紙の本
外務省の中身
2020/09/03 11:16
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投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の孫崎は最近でもテレビで見かけることがある。外務省のキャリア外交官で、本省局長や大使経験者であるが、外務省の方針に反旗を翻していた。とくに日本の対米追従政策に我慢がならなかったようだ。キャリアの外務官僚でありながら、次官、OBらの米国派の厚い壁に堂々と立ち向かうというのは自殺行為だと思うが、外務省にも不満を持つ人が少なくないということかもしれない。
本書の登場人物は通常の小説とはやや趣が異なっている。主人公は架空の人物であるが、これは孫崎の仮の姿であろう。孫崎は実名で小説に登場している。実名で登場する幹部もいれば、仮名と思われる幹部もいる。本書のスコープは外務省全体であるが、中でも尖閣諸島に関する日中間の争いに焦点を当てている。著者は尖閣については田中角栄、周恩来会談の時点で課題として扱わないという合意があったことを主張したいようだ。
丁度民主党政権のときに石原都知事が都民の税金で尖閣を買い上げるという提案をし、実際に募金活動まで行ったことは記憶に新しい。そこでときの野田内閣は強引に国有化してしまった。これで火がついて中国政府がプロデュースしたデモ行動によって、中国に進出していた日本企業の施設や商品が膨大な損害を被ったわけである。
その先ぶれとして中国は漁船を利用した。漁船を海上保安庁の巡視艇にぶつけてきて、海保は漁船を拿捕し、船長を逮捕した。この際の政府の対応にも一貫性がなく、国民の大きな批判を浴びたのであった。
小説はそのすべてを明らかにはしていないが、かなり具体的な材料を出して記述している。外務省は国民からは離れた存在なので、日常的に何を行っているかは分からない。課長補佐級の主人公が日々どのように動いているかは覗けるので、興味深く読んだ。
日本政府が、その逐一を米国にお伺いを立て、米国がNOといえば、何もできないというのでは、それが真実ならば限りなく属国に近い。大統領がオバマからトランプに代わり、アメリカ・ファーストを掲げる政権になった結果、米国の力は急速に低下し、とくに安全保障に関しては世界の警察官を務める実力を喪失しつつある。
そういう点ではわが国独自の外交政策は、中国の進出を見るまでもなく、これからの政権に必須の宿題だと認識させられた。
紙の本
小説外務省 1 尖閣問題の正体
2018/01/03 00:31
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投稿者:在外邦人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
すべての日本人が知るべき事柄でありながら正しく伝えられておらず、小説家ではない外交官が止むに止まれず執筆したその心情がヒシヒシと伝わってくる著作だ。興味深く、明快に、分かりやすく日本外交の実情を描いている。難しい事柄を高校生にも理解出来るよう説く力量には、いつもこれぞ頭脳明晰な人の手に成るものと感嘆させられる。小説の形態を取らざるを得なかった事情は察するに余りある。
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2014/07/11:半分程度まで読む
やっぱ小説はかったるくてダメだ。
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ベストセラー間違いなしの孫崎享『小説外務省』: 植草一秀の『知られざる真実』
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-ba99.html
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昨日、行きつけの書店で平積みにされていて購入…
一気に読み終えた。『日米同盟の正体』以降、
著作、ブログなどを追っていたためか、本書は
小説のスタイルをとっているが違和感なく読めた。
登場人物、地名・店名などが実名であることが
多いせいもあるかもしれない。本書は、領土…
特に尖閣諸島に関し、現政権のとる方策に、
警鐘を鳴らす…それは次のよう…
日本政府の云う「日本固有の領土」は、
1945年8月15日に受諾したポツダム宣言に
もとづき、本州、北海道、九州、四国にしか
該当しない。
「先占の法理」と云っても、先住民の権利を
無視したものであり、現在では、国際的に
通用するものではない。実際に1970年以降
国際司法の場では使われていない。
それゆえ、尖閣問題に関しては、
「棚上げ合意」を思い出せ…としている。
現在…こうした言説を奇異に感じる者は多いだろう…
「固有の領土」は教科書にまで明記されつつある。
独立国家としての矜持とは何かを、
思わずにはいられない。対米追随の果てに、
いざ有事となったら、はしごをはずされるのは
日本に他ならないことを肝に命ずるべきだろう。
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尖閣列島の問題について世論と異なる意見が展開される。小説の形であるため、事実と創作の区別がどこなあるのかは定かでないが、主張する点は一聴に値するものだと思う。
西京寺が、ちょっとカッコ良すぎるのでは?
