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第4弾。前の3冊が龍機兵搭乗員の3人を順にクローズアップしてきて、今回は特捜部のイイ男達に迫っちゃう〜!の巻。
城木理事官の家族や自分の信念に幾重にも悩む姿、由起谷警部補の熱くて壊れそうで優しい心、何て魅力的!
『母(の役割を担う、装う人)』の存在が、『子(の位置にいる人)』に与えるプラスとマイナス。
人の置かれた立場が、相手に与える力の作用を、ねじ曲げてしまうこと。
そんな事も考えさせられたり。
それと、龍機兵のデザイン、誰か描いてるかなあ。脳内では士郎正宗イメージして読んでますが、そっちもワクワク妄想。
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すごい作品だ。毎回思う。圧倒的な戦闘シーンはむしろ副菜で、今回の主菜のテーマの深さはとても1文では語れない多重構造とでも言おうか。でも結局は「母」ということなのかな。いやはや、いったい今後の展開がどういうものになるのか想像も付かない。ただ、読み続けるのみである。
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シリーズ第4弾。今回の敵は女性メンバーのみで構成されたテロ組織”黒い未亡人”。苛烈な世界情勢や組織内の軋轢、個人の葛藤を盛り込みつつ、ラストは大迫力のアクションシーン。このシリーズは巻を追うごとに面白さを増しているね。
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シリーズ4作目。
今回の相手は少女たちすら自爆を厭わないチェチェンの女性テロリスト集団「黒い未亡人」。
年端もいかない子供たちの捨て身の攻撃に、相手をする特捜部たちは「子供殺し」という現実に精神的にも追い詰められます。
今作からいよいよ「敵」に焦点が絞られ始めますが、同時に不安の種も撒かれており、シリーズの今後がますます気になる興奮の1冊です。
ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
特捜部らとの攻防の狭間で語られる「黒い未亡人」の一員である少女、カティアの半生は、日本人からは想像もできない過酷なものです。しかし、まったく違う場所のまったく違う環境であっても、変わらない人間の本質によって心を通わせようとする由紀谷の心根が素晴らしい。
刑事の取り調べなんていうドラマではお決まりのシチェーション、しかも相手はテロリストの少女vs一介の刑事となるとどうしてもハードルが上がり不安なのですが、由紀谷という人物を掘り下げて迫力のある取り調べ場面でした。
姿、ライザ、ユーリがこれまでのシリーズを包括して変化をみせているのもうれしい。
カティアと由紀谷が心を通わせる一方で、互いに互いを消化しきれなかったシーラと日菜子。
今作でのキーとなるこの二人の女性は、共に他人の目から語られるばかりで実像がはっきりしません。全くの正反対のような似た者同士のような。彼女たちの計り知れない心の内が、この事件で多くの人々を巻き込んだように思います。
そして、今作で一番の注目だった城木理事官。
「敵」に偏りがちなのは宮近理事官だったはずなのですが、ここにきて城木理事官が非常に不安定になりました。
生徒会会長の座についた兄の行動に疑惑を感じたり、難民キャンプを巡る兄に胡散臭さを感じたりというのが、ロマンティストなのは兄で、現実的なのは弟という反転の布石になっているのもおもしろい。
城木理事官が「敵」側になった場合、宮近理事官よりもずっと手強そうでこの先不安です。
アイデンティティの揺らいだ城木理事官と、警官になって良かったと自分を肯定した由紀谷の対比でのラストも印象深い。
3人の搭乗員以外の登場人物たちも掘り下げられ、より壮大なシリーズになっていくようで今後も楽しみ。
それにしても庶務の桂さんが素敵でした。
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機龍警察シリーズ中、現時点で最も濃密だ。
人物それぞれの過去、業を積み上げ、抱える想い、苦悩をずしりと伝えてくる。
アクションシーンの迫力、かっこよさも相変わらずで、精緻に作り込まれた「世界」に思い切り浸った。
やっぱりこのシリーズ、いい。
