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道尾秀介久々のミステリ作品。丹念に描かれる思い込みからのすれ違いや悪夢の描写は流石の巧さ。とは言え、サプライズは道尾ミステリとしては控えめかな。
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近年、自らの作品をミステリーではないと殊更に強調していた道尾秀介さんだが、久々に正真正銘の本格ミステリーが届けられた。
「悪夢」にうなされ、妻と離婚し、職も失った男。月に一度の息子との面会の帰り、女が電車に轢かれるのを目撃してしまう。男は、その女に見覚えがあった。32年前、生まれ故郷の信州の寒村で発生した、忌まわしい事件の記憶が呼び起される…。
狭い村である。32年前に父が関わった事件により、男はいじめられ、やがて母と共に転居を余儀なくされた。今では薬を手放せない男が、あの女の死を目の当たりにしなければ、32年ぶりに故郷に足を踏み入れることはなかっただろう。
まず、村の舞台設定が大変よい。かつて村の偉人によって築かれた地下水路が残る。ダムが完成し、地下水路は使われなくなったが、現在でも偉人を偲び、その命日には放水が行われる。32年前の事件は、この地下水路を抜きには語れない。
このおどろおどろしい雰囲気は、道尾作品では『骸の爪』以来か。地元在住の友人が何かと世話を焼いてくれるが、男が32年前の関係者と知られると、滞在が難しくなる。迷惑はかけられない。一旦村を出ようとしたとき、男に降りかかった事件とは…。
そんな本作が極端に暗くなっていないのは、写真家を名乗るある人物の存在が大きい。彼のひらめきがなければ、最悪の事態になっていただろう。立役者と言える、訛り混じりに話す名人。田舎に閉鎖的な面はあるが、本質的に温かい。
全体の構図は緻密にして明快。それぞれがちょっとずつボタンを掛け違えた結果、とだけ書いておきたい。それぞれ、根底にあるのは愛。しかし、愛の形を曲解してしまった。それだけに、こうなるしかなかったのか、悲しみが募る。
ところどころ挿入される悪夢の描写は、すべて解明されてみれば、なるほど意味がわかる。男は悪夢を振り払うことができたのか。そしてこれからどうするのだろう。新たに負った傷はあまりに深い。それでも、男には前を向かなければならない理由がある。
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道尾さんの作品は品が良いので好き
そしてきっちり騙してきっちり泣かせてくれる
西島秀俊さんで映像化希望
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主人公辰男の悪夢の描写が読みづらかった。
全体的に暗く、ページがなかなか進まない。
32年前に父親が殺したと思っていた女性が駅のホームに現れ、辰男の目の前で投身自殺。
真相を知るため、忘れたい過去と向き合うため、辰男は離婚して手放した息子と共に故郷へと向かう。
猟師だった頃の父、当時の組合長、滑落事故の怪我で教師を辞めた美彌子。
何故父は猟師を辞めることになったのか、何故組合長は殺されたのか。
真相が明らかになってもスッキリせず、なんだか後味が悪い。息子だけが唯一希望を感じさせる。
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幻想と現実の間を行ったり来たりして
背中がうすら寒くなり、
やるせない哀しみが襲い
少しだけの希望
どうしようもなくやるせないミステリーだけど
後味は悪くないのが道尾さんらしい
まんまと道尾ワールドに浸ってしまいました
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ここ数年の道尾作品は苦手で個人的にハズレと感じるものが多かったが今回はすごく良作。あらすじにはミステリーと書かれているがミステリー要素ありの何か違うジャンルも混ざってる感じもする。方言の訛りが強く読み進めるのに少し戸惑ったが読了した瞬間、スッキリときた気持ちになる。この作品は道尾秀介が最も得意とするテイストの作品だろうなとは思う。
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道尾作品の中でも暗いほうのお話かな?田舎が舞台で、お!この人怪しい~きっとこの人が黒幕だな!?と思ってたら大正解でした。その怪しい人を疑いながら読んでいたからやっぱりね!とうれしかった。けど、最近道尾さんのパターンが読めてきてしまってちょっと残念かな?