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うーん、小説としては。。尖閣諸島について勉強出来たのは良かった。「棚上げ」確かに国家間ではそれが一番良いかも。田中角栄さん、頭良いと思った。
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元外交官の著者による、尖閣諸島をめぐる日中問題の内幕を暴く小説(仕立ての論考)。尖閣問題をはじめ日本外交は米国に操られているというのが本書の趣旨。かなり陰謀論ぽくって全面的には信用できないが、一面の真実はついているんじゃないかという印象は持った。小説としても、一人の外交官の成長物語として、まあまあ面白かった。
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読了。面白かった。
尖閣問題の本質が小説仕立てでよく分かる。昔の人は偉大。周恩来首相も鄧小平主席も偉大。それと息を合わせられる日本の首相も偉大。いや、少なくとも「知恵」がある。
しかし、本質論過ぎて、正論振りかざし過ぎの主人公に今ひとつ人間味が感じられず、小説としての出来、特に結末部分の出来は…(苦笑
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著者の言わんとしていることはわかるし
賛同もするのですが。
小説としては、著者自身が主人公の憧れの人
という設定とか。著者の好みではないかと思われる
エピソードとかが入っていて、くだらない。
下世話な感じがします。
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著者は、最近、本を立て続けにだしている孫崎享さん。この方は1996年に外務省に入省し、
米国国防省は将来の国防政策として中国の脅威を軸として構築しようと考えていた。その際に日本と韓国を米国の尖兵として中国に対峙させたい。それには、日中間に緊張をもたらすことが望ましい。だから、対中強硬論者の石原慎太郎(当時東京都知事)を担ぎ出した。
この手法は過去にもある。日ソ間の北方領土問題について、サンフランシスコ講和条約で連合国は日本に千島列島を放棄させた。この際に英国は千島列島の範囲をできるだけ曖昧にさせておくのが望ましいと意見した。なぜなら、日本とソ連はその領土をめぐり、喧嘩をし続けるからだ。それによって、日本とソ連の結びつきを阻害する。英国に利益があるのだ。
キッシンジャーの心配は、米中が接近する際に議会に反対され、米中国交正常化が出来ない場合、日本が中国との関係を樹立することだ。田中角栄が首相になり、中国に向かうときにキッシンジャーは、日本人野郎がケーキを横取りにすると怒りをあらわにしたらしい。
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【Entertainment】小説 外務省/孫崎 享/20140809(65/239)
◆きっかけ
日経広告
◆感想
・北方領土、尖閣諸島、いずれも米国が日本をカモにする為、アジアでの米国のプレゼンスを向上させるための策略ということか。WWR2で負け、その敗戦処理を意図的にあいまいにしたがために、今もなお遺物として残っていることを知らしめた本。
・しかし、実際斯様な実行力のある外務省職員っているのか?自分の仕事そっちのけで真実を探求できる余裕はあるのか?ちょと現実味ない。
・著者は駐イラン大使まで勤め上げた外務省キャリア。故にとても説得力ある話。しかし、主人公の中途半端なラブストーリーは不要だろうし、まして、自分を実名で登場させ、自画自賛しているのは、結構引いた。別のやり方があったはず。
・ジャパンハンドラーという言葉がいまだ存在していること自体、米国の植民地的発想なのだなとも思う。そして、そのから抜け出せない。
◆引用
・ジャパンハンドラー:日本を操る米国の人々 CSISアジア・日本部長など
・植えられた場所で花を咲かせ:2008年、ヒラリーが大統領選でオバマに負け、国務長官として彼の下で働くことになった際の発言。
・米国との関係が深いことが、日本では出世の切り札。
・尖閣棚上げ論は、紛争の処理をどうするうかという観点で正解。
・外務省 国際情報統括官組織:複眼的情報分析をする。
・外交センスのない指導者を持つのは悲劇
・米国にとって日本は絶好のカモ。米国債保有額は11000億ドルでドイツの20倍。米国にとって、召し上げた金。
・日本を不景気にしておけば、日本は資金運用を米国でする。車の輸出等で稼いだ金は米国へ戻る。過去、英国が植民地インドで使った手段。それに我慢できな橋本首相は、米国債を売りたい誘惑にかられたと発言し、翌年総辞職。
・米国が日本にさせたいこと、①防衛費を増やし、米軍と一体運用できる装備を買わせること、②法体系を見直し、中東などで米軍と一緒に戦える軍にすること、③普天間から辺野古へ移転すること。
・英国は北方領土で日ソ間で喧嘩させておけ、それが我々に有利だと。キッシンジャーが1971年に同じように日ソを離反させておけ、いいっている。キッシンジャーは毛沢東 に日ソが政治的な結びつきを強めると危険と言っている。
・北方領土と同じように、返還の土岐に島の領有権の問題をあいまいにしておいて、日中で争わせようとした。
・小沢:日本の改革を真剣に目指した。官僚、政治家、ジャーナリストら米国よりの人間を一から育成し直さなければならない。だから米国はにほの今の統治体系を壊したくない。米国に隷属する官僚、政治家、ジャーナリストに日本の中枢にいてもらいたい。小沢はこのシステムを壊そうとしたので、米国は彼を日本の権力者にするわけにはいかなかった。だから、小沢を悪者に仕立て上げた。
・日本のメディア3分類:①御用メディア(官邸や官庁の記者クラブ、言い分をそのまま報道=大本営発表)、②①に属さない、中小メディア、独立色。しかし、①に反対すると締め付けが厳しくなる。③ソーシャルネットワーク。ツイッター等
・石���次官の強さ:力の強い者の考えを自分の理想にすることに何の躊躇もない。
・テレビにはその番組の筋書きがあり、その通りに発言しないとダメ。自分の意見を言ってもダメ。
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小説ではあるが、社会情勢の解釈として納得できる。そして目下の集団的自衛権などをめぐる状況に改めて危機感を覚える。やはり国民が声を挙げなければならない。
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日本はアメリカにゆっくりと殺されている。
鳩山由紀夫元首相、小沢一郎は愚者ではなく米国にとって害があるから人物破壊が行われた。
橋本龍太郎元首相はアメリカにとって害がある行動をとったため失脚した。
作者の説を鵜呑みにすれば、メディアや一部の政治家、官僚はアメリカから何らかの誘導を受けており、日本はアメリカの国益に沿う道を選択させられる事になっている。
本当だったら嫌です。
作者の空想の域を出ていない事を祈りたい・・・
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著者の「日本の国境問題」「日米同盟の正体」を、事前に読んでいたので背景がよく理解できる。若杉冽の「原発ホワイトアウト」によく似たノンフィクション仕立ての小説。若杉は現役官僚の匿名小説といわれているが、文体はよく似ている。
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孫崎享氏の本は初めて。
「小説じゃないから」という紹介? を聞いていたので、苦なく読めた。
尖閣諸島もそうだけれど、日本がこういう体質というのは理解できる。
ぜひ、皆に読んでもらいたい一冊。