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紙の本
自分語りの大切な物語
2023/04/14 13:37
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終えると、自分の生きてきた時間を振り返りたくなった。反政府ゲリラの人質となってしまった日本人観光客の8人が、解放される当てなどない状況で、自分のとある物語を朗読会のように語り合う。どのようなことがあってもこれだけは物語として残しておきたいと願うような何かを誰でもが持っており、それを語り合うのである。静かに読み、耳を傾けたいなと思う。その語りは、祈りに近い行為であろう。私にも、そんな物語がある。
紙の本
私は淡白な生き方をしてきたのであまり面白いお話はできないか
2020/05/16 22:19
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
地球の裏側で日本人旅行者たちがゲリラに人質にされて、最後は犯人側のダイナマイトによって全員が死亡した。その時の盗聴テープから人質たちが朗読会を開いていたことが分かった、その朗読会の内容は、ラジオ放送されることになった。その朗読会では何が語られたのか、8人の人質たちは自分たちの身の回りに起こった出来事を語りだす、そこは小川氏の作品なので安心して読んでゆく。嫌われ者の大家さんと自社製のビスケットを頬張る女性、なぜか死んだおばあちゃんに似ていると言われ続ける女性、へんな縫いぐるみばかり作っている男と出会った男性、もし私が人質になったとしたらこれまでの人生の中で人に語ることのできる話はあるだろうかと考えてみる、淡白な生き方をしてきたのであまり面白いお話はできないかなと思った
紙の本
とても静かな作品です
2015/06/01 19:08
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投稿者:KY - この投稿者のレビュー一覧を見る
他のレビューにも書かれていることですが、小川洋子さんの作品にはドラマチックな展開はあまりなく、淡々と物事が進んでいく(何か・誰かが死んでいく)ものが多く、そのためとても静かな印象が残ります。それでも何故か心に残るものが多く、読む度に不思議な思いをするのですが、本作もその例外ではありません。本作について言えば、死んでしまうことが分かっているからこそ感じられる日常の些細な喜びのようなものがそのエッセンスになっているような気がしました。
紙の本
終わりの先
2022/09/06 04:27
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投稿者:ゆかの - この投稿者のレビュー一覧を見る
異国の地で拉致されて、それでもこんなに冷静に過去の物語を紡ぐことが果たして自分にはできるだろうか。とてもじゃないができない気がする。
みんなの印象に残っていた過去が、語っておきたいような過去が、わりとどれも切なかったりしんみりとするもので、静かに哀しみに浸るような気持ちでの読書になりました。
紙の本
ターニングポイント
2017/02/23 14:27
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
人質達が自分の人生のささやかな思い出を語る短編集です。
子供の頃に人助けをしたこと、ビスケットを通じた大家さんとの交流、名も知らぬ青年の槍投げを見守ったこと、あらゆる人から「死んだおばあさん」の面影を感じると言われ続けてきたこと。
どんなに変わり映えのない毎日を過ごしている人でも、その人にとって何かしらのターニングポイントはあるのかな、なんて当たり前のことに気付けた一冊でした。
電子書籍
たしかに構築された世界
2015/09/30 21:43
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投稿者:kyod - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名はそのまま、この物語の内容を表しています。
ある事件に巻き込まれて人質として囚われた人たちが催したささやかな朗読会。
そして物語のはじめに、この人質たちの顛末が明かされます。最初に来る衝撃、それを知ったうえで読み進めることで、物語の外にいるはずの読み手は物語に巻き込まれていくーーそんな感覚に陥りました。
これはお話なのか、現実にあったことなのか、その境界が曖昧になっていく感覚。これぞたしかに構築された世界。芳醇で純粋な物語の力を感じずにはいられない作品です。