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SFマガジン700号記念アンソロジー、海外篇。
同時に発売された日本篇もバランスの良いラインナップだったが、こちらも古いものから新しいものまでバランス良く並べてある。
ジョージ・R・R・マーティン『夜明けとともに霧は沈み』は幻想怪奇小説を思わせるゴシックSF。ゆるやかに朽ちて行く楼閣の姿が映画のよう。
イアン・マクドナルドが収録されていたのは嬉しかった。その収録作『耳を澄まして』は切ない読後感が素晴らしい。
パオロ・バチガルピ『小さき供物』も良かった。小林泰三のホラー短篇を思い出すグロテスクな結末。
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日本編よりはバランスの取れた内容だと思います。収録作はこちら。
「遭難者」アーサー・C・クラーク
「危険の報酬」ロバート・シェクリィ
「夜明けとともに霧は沈み」ジョージ・R・R・マーティン
「ホール・マン」ラリイ・ニーヴン
「江戸の花」ブルース・スターリング
「いっしょに生きよう」ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
「耳を澄まして」イアン・マクドナルド
「対称」グレッグ・イーガン
「孤独」アーシュラ・K・ルグィン
「ポータルズ・ノンストップ」コニー・ウィリス
「小さき供物」パオロ・バチガルビ
「息吹」テッド・チャン
それぞれの作家の特徴がストレートに現れた、いかにも「その人らしい」作品ばかりが納められていて、SFショーケースとしても楽しめる良いラインナップだと思います。鴨的には、気になりつつもまだチャレンジしたことのないバチガルビとチャンの作品を読めたのがラッキー。そして、やっぱりイーガンは難しくて良くわからん・・・(^_^;
海外篇なのに、日本人の琴線に触れそうなと叙情性に溢れる作品が多く納められているのは、日本人が編集したからか?むしろ、日本編より日本的な感性に訴える作品が多いような気がします。マーティン、ティプトリー、マクドナルド、どれもしっとりとして良いですねー。
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700号からの選択ということで流石にすべてが面白い。
特に・・・
『危険の報酬』
こんなのが創刊号に載っていたら
ノックアウトされてもしかたない。
『夜明けとともに霧は沈み』
こういう喪失感が漂うのに個人的に弱い
『江戸の花』
西洋人のSF落語
『いっしょに生きよう』
しっとりとした、異生物との共生
『対称』
わからん
『ポータルズ・ノンストップ』
コレが一番来た、と思ったが・・・
『小さき供物』
未来への少し暗い展望
『息吹』
これが一番来た。テッド・チャンはとにかく読みたい。
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創刊700号記念アンソロジーというだけのことはあって、さすがの内容。SFマガジンに載ったもので、短篇集初収録となる作品が並んでいる。好みはあるだろうが、いずれ劣らぬ傑作揃いだ。
何をおいても語りたいのは、テッド・チャンの「息吹」。これは創刊50周年記念特大号で読んだのだが、その時の感動は忘れられない。今回も真っ先に読んで、前と同じく、いやそれ以上に心うたれた。SFって本当に素晴らしい!とつくづく思う。並みの想像力がとても及ばないような異世界が目の前に差し出されて、それだけでもすごいのだが、圧巻はラストの数十行。冷静に淡々と綴られている言葉が、「真実」のオーラを放っている。なんだか厭世的な気分になったら(時々なる)、このページを思い出すことにしよう。
好きだなあと思うのは、やっぱりル・グィン。「孤独」はハイニッシュシリーズに連なるものだ。研究者である母親に連れられて、異星にやってきた少女が、その星の人として成長していく。後退した文明と見なされているこの星の人々のありようが、不思議な魅力で迫ってくる。母や兄、元の世界の人たちと隔たっていく少女の姿が、切なくも凜として美しい。
ジョージ・R・R・マーティンの「夜明けとともに霧は沈み」でも、遠い辺境の星が美しく描かれていて心に残る。特に目新しいテーマではないのに、読ませるんだなあ。
ブルース・スターリングの「江戸の花」にはちょっとびっくり。すごくそれらしい(明治の初めの感じ)のは、訳のおかげ? ラストがぴたりと決まっている。イアン・マクドナルド「耳を澄まして」の静謐な世界も良かった。イーガンは例によって、よくわからないけど面白い。バチカルビは印象的なんだけど、やっぱり好きじゃないと再認識。
とまあ、それぞれにあれこれ語りたくなる作品ばっかり。私はSFマガジンと同い年。ずっと続いてほしいです。
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ハヤカワ渾身の短篇集
ハヤカワならオープニングはクラークしかない。「遭難者(アーサー・C・クラーク) 」は太陽のイオン生命とのファースト・コンタクトだが、テーマはレーザーだな。いいショートショートだ。
「危険の報酬(ロバート・シェクリイ )」は既読の気がする。ありそうな近未来だな。
「夜明けとともに霧は沈み(ジョージ・R・R・マーティン)」は邦題がいい。ひとつの謎をけっこう長く引っ張るんだが、オチは想像通り。美しく儚い。ロマンが詰まった物語だ。
量子ブラックホールを扱う「ホール・マン(ラリイ・ニーヴン )」はオチもブラック。この短さでこのオチはさすが。
