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育児放棄、妊婦いじめ、児童虐待に動物虐待、家族同士の殺し合いをさせる(記憶に新しい尼崎の角田美代子事件とか)ストーカーに少年犯罪・・・現代ゆえの犯罪と思いきや、実は昔からあったと。
実は人間って、長い時間をかけてだんだんと人格者になっていっているのかもしれないなぁ。まぁ、まだ上記のような犯罪はなくなってはいませんが。
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大塚ひかり『本当はひどかった昔の日本』新潮社、読了。「昔は良かった」と誰もが言うが、本当に昔の日本は良かったのか。本書は古典を材料にその内実をユーモアに検証する。「古典ってワイドショーだったんですね!」(帯)。昔は良かったwとは大嘘。 http://www.shinchosha.co.jp/book/335091/
『源氏物語』、『うつほ物語』、『日本霊異記』、『古事記』、『枕草子』、『宇治拾遺物語』等々古典中の古典を取り上げ「ひどかった昔の日本」を浮かび上がらせる。「捨て子」、「夜泣き」、「貧困ビジネス」、「妊婦いじめ」、「虐待」、「ストーカー殺人」、「毒親」、「動物虐待」……ワイドショーの「ネタ」は新しくもない。
「昔の日本はよかった」という主張は常に「今の若い連中は」という当てこすりがワンセット。日本を取り戻す? 取り戻すまでもないのが実情で、本書を読んで「現代に生まれて良かった」とすら覚える。懐古趣味の胡散臭さをテクストから痛罵する好著。
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弱者に対する差別や虐待の残虐さは凄まじいものがあったなと、著者とともに古典を振りかえりながら思いました。
そしてこの「弱者」に子ども、妊婦、老人、障害者、容貌の残念な人が含まれるんです。この中のどれにも該当せずに人生を終えられる人はいません。
そう思うと、差別がないとは言えないけど、弱者が迫害されたり、直接的に危害を加えられたりせずに済む現代は、確かに幸せだと思います。
特に驚いたのは、捨て子は野犬に食われるのが当たり前であったということ。
悪評高い生類憐みの令だが、その中には捨て子を禁じる命令もあり、その点では画期的だった。お上が厳しく禁じるまで、捨て子はありふれた必要悪だったのだということ。
少しずつだが確かに、日本人は社会をよいものにしてきました。同時に、ほんの少しずつしかよくなっていません。古典の描いた社会と現代の差異を考えるのは、日本人の現実と希望を見据えることだと思います。
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日本の古典から、現代でおこっているえげつない犯罪例を超えるような話をまとめた本。後味はあんまり良くない。内容は、マタハラ、ブラック企業、少年犯罪、介護疲れ殺人、などなど。昔は倫理観が違っていて、弱者に対する扱いは現在から見るとひどい。例えば、重病人を外に追い出して野犬が食べる。後家の娘を遊郭に売るために再婚するといった話。
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よく「昔はよかった」など、古き良き日本礼賛のような話を耳にすることがあるが、倫理観というものが広く人々に知られ受け入れられている現在からは、その実、およそ信じられないようなことが昔はまかり通っていたのだという事実を、古典や史料などを通して明らかにした本書。
確か、似たようなテーマの本を他でも見たことがあったなあ。
子ども、障害者、病人、妊婦などに対する人権無視の扱い、現代の比ではないほど多発していた少年犯罪とその残酷さ、動物虐待など、昔の所業や周囲の反応を読むと、現代がいかに倫理的に発達してきた社会かと思う。
まあ、かといって必ずしも何でも今のほうが優れているというわけでもなく、いつの時代にも、良い面もあれば悪い面もあるということなのだろうけれども。
今回初めて知ったのは、犬公方として知られた徳川綱吉の発令した生類憐みの令、遠い遠い昔に授業で習った記憶では、犬を過剰に保護する法令ということだったと思うが、実は犬よりも、捨て子や捨て病人、捨て牛馬をより強く禁止、広く徹底しようとした法令だったということ。
ふ~ん、弱者保護とは、結構先取り感覚の将軍だったのだなあ。
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-2014/03/30
「昔は良かった」と挨拶のように口にするが、昔話を思い出せば一目瞭然。姥捨山は棄老であり、一寸法師は障害者差別である。
「青い鳥」のように、幸せは今ここにある。
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表紙は「ねぎぼうずのあさたろう」の飯野和好さん。なんだか勝手にひどい話からほのぼのした話に転じるのだろうと想像して読むが、どうにもひどい話ばかりである。古典から読み解く、日本人のひどいところ。
捨て子、子殺し、妊婦いじめ、ブラック企業。ただ、ところどころに、人や人外のやさしさというか間抜けさみたいなものが描かれていて、それが古き良き、という想像をさせてしまうのかもしれない、と…。
でもさあ、美人は前世の罪が軽く、醜い人は罪が重い、などと宗教で定義されてはたまらない。そういうわけで、昔はよかった、なんてことないんじゃないの?って。
日本神話はいきなり蛭児を捨ててしまうし、かつての日本は子どもをはじめ、命が軽かったし、差別がしたくてしたくてたまらなかったのだ。でも、決して「昔」と「今」の境目があるわけでもないし、僕らの間に脈々と受け継がれているんじゃないかなあ。
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なんか途中からファミレスで気さくな物知りねーちゃんから蘊蓄利いてるような気分になった。身近な人の話や個人的な感想がちょいちょい挟まれるようになったせいか?
