紙の本
残念な作品
2023/08/10 17:20
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
人物や史実の多方面からの斬新な視点に定評のあるこの作家にしては、単なる史実出来事の羅列になってしまったような作品である。特に前半はその傾向が強い。同じ作者の「天地雷動」のように、話者を章ごとに入れ替えつつ多くの視点で記述していけばよかったのに、と悔やまれる。特に小西行長の講和策が切れ切れにしか記述されていないので、小西行長の外交策がわかりにくい。
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半分を過ぎるまでは…残虐な戦の描写に息が詰まりそうだった。
秀吉の朝鮮出兵の陰で翻弄された幾人もの男や女たち。しかしそれぞれが、自らの置かれた境遇の中で目覚め、成長し、大きくなっていく。朝鮮も日本も関係ない。もう人が死ぬのは嫌だ…そんな思いに従うことは、戦乱の世にはそれだけで自殺行為であることは、近くに太平洋戦争史をひもとくだけで知れること。
しかし、嘉兵衛、金宦はその思いに生きた。その男たちの強さに自らの守ってきた価値観すら捨て、戦の終結に動いた加藤清正。清正に、本当にあるべき指導者の資質を見た。
これがどこまで史実に迫っているかはわからないが、それでも読んでよかった。そう思う。
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全1巻。
秀吉の朝鮮出兵が舞台。
朝鮮出兵を歴史の流れとしてなぞったくらいの話はたくさんあるけど、
それ自体を舞台として詳細を描いた作品は珍しく、読んでみる。
いろんな方面への問題もあって
なかなか踏み込んだものが少なかった朝鮮出兵。
いろいろ初めて知って、へーって感じ。
朝鮮に降伏した日本人と、
日本に降伏した朝鮮人の運命の交差がテーマで、
上記の2人が実在したってことにびっくり。
日本人からみても首を傾げざるをえない老いた秀吉の決定は
朝鮮側からすれば悪魔の決定に他ならず、
いまだにそれを持ち出して非難してきたりする隣国の姿勢も
気持ちの上では分からなくはないなと思った。
まあ、当然、
現代日本に言われてもってのが正直な気持ちだけど。
そして、お互いがお互いの言い分を譲らずにいるうちに
朝鮮側の戦況がどんどん悪化してくさまは、
数百年後の李氏朝鮮滅亡まで変わらなかったんだなあと
変に感心した。
日本の「和をもって尊しとなす」精神と、
朝鮮の「衆に媚びず孤独を恐れず」な個を信じる精神。
ほんの数十kmしか離れていない隣国との
根本的な隔たりを感じた。
お話としては、
上記の2人の運命の交差を
もっと盛り上げてほしかった。
あまりメリハリが無く、
史実の描写に追われた印象だった。
個人的には惜しい作品。
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本屋が選ぶ時代小説受賞作。文禄・慶長の役(秀吉の命で日本軍が朝鮮へ出兵)したことを題材とした物語。日本側の鉄砲隊の隊長と、朝鮮側の役人の二人が主人公。ネタバレをしたくないので内容は記さないが、二人の生き様に涙が出ることまちがいなし。この小説を両国民が読めば、恩讐を越えて仲良くなれるかも知れない。
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朝鮮出兵の話で、戦地に赴いた日本兵の葛藤と、突然の侵略を受けた朝鮮の人たちの苦しみや怒りがドラマチックに描かれている。
朝鮮出兵というと、教科書では文禄・慶長の役がありましたってくらいしか知らなかったからおもしろかった。
加藤清正の周辺の人々について語られていて、清正のイメージもだいぶ変わった。おもしろい。
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秀吉の朝鮮出兵における附逆と降倭の悲劇と友情を描いた作品。巻頭の地図と併せ読みながら文禄・慶長の役のおおまかな流れも学ぶことが出来ますし,戦国末期の対外戦争のダイナミズムや一兵士の哀しみや誠実さも感じることのできる良作です。
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帯文:
”本屋が選ぶ時代小説大賞 受賞作” ”息もつかせぬ展開、怒涛のクライマックス 日本と朝鮮――戦う男たちの決断に感涙必至!” ”朝鮮出兵を真正面から描く、著者渾身の長編小説”
目次:第一章 焦熱の邑城、第二章 酷寒の雪原、第三章 苦渋の山河、あとがき
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秀吉の文禄・慶長の朝鮮出兵を舞台とした株少ない作品の一つ。衝撃のクライマックスに度肝を抜かれました。
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文禄・慶長の役――。
日本軍の先陣・加藤清正の鉄砲隊をあずかる佐屋嘉兵衛忠善と、朝鮮の北辺・咸鏡道の役人である金宦(きんかん)。日本軍が破竹の進撃を続ける中、他国を侵す戦いに疑問を抱き始めていた嘉兵衛と、都を落ちのびて咸鏡道にきていた王子を守る金宦があいまみえる。
嘉兵衛と金宦、二人の人生が交錯する時、戦場に奇跡が……。日本と朝鮮、戦う男たちの間に何があったのか。
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前半特にドラマが起こらず読むスピードが早まらなかったけども、喜兵衛と金カンの運命が交錯し始める後半面白くなる。こんな人物が実在したとは。清正の墓を参りたくなった。
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文禄・慶長の役を舞台にした歴史小説は珍しいし、実力のある作家さんで、人物描写もプロットもしっかりしているので安定して読める。
でもちょっとケレン味がなさすぎる感じがして、そこはやはり文禄・慶長の役は難しいと思う。
というか、荒山徹がおかしいんだよな。
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佐屋嘉兵衛と金宦、やがて立場が逆になってしまうが、それぞれが戦争集結に向けて尽力する。ラスト、特に嘉兵衛の選択はこれで良かったのだろうか、と考えさられてしまった。