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主人公の鬼若も、ストーリーも筋骨隆々
これぞ、雄の歴史漫画って感じの太さ
藤田和日郎先生や鈴木央先生とは違う、男臭さがある武村勇治先生の絵柄はホントに、歴史モノに合っている、と私は思う
もちろん、義凡先生が原作を担っているのも、面白い理由の一つだ
歴史漫画で何が大事か、と言えば、オリジナリティ
実際に時間の流れで起こった事象を背景にするからこそ、主人公を初めとしたキャラクターの個性はとことん、ブッとんでなければならない。かと言って、無茶苦茶な人間性だったり、極端に真逆の性格にすると、今度は全く面白くなくなってしまうから難しい
この作品は、見事に、その線引きが出来ている。王道でもあり、邪道でもある、つまりは新しい正道を自力で敷いてしまった
こんな喧しく、ケバケバしい平清盛は、これまでの歴史漫画には登場しなかっただろう。また、一時代を築き上げた強者としての『器』、これをしっかり書き表している点もポイントが高い
鬼若や義経、清盛が私の眼にカッコ良く、なおかつ、“大きく”映るのは強さ、弱さ、優しさ、怖さ、厳しさ、脆さ、それらを含んだ男らしさを損なわず、道や歩き方は違えど、同じデカい物を見据えて、堂々と、周囲の凡人の視線にも気にせず、生きてるからだろう
男が憧れる雄が大暴れしているのが、この漫画だ
加えて、サブタイトルが英語ってのも痺れるではないか
『花の慶次』に匹敵する、と言ってもイイくらいだろう
個人的に、この2巻でお勧めの一話は、鬼若が牡獅子とタイマンを張る“vol.11 power trip lyrics”
普通なら、有り得ない対戦カードだからこそ、余計にワクワクドキドキする
ラストで登場する、大陰陽師たる安倍晴明に匹敵する、超実力者である鬼一方眼が雄たちの生き様を更に複雑に絡み合わせ、華々しくしてくれそうである