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前作の流れからすると、本作の主人公は傭兵だと思っていたが、傭兵の過去の因縁を語ってしまうと物語が収束に向かってしまうのであろうか、ここでは閑話休題的に特捜部の他のメンバーを主人公にした物語でインターミッションという感じで、まだまだ話が続くのだなという良い意味で肩透かしを食らった。虐げられた女性と子供を救う目的を果たすために、それらを犠牲にして実行するという、その組織そのものの存在理由にかかる自己矛盾はテーマとして非常に重いが、それにしても、そこに色恋沙汰を持ち込み、自らだけではなく、すべてを生贄のごとく捧げる女の業の深さは怖いものがある。
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絶望的なまでに悪趣味な設定なんだけど、その悪趣味さはまさしく人間社会の悲劇そのものを体現してて、読み始めは毎度すごく嫌な気分になる。ただ、この恐ろしい世界はほんとわずかに垣間見える希望を描くためにあるっていうことが終盤で僕ら読者は気づき始めて、そこでジーンとさせるのがうまいんですなこの作者は。今作はシリーズの中でも一番その絶望の底が深い作品のように思う。その分だけ希望がより輝いて見える。
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チェチェン紛争で家族を失った女性のテロ組織、黒い未亡人を題材にした警察小説(て言っていいのかな? SFの要素も多し)。
いやぁ、面白かった。今年読んだ本で1番かも。評価★六個にしたいくらい。
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「失速」・・前3作に比べると脇役の層の厚さが災いして主役がぼやけてしまったといった印象。そもそも今回は主役って居ないのか・・前3作が良かっただけに残念。
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今回は龍騎兵は脇役にまわり、由紀谷警部補と城木警視にスポットが当たる。そしてカティアとシーラ。毎回だが、殉職する警官が多い。モブに厳しい作品。
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シリーズ第4作。チェチェンからやってきたテロリスト集団「黒い未亡人」との激闘。
特に第二章「取り調べ」がいい。そしてエンディングが泣かせます。
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とにかくこのシリーズは外れがありません。「自爆条項」ではラードナー警部の、「暗黒市場」ではオズノフ警部の過去が語られたので本作は姿警部の番だと踏んでいたのですが、うまくかわされました。「敵」の正体も徐々に明らかになり、今後も目が離せません。
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いつもながら、引き込まれます。
今回は黒い未亡人 テロリストがテーマ。
ソチ オリンピックでも、話題になっていた、テロ集団で、現実とフィクションの境界が消えてくるめまいを感じます。
ストーリーはぐいぐいと伝わる力強さを持って迫ってきます。
このシリーズはますます目が離せません。
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今回は城木…いや由起谷巻か。城木巻はまだこの後っぽいな。
少年兵はしんどいなあ。エインセル…最小化、バックワーダーってのはなかなかロマンを感じるけど、少年兵って考えるとしんどい。
シーラさんはよくわからんけど日菜子さんも私にはよくわからんよ。白黒極端な人はどっちにせよ苦手だ。
しかし姿さんはすっかり缶コーヒーキャラだな。周囲からも、調子がいいかどうかさえ缶コーヒーで判断されてて、なんなんだもう。宣伝部長なの?公式マスコットなの?
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完璧。今回は再びテロ。とはいえ、チェチェンのテロリストと言うこれまた世界の政治情勢を背景にしたリアルな設定。それも未亡人旅団と言う戦争の惨劇の申し子のようなテログループを設定し、世界の戦火の現状を描く。そしてもう一つ意表をついたのが、今回の主人公は姿ではなく、由起谷。由起谷とテロリストの少女、その兄とテロのリーダーという二重構造の人間関係が濃厚に描きこまれる。一方でリアルで悲惨なテロとの戦闘シーンも描きこまれている。近い将来このようなことが起きかねないのが本当に怖い。
これだけ悲劇的な内容なのに、熱い感動があり、しかも読後感が爽やかな感動なのもスゴイ。この作者は本当にうまい。多彩な登場人物を配しながらもどこも破たんしないどころか過去の話まで上手く取り込んでより高いレベルで物語を完成させている。読むごとにレベルが高くなっている。これほどの実力を持つ作家も日本には少ないのでは?