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投稿者:ムギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は2014年時点の地球上の経済について語っている。経済は成長・分配・競争の3つの辺からなる三角形であり、どの辺が長くても短くてもいけない。戦後の日本は成長を続け、その結果現在は成長の辺が長すぎてデフレ状態になっているという。なるほど確かに、貧困の格差は近年何かと話題にされているし、成長に分配が追いついていないという部分は納得できる。
この本には、そのためにどうしたらいいかという答えは書かれていない。本を読んで知ったような気になるのではなく、その先どうしたら良いかの部分を読者に考えさせてくれる。
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地球経済を分かりやすく解説した本。そもそも「経済」の語源が「経世済民」世を治め、民を苦しみから救う。というものだったことにビックリ。そんな意味あったんだ・・
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エコノミストしてシンクタンクで働いたことのある著者が、中高生向けに分かりやすく、経済や金融、日本、アメリカ、ヨーロッパの経済の歴史や現状を解説したもの。随所にシェイクスピアやスティーブン・キングの小説、オペラ歌手、聖書などのユニークな例が出てくるのと、巧妙な語り口が落語を聞いているようで、スラスラ読めてしまう。
なかでも気に入ったのは、FTA(自由貿易協定)への批判の中で、「相手限定・地域特定は、自由・無差別・互恵の原則に対する明確な違反行為だ。そのような貿易のやり方を『自由貿易』とはしゃらくさい。そんなことをいうやつらは、束になってかかってくるがいい。全員、刺身にしてやるぜ。」(p.177)となっており、突然何が起こったのかとか思うが、「本書のプロローグにご登場いただいた三船敏郎扮する用心棒の浪人さんなら、きっとそういうに違いない。」(同)という感じで、著者も楽しんで書いているあたりがいい。
感じたことは2つあって、1つは経済学そのものの面白さ、現象だけを見るのではなく、「現象に惑わされず、その原因を見極めようとする」(p.85)、論理がつながっていく快感というのを味わうことが出来る。また、「最もシンプルな答えにばかり飛びついていると、頭の中まで、すっかりシンプルに単純化してしまう。」(p.162)なども、経済学だけでなく、全ての学問に共通することで、知的な興味を活性化させるのに必要な態度だと思った。あと、「合成の誤謬」(p.108)という、「個別的にみれば合理的な事柄を総合=合成してみると、とんでもない自滅のコースにつながっている状態」(同)というのも、色んな場面で起こりそうだなと思った。おれは英語の教師だけれども、1文1文を正しく読んでいるつもり、でも全体として何の話か分からない、むしろ思っていることと逆だった、みたいな感じだろうか。ミクロの視点とマクロの視点の重要性。
もう1つは経済とは「経世済民」で、「情けは人のためならず」のような倫理的な意義があるという側面を感じた。
経済の知識が多少なりともある人にとっては物足りない内容だろうが、おれにはちょうど良かった。著者は中2の時にはエコノミストになろうと思っていたらしいが、高校の時の政治・経済だってもっと面白い科目だったんだろうなあと思うと、学問の面白さに中高生で気付けるというのは幸せなことなんだなと思う。あと、スティーブン・キングのThinnerという作品は面白そうだなと思った。(16/08/29)
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地球環境について触れているかと思って手にしたが環境には殆ど触れずにグローバル化した経済の理想と現実のギャップやユーロ、貿易などについて分かりやすく?(若者には分かりづらい比喩が多いクロサワ映画やベニスの商人などもしかしたら私が無知なだけ?)を使いながら書き連ねている本だった。
経済成長やグローバル化に反対するわけでもなく経済成長やグローバル化は大いに賛成だが今のグローバル化などはカネ、モノ、ヒトの順になっていて健全ではないといった主張だった。
また日本のような国は成長しきっているから他の視点を持つべきというのもよくわかった。
この2つの点は同意、リッチスタンに触れていたのも好印象。
経済学に触れた事がある人には少々物足りないと思うので経済学に触れてない人が読んだ方が新鮮で面白いかもしれない。
2020/05/24 追記
経済学を曲がりなりにも4年間学んだ結果著者の主張がめちゃくちゃな事を知った。
このレビューを書いた時の自分の無知を恥じる
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確か、『新聞記者』望月がどこかで本著者に触れている中で、”信のおける人”的内容だったから、一度その著作を、ということで入手。読みやすそうなプリマー新書から。
2/3くらいまで読んで、とりあえず物足りなさが大。ただ残り1/3、世界経済俯瞰の段になって、一気に興味深い内容になった。予備知識が不可欠で、基礎的な部分に割く頁がどうしても長くなってしまう分、最後の主張部分にかけての振れ幅が大きくなったということか。