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最近は特定の民族や国の人々について、歴史上の証拠を上げて、残忍で狡猾だとか決めつける趣旨の本を見かけるが、これは日本人が彼らより優しくて良い民族だと言いたいのだろうか?彼らと同じ歴史を歩んで来なかった者が、彼らより良い人間だというのはおこがましいと思う。人間は条件が揃えば何をしでかすか分からない。全く同じ立場になってみての行動で、はじめて評価が出来るのではないかと思うのだ。例えば自分個人についても、果たしてナチスの時代に生きていたら、どう行動したかなんて分からない。恐らくその他多勢と同じ行動をしただけだろう。この本を読んで、日本人とて特別ではない、人間の自分勝手で残忍な一面を知る事が出来る。
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いつの時代も、家族はぶつかり合うし、子どもは残酷だし、人は見た目を気にするし、お金も大好き。
昔にノスタルジーを感じるのではなく、「人間そんなもんだ」と目の前の人や課題に向き合うほうがよっぽど健康的。
そして、昔に対して気負わず自分に向き合おう。
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勿論、昔の日本の社会が、今よりも生きるのに良かった訳は無い。軽々に、昔は良かったという話ではないと言うこと。
それこそ、神代から江戸時代までの古典文学から、生活を浮かび上がらせる。
色んな考え方の違いも見えて来て、面白い。
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大変勉強になりました。
古典文学からの参照がとても多く、昔の時代の読み解きだけでなくこんな面白そうな作品があるのか、という面でも楽しめました。
文学からそれが書かれた時期の文化や人々の考え方が紐解かれていて、とてもわかりやすかったです。
ですが、どの時代が良い・悪い、といった話はどの視点から時代を見るかにより、「一概には言えない」というのが真理だと私は思っています。
ですから、こういった昔の酷い面だけでなく、逆に素晴らしい面両方学んだほうがよりその時代を理解できるのではないかと思います。
まあ、タイトルが「本当はひどかった昔の日本」ですから、あえて良い面は書かなかったのだとは思いますが…。
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「少年犯罪が増えている」という言説を証拠をもって否定するところから説き起こし、古典文学によって、いかに「ひどい」ことが普通に行われていたかを示す。
綱吉が、捨て子や病人の遺棄を禁じた話もあり、古代から近代まで、価値観によって歪んで伝わっている話も多いと思わせられる。
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江戸時代以前の日本人は、今のアラブやアフリカ人程度の下劣さだったのか!?
子供の待遇や命は相当軽視されていたようで、代わりに親を今より大切にしなければならない「人の目」があったようだ。
心身症や鬱患者も比率的にそんなに現代と差が無かったのかも。
「日本人の誠実さ」が形成されたのはいつ、何によってなんだろう?明治時代の教育?
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古典に精通した著者だからこそ書ける、内容。巻末の参考文献の多さを見ても「読んで教えてくれてありがとう」という感じ。歌舞伎なんか見ると、大した理由でもないのに娘を遊郭に売ったりするシーンがあるし、近松心中ものも「でも、なんで死ぬかな」と、いろんな解説を読んでも芯から納得したことはなかったのだが、これを読んで、かなり納得した。
歯の治療をする時、「現代に生まれてよかった」とはいつも思っていたけど、ここまで昔がひどかったとは・・・。「今昔物語集」も抜粋しか読まなければ、こういうことって知らずに過ごすわけだよね。
それにしても、法や意識は変わっても、人間はあやまちを繰り返し、ちっとも変わらないんだな、としみじみ。