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一茶の俳句を,時代順に紹介しながら,一茶の人生の大枠も語ってくれるというありがたい,一茶入門書です。ただ,時代順といいながらも,解説の中では類似の句などは年齢に関係なく紹介してくれているので,一茶の俳句へのこだわりなども伝わってきます。
一茶の俳句は,教科書にも取り上げられているので,人口に膾炙している句もありますが,解釈を聞くと「そうだだったのか」というものもあったりして,面白く読めました。
解説者の金子兜太氏は,二人でかけ合いながら話しているように文章を書いています。ちょうと,ガリレオの『天文対話』のような方法です。これもまた,新しいです(ずいぶん前の文章らしいですが)。
あの「痩蛙」の句に対しては,一茶の不遇な成長期と直接類推したりするしたり顔に対して…
「小動物に呼びかけている感性のやさしい働きを受けとるべきで,その根底を探りすぎると句がつまらなくなりますね。それも,やさしさゆえに醸されている諧謔の味わいですね。」
と述べたりしています。この句の句碑が信州小布施のお寺さんにあったんだ。知らなかった…小布施には2度も訪れたのに…。
俳句を知らない人も,楽しんで読める内容でした。