
どれもホラーでありホラーでないような。最後は、なんか胸くそ悪かった……そんなオチかよ……。
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2013/11/13読了。ホラー短編集。平山夢明さん目当てで購入したのですが期待を裏切らず、最後に収録されている『ドリンカーの20分』が一番存在感ありました。自分だったらどうするだろうと考えたらすごく怖ろしい。読み終わってちょっと涙がでちゃいました。
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角川ホラー文庫20周年記念、豪華メンバーによる書き下ろしアンソロジー。
小林やすみんから始まって岩井志麻子、平山夢明で〆るという…なんと濃い掲載順…
どの話も、直接的な恐怖というよりはじわじわ精神的に嫌な感じの怖さ。
印象に残ったのは、恒川光太郎「銀の船」 永遠に続く時は緩やかな自殺、友人とのエピソードと合わせて悲しくなる。
平山夢明「ドリンカーの20分」は、珍しくグロイ描写が無いとおもったら…一番救いが無かった… 流石。しかし、独特のカラッとした口調が心地いい。
岩井志麻子「暑い国で彼女が語りたかった悪い夢」はね…もう、岩井節炸裂で、ドロドロと嫌な気持ち悪さを見せつけられた…
20周年アンソロジーという事で、話のどこかで20という数字が出てくるのですが、主題に置いたり無理やり入れ込んだり、それぞれの作家の特徴が出ていて、そこも面白かった。
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読んだことのない作家さんの作品も読めたのでよかった。『ドリンカーの20分/平山夢明』初めての作家さんにして最高に後味の悪い作品。人間の存在って何なのだろうか。
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一日で読了しました。
20をキーワードにした6編の悪夢。ヴァラエティーに富んでて、飽きさせなくて、良かった!
以下、敬称略で、自分の好み順に……。
平山夢明『ドリンカーの20分』は鬼畜系とは、別の顔である、救いのない系、読後感最悪(ある意味誉め言葉)の悪夢。
恒川光太郎『銀の船』はファンタジーの皮をかぶった悪夢。
小林泰三『逡巡の二十秒と悔恨の二十年』はまさしく悪夢。オチはけっこう好みです。
朱川湊人『生まれて生きて、死んで呪って』は血の悪夢。しかも、悪夢は繰り返されるのか?
岩井志麻子『暑い国で彼女が語りたかった悪い夢』は情念的悪夢。妄想系。
藤木稟『母からの手紙』は最後に救いがある悪夢。
ちなみに、平山夢明→岩井志麻子→朱川湊人→藤木稟→小林泰三→恒川光太郎の順で自分は、読みました。
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逡巡の二十秒と悔恨の二十年 小林泰三★★★★
銀の船 恒川光太郎★★★★
母からの手紙 藤木 稟★★★★
生まれて生きて、死んで呪って 朱川湊人★★★★
暑い国で彼女が語りたかった悪い夢 岩井志麻子★★★
ドリンカーの20分 平山夢明★★★
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ホラーアンソロジー。角川ホラー文庫創刊二十周年ということで、「二十」が隠れたテーマになっているかも。
お気に入りは恒川光太郎「銀の船」。一見穏やかで優しいファンタジーのような物語。だけれど、終わりのない旅というのはどことなく恐怖も感じさせられるかも……。
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有名なホラー作家陣によるアンソロジー。小林泰三の作品が一番好きな作風だった。どの作品も背筋が凍るような感覚のものばかり。ひんやりとなる。
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一過性のものより恐怖心が静かに増殖してくる、こんなホラーが読みたかった。恐怖の感触に肉付け出来る作品こそ、ホラーだと私は思う。
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20年前のある20秒の記憶に苦しむ男、潜水艇に閉じ込められた20分…。角川ホラー文庫の創刊20周年を祝し、「20」をキーワードにホラーの名手たちが世にも恐ろしい物語を紡ぐ。全6編を収めたアンソロジー。。
恒川光太郎と朱川湊人の未読の短篇が収められているので借りてみた。二人の作品は期待を裏切らなかったが、それ以外のこれまで読んだことない作家の短編も悪くなかった。恒川作品の中に文庫本「粘膜蜥蜴」という表現があり、思わずニヤリ。もしや恒川光太郎は飴村行のファン?
