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白石さんの本には
人はさまざまな人とのかかわり合いの中で、人生を生きていく
人は独りでは生きていけないし誰かに手を差し伸べられ助けられ生きているのだ
そこには偶然でも、必然でもない、まぎれもないものとして「運命」が存在している
本作品でそれを再度痛感した。
筆者の他作品での達観した男女の恋愛感も凄いのだが、直近作品の「死生観」は秀逸
本作「神秘」はその集大成なのではないだろうか。
主人公菊池を中心にした人間関係の相関図がこれでもか、これでもかと繋がって完成していく様が
てんこ盛り過ぎて気持ちよい
そして丁寧に描かれる「街」と「食」の描写
これはもう個人的な思いであるのだが、神戸の三宮も宮城も東京の下町三ノ輪や巣鴨も
すべて自分自身が接しいたことのある地であるため、その時その時の感情や思い出が見事にリンクしてしまった
白石作品には「人には衣食住が必ず必要でとても大切なこと」として、ほんとうに丁寧に描かれている
菊池の人生には遠く及ばないかもしれないけど一生懸命に慎ましく運命を背負って暮らしていきたいと思う
最後の「あなた」という言葉。グッときます。
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ごちゃごちゃしてる感じがして個人的にはちょっと…という感じ。いろいろなものを詰め込み重いテーマにしてる気もしてしまう。今回もハズレかな。合わないのになぜか、読んでしまう。
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末期の膵臓癌と診断された菊池が選んだ生き方は「直感で生きる」こと。21年前に電話で話をしただけの女性を探しに神戸へ。人のつながりの不思議。
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出会いはすべて偶然ではなく必然なのか?
途中のジョブズの話でだらだらしてしまい読むのに時間がかかったが、全ての繋がりが明らかになり始めた頃から白石ワールドにひきこまれページをめくる手が止まらなかった。
阪神大震災、東日本大震災に加えて、忘れられがちな私がかつて被災した水害にも触れられていた。被災した爪痕が見えないことが逆に被災した証なのは納得がいく。
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後半明らかになる本筋のストーリーはまさに神秘。冒頭の原発事故を受けての"この国はもう駄目だろう"との思いに共感。全編を通じた原子力政策をはじめとする政治批判に好感をおぼえた。だけど、死を前にした哲学的な思考は私にはできそうもない。死の間際の後悔、自分自身への忠実さ、仕事への過剰な奉仕、気持ちの隠蔽、友人との断絶、自分の幸せへの無関心。全て当てはまると思われる。今のうちに持っているものを全て捨ててしまおうかな。
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説教臭い作品でした!
と言ったら元も子もないのですが…
肝臓癌で余命1年を宣告された出版社に勤める菊池さんは、治療を受けずに治癒するかもしれないという感をたよりに、不思議な力を持つ山下やよいさんを探し神戸に移り住む
前半は宗教的で後半は嘘のような繋がりで、不思議な作品でした
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50代半ばの出版社役員が、末期癌を告知される。
彼は仕事を休み、神戸に向かう。
同年代の主人公が辿る道筋が、現在の自分の年齢に重なり、つい引き込まれて読み進めたが、最後に全ての糸が、余すところまで織り込まれてしまうので、ストレスはないけど、物語の外の世界でやりすぎやろとあきれてしまった。
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上手く出来すぎているなあ…え~???
なんて思いながら読み進めてみれば、頷けることばかりであった。
繋がりを辿れば、この世のすべてに理ありと感じる。
まさに私も、「誰かが必要とするならば、もう少し生かせてください。」と念じた後、MRIから腫瘍が消えていた経験を持つ…他者のなかにこそ私があるのだ…と感じた一人である。
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良い小説です。
がんになった人の気持ちが丁寧に描かれており、目が離せない感じで最初からぐいぐい引き込まれてしまった。
そのがんの話が、後半、いつの間にか人の縁とめぐり合わせの不思議さを伝える物語へと移行していく。
現実には、ここまで綿密に縁がつながることはないかもしれないけど、敢えて誇張して、縁の不思議さを伝えてくれる小説だと思った。
いろいろ参考になる言葉が、いろんな場面に散りばめられていて、生きるということについて、何度も深く考えさせられ、忘れられない一冊になりました。
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うーん。
長編すぎて読んでる方がだらけてしまった。
白石さんの小説はお店や地名の固有名詞がそのまんま出てきて想像しやすい。
震災前に訪れた神戸の街は、昔を思い出した。
癌についても、リアル。
ただ、あまりにすべてが結びすぎてて、やりすぎな感は否めないな。
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余命宣告を受けた主人公の心情や行動そして神秘的なできごとについて書かれた小説です。
最初の方ではもし自分も突然余命宣告を受けたらどうするだろうと思いながら、少し暗い気持ちで読み進めていたのですが、後半はものすごい勢いで物語が展開していき、読後感もすっきりとしたものでした。
ガンという病気についてもいろいろと考えさせられたし、ストーリーそのものもおもしろかったです。
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惜しい。すごく惜しい。
もっとテーマを絞り込め無かっただろうか、震災後の設定は果たして必要だっただろうか、こんなに多くの登場人物はあきらかに必要ない、とってつけたオチもなんだか安っぽい。生活感溢れる描写から生まれるリアリティは成功していると思うし、設定の数々も大変おもしろいが、まとまっていない。全体のバランスが悪すぎる。読者に長時間を要求するが、感想は惜しいの一言。
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人の縁や運命、必然をテーマにした小説だった。物語前半に張られた伏線が、後半怒涛のように繋がって行く。関係のなかった人物達につぎつぎに繋がりがうまれていくのは、少々やり過ぎという印象をうける。しかし、全てが繋がってしまうから、全てが必然であるから、人生は残酷だし、そして、救いがあるのではないかと読後にに考えさせられる。
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ここまできたら神秘。
でも、こんなことあるかも、あったらいいな。
実際、「え、あの人と知り合いだったの? 世間って狭いわね」ということがあるのだから、ここまで極端でなくてもあり得る話しだしね〜。
こういった繋がりを察知するには、それにつかむために感覚を研ぎ澄ましておかないとね。
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偶然、1年以上前の書評を目にして読んでみたくなった1冊。癌の闘病、余命宣告されることの心情、そしてタイトルの「神秘」が持つ意味が何なのかに興味を持ったからだ。主人公を通して、死ぬとはどういうことか、またそれを前提にして、生きるとはどういうことなのかについての著者の考えがよく伝わり、共感できた。人は最後には一人で死んでいくが、そこに至るまでは、たくさんの人とのつながりの中で生きている。私自身、この物語ほどではないが、子供時代の知り合いと、この一年以内に知り合った人とが、実は知人同士であったことがわかったので、出会いに不思議な縁や必然性を感じる。だからこそつながりを大事にしたい。この小説は、そんな自分の思いを支えてくれた気がした。