紙の本
それぞれの暮らし
2017/04/26 18:32
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
職業も年齢もバラバラだが、自分の好きなことを大切にしていることが伝わってくる。部屋の間取りや食卓のメニューが見えてくるような気がする。
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「その人がなんでもないと思っている普段の生活が一番おもしろい」を証明してくれるエッセイ誌。私はこのNo.5が初めての出会いとなりました。おもしろい。ほかもぜんぶほしい。
小山田浩子、円城塔、松田青子など話題の作家陣をふんだんに取り入れていることだけでも驚嘆の「へーっ!」の叫びに値するものですが、書かれているものまでおもしろい。定価810円でよいのでしょうか。エキマエでラーメン食ってる場合ではありません。
いくつか、言葉にしておきたかったものだけピックします。
阿古真理×吉田アミさんの「ごちそうさまが、よみたくて。」。群を抜いておもしろかったです。勉強になりました。「真上から料理を撮るのって、日本ではどのあたりから始まったんでしょうね?」「(略)『ピー・アンド』っていうマタニティ雑誌ですね。八五年ぐらいにやったそうなんですが…(略)」――こんな会話がどうしたらさらっとできるようになるのでしょう。自分の身の程を痛感いたしました。
料理の現代史と社会学がそれこそカフェ・プレートになって出てきたような内容で、たいへんおいしゅうございました。
小山田浩子さんの書いたものは恥ずかしながらこれがファースト・インパクトでした。ああ、本当に文章のうまい方だ、と感心しきりでした。胸糞の悪いできごとが、あろうことか自分の幸福なはずの未来につながり、水に墨を垂らしたように広がっていく。その動線の描き方が巧みでした。
須藤輝「カラダのこと」はじんわり一日の時間の流れが感じられる文章で心地よかったです。読者一人を相手にしていると言えばいいのでしょうか。すごく丁寧で、良い意味でマスっぽくない。これぞ「生活考察」だな、という内容。
田中秀臣「おまえも明日はハゲるだろう」。ハゲから始まるハエの遺伝の話、熱中症、そして経済学…。「そ、そういうことだったのか!!」(初めの一文字だけの『そ、』が重要)と脱帽しかけました。なんでしょうねー、この説得力。
次号も読みます。