(B)
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ホラー小説界の一流プレイヤー達の寄せ集めなので入門にはオススメですが、割と一通り読んだ方々にはなんだか物足りない一冊になってしまっているようなきがします。大好きな平山先生でさえ控えめですし・・・ショボン。
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アンソロジーなのでひとまずそれぞれの感想。
「逡巡の二十秒と悔恨の二十年(小林泰三)」
この作家の物語はいくつか読んでいたのでパターンが読めた。思った通りのオチ。「思った通りのオチと思わせておいてもう一捻りある」話を書く作家だと思っていたけれどこれに限っては本当に想像できる通り。相手じゃなく自分でした、という。しかし常にもやもやドキドキさせる独特の空気がある。個人的には苦手なのだけどホラーとしては正しいしすごいことだと思う。
銀の船(恒川光太郎)
この作家も大まかなあらすじはほとんどの作品で同じ。異世界に行って帰ってくる話。稀に帰ってこない。異世界と言っても完全にファンタジーではなくて、日常と地続きにある異世界。パターンが豊富で面白い。割と読みやすく懐かしい空気の文章の割に妙なリアリティのあるグロテスクな表現が特徴かなと思っている。が、今回はグロ無し。読むたびに「自分がこの異世界に行ったらどうするだろうか」と想像してみるけれど、今作は資格が無かったので少し寂しい。未成年限定の空飛ぶ街。
母からの手紙(藤木稟)
これが読みたくて借りてきた。バチカン奇跡調査官のスピンオフ。シリーズを読んでいない人が読んで面白いかどうかはわからない。私はシリーズのファンなのでとても楽しめた。
生まれて生きて、死んで呪って(朱川湊人)
勿体ぶった言い回しが若干読みにくかった。この作家の文章は他にも読んでいるような気がするけれど覚えていないので、作家の特徴なのか語り手のキャラクターなのか判断できない。主人公やその他の人物がイニシャルや伏字になっているのに1人だけフルネーム出てくるキャラクターがいるので、もしかしたらこれも何か別の作品のスピンオフなのかもしれない。収録作品の中で一番わかりやすくホラーだった。自殺した姉の霊。
暑い国で彼女が語りたかった悪い夢(岩井志麻子)
おそらくこの作家の作品ははじめて読んだ。夢オチ?正気なのは誰か。文章は読みにくくはないが話としては特に面白くなかった。作者の紹介ページに恋愛小説の文字があった気がするので興味が持てない。
ドリンカーの20分(平山夢明)
一言で胸糞悪い。多数を助けるために少数を犠牲にすること。を、子供同士にやらせる。終始救いがないし尽く気分悪い展開。「と思わせておいて実は助かるのでは!?」という読者の期待をあっさり粉砕するのですごい。無慈悲。読後感の悪い作品もものによっては大好きだけれど今作は二度と読みたくないしこの作家の作品は金輪際手に取らないと思う。
全体の感想。二十周年記念アンソロジーで「二十」をキーワードにした短編集ということだけど「別に二十じゃなくてもよくないか」という作品がほとんどで萎える。別にそこ縛らなくてもよかったのでは。アンソロジーの意義って「好きな作家が参加しているから読んでみようという気になる→他の作品も読んでこれまで知らなかった作家を新規開拓する」ということじゃないかと思うのだけれど、後半に全く役に立たない1冊で残念だった。意味があるのか無いのかわからないようなテーマを��定して面白さに欠ける書き下ろしを集めるくらいなら既刊からの抜粋でもいいから作家の特徴が出ていてキャッチーなのを載せた方がよほどいい。
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逡巡の二十秒と悔恨の二十年 小林泰三(こばやしやすみ)
銀の船 恒川光太郎(つねかわこうたろう)
母からの手紙 藤木稟(ふじきりん)
生まれて生きて、死んで呪って 朱川湊(しゅかわみなと)
暑い国で彼女が語りたかった悪い夢 岩井志麻子(いわいしまこ)
ドリンカーの20分 平山夢明(ひらやまゆめあき)
バチカン奇跡調査官シリーズ第7弾「終末の聖母」とのクロスオーバー作品→藤木稟「母からの手紙」
色んな種類の怖さが詰まっておりますが、ラストの「ドリンカーの20分」の後味が悪すぎる。首の骨が折れる音とか想像してしまうのと、なんだろうか格差的な馬鹿にされ方をしていて、なんかモヤモヤする。「生まれて生きて、死んで呪って」も、語りをしてる弟の職業とかたぶんやってしまったこととかを考えると怖さよりも、道徳面とかから怖い。「銀の船」は結構好みでラストも好きだけれど、人は年取らなくて、働く義務もなくて、そんな状況に置かれたら心が死んでくんだろうなかとか、銀の船が来ることはあり得ないことながら考えてしまった。(年的にももう無理やしな。)この船の制作者が一番人が悪くて怖いのだけど、見た目は人だけどヒトではない設定だったけど考えると怖いです。クロスオーバー「母からの手紙」は、バチカン本編読んでないとこの手紙の感動が理解できなくて、怖い予言の手紙が来て、なぜ息子が改心して国に帰るかがわからないと思われます。逆にバチカン続きで読むとニンマリします。
短編なのでライトなホラーで、作家のそれぞれのファンには物足りないかもしれないです。