カラスの親指くらいのどんでん返しを期待しちゃいます。
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道尾さんらしいといえばそうなんだが、すごい既視感があった。『水の柩』とかと似てるのかな?ラストもいまいち。
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過去に起こった殺人事件と、封じられた記憶。閉鎖的な土地で新たな事件が起こる、じわじわとした嫌な感じがたまらないミステリ。
幻想的な「夢」のシーンに隠された真相が徐々に明らかになるのがとてもスリリング。終盤に向けて加速する緊張感と、そして思いがけない錯誤から起こった悲劇の哀しさ。作品のトーンは暗いのだけれど、世界観に入り込めばぐいぐいと引き込まれます。
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道尾秀介の最新作。書き下ろしの長編をハードカバーで購入。
以前は新作が出るのが楽しみでしょうがなかったのだけど、今は残念
ながらそうでもない(^^;)。困ったことに時折大ハズレがあるから。
この作品は果たして・・・。
・・・え~、やっちゃいました。
この本、僕には一つも響くものの無い凡庸なミステリー。
いわゆる叙述トリック系だが、ソレを完成に導く方策がやたら難解な
文章だったり、章末に唐突に挿入されるワケの解らない悪夢の描写で
あったりするのがいただけない。ストーリーはずっと重々しく、結局
ラストまで気分が晴れる事は無い。
ハッキリ言ってしまおう。この本、長いだけで全く面白くない。
正直、僕は道尾秀介の純文路線が明確に嫌いである。
以前の作品に比べると文章の質は上がっているのであろう。特に文壇
の小難しい理屈を述べる層には効果覿面なんだろうけど、昔から
道尾秀介を読んでいる僕らのような一読者を完全に置き去りにしてい
る感あり。いちばんの購買層はそこだと思うんだけどなぁ・・・。
残念ながらコレはハズレ。
これまでの経験から、次はこの路線で行かない(^^;)と思う。
・・・いや、そうであって欲しいなぁ、マジで。
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設定となる村がかなり土着的で、こんなところあるんだろうか、と思いました。時代的にも、設定はいつだろう、疑問がわきましたが、作品には不可欠な要素満載の村で、八つ墓村を思い出したほど。今こんな作品かけるのは、道尾氏ぐらいなんだろうな。長編ですが、一気に読めました。語り口調は複雑ですが、わりとあっさりしたミステリーです。
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道尾秀介の久々のガチミステリー&長編書下ろしということで、かなり読み応えありました。
小さな勘違いが更なる事件や悲劇を引き起こし、読み終わる頃には疲労感が。
舞台となる村の歴史や風俗が絡んだストーリー構成や悪夢パートが、どことなく不気味でした。
薬物、写真、地下水路など、いかにもな道具立て満載。
でも、どのモチーフも使い倒して、しかも安っぽく見えない作品になっていて、やっぱり道尾ミステリーすげえと思った次第。
俊也くん、いい子すぎる…
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全体的に暗く、鬱蒼とした山の湿った草のにおいがする。初期の道尾作品を思わせる大作。
悪夢から逃れるには、全てを忘れるか、全てを知るしかない。
誰にも感情移入出来ないが、最後に救いがありよかった。
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道尾秀介『貘の檻』(新潮社)読了。
道尾ワールド堪能いたしやした。
道尾さんの描く少年は本当に
健気で可愛くて悲しい。
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父の犯罪に関わった行方不明だった女性が目の前で死に、真相を求めて生まれ育った村へ行く。
過疎の村、過去の犯罪、地下水路等々怪奇小説的題材はそろっているけれど、ミステリーとしては物足りない。
登場人物たちが総じて幼い(実年齢ではなく)のも気になる。
結果的に悪夢を見なくなり、家族が修復されたと読んだので、後味の良い話。