外人が書いたとは思えない「江戸の花(ブルース・スターリング )」は文体が苦手で斜め読み。
「いっしょに生きよう(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア)」は最高だ。すばらしい。これまで読んでなかったのが惜しまれる。『たったひとつの…』の前に読みたかったなぁ。掘り出し物かな。満足だ。
「耳を澄まして(イアン・マクドナルド)」は文体が苦手で斜め読み。ナノテクと共生のいいテーマなんだがなぁ。
「対称(グレッグ・イーガン)」は不思議な邦題。原題が Before なのに、邦題はシンメトリー。凝りすぎではないか? で、やはりイーガンは難解だった。
これまた苦手なゲド戦記の「孤独(アーシュラ・K・ル・グィン)」。やっぱり苦手なままだった。
「ポータルズ・ノンストップ(コニー・ウィリス)」 は追悼作品だからか、少し無駄が多い。しかし、その中できっちりとタイムトラベルをいれてくるあたりはさすがだ。
かなり強烈なのが「小さき供物(パオロ・バチガルピ)」。葉に毒素を溜めてそれを落とす植物の発想だろうか。予備分娩とは恐れ入った。第六ポンプとねじまき少女と同じような路線だが、さらに厳しいストーリーだ。
ラストは寡作の天才「息吹(テッド・チャン)」。いやぁ、すごい。すご過ぎる。平衡が終焉。そして、未来の君へ。オチがわかりにくいんだが、さすがだ。
これまで、こんな素晴らしい作品が眠っていたとは。いいアンソロジーだ。
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SFマガジン700号記念アンソロジーの海外編。個人短篇集未収録の作品ばかりを集めたとのことだが、54年の歴史を感じさせる傑作ぞろい。お気に入りは、テッド・チャン「息吹」かな。
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SFマガジンの700号を記念するアンソロジーの海外篇。
往年から新鋭までの作家を取り揃え、豪華なふるまいとなってます。お目当ては、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア。一方、ラリイ・ニーヴンやパオロ・バチガルピの作品は、読んだことがなかったので、「なるほど、こういった作風なのか」と参考になりました。
全体を通して、個人的にヒットした作品はなかったのですが、それでも粒揃いの作家が生み出す物語は、十分に楽しむことができました。
▼収録作
「遭難者」 アーサー・C・クラーク
「危険の報酬」 ロバート・シェクリイ
「夜明けとともに霧は沈み」 ジョージ・R・R・マーティン
「ホール・マン」 ラリイ・ニーヴン
「江戸の花」 ブルース・スターリング
「いっしょに生きよう」 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
「耳を澄まして」 イアン・マクドナルド
「対称(シンメトリー)」 グレッグ・イーガン
「孤独」 アーシュラ・K・ル・グィン
「ポータルズ・ノンストップ」 コニー・ウィリス
「小さき供物」 パオロ・バチガルピ
「息吹」 テッド・チャン
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ジャンルは色々、SF短編集。
流石のコニーウィリス、パオロバチガルビ。
読ませるブルーススターリング、発想がぶっ飛んでるジェィムズティプトリー、短すぎて今ひとつのアーサーCクラーク、意味不明なイアンマクドナルド、同じく判らないアーシュラKルグィン。総じて興味深い短編集でした。
でも!やっぱり!コニーウィリスでしょ!
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アーサー・C・クラーク「遭難者」★
ロバート・シェクリイ「危険の報酬」★★★
ジョージ・R・R・マーティン「夜明けとともに霧は沈み」★★
ラリイ・ニーヴン「ホール・マン」★★★
ブルース・スターリング「江戸の花」★★★
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「いっしょに生きよう」★★
イアン・マクドナルド「耳を澄まして」★★
グレッグ・イーガン「対称」★★★★
アーシュラ・K・ル・グィン「孤独」★★
コニー・ウィリス「ポータルズ・ノンストップ」★★★★
パオロ・バチガルピ「小さき供物」★★★
テッド・チャン「息吹」★★★★★
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粒ぞろいといえば、粒ぞろいなんだけど、ちよっと、物足りなさも感じてしまった。テッド•チャンやバチカルビの作品は納得だけど、他の作家はもっと違う作品を選んで欲しかった。
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読む前と読んだ後とでは、物の考え方、感じ方だけでなく、自分の今いる座標軸さえ変わってしまったことがわかる、そんなSF作品が好きだ。
昔思い描いたようには、作家にも翻訳家にもなれなかった半生だとはいえ、名作揃いの本書を(図書館から借りて、ではなく)買って読めて、しかも感動でき、こんなサイバースペースに感想まで書き込めていることに、とりあえず満足している。
SFという座標軸がくれた、私という点(存在)。
PS.
アーサーCクラークで始まる構成には作品を読む前から、泣ける。
シェクリイの「危険の報酬」は何度も既読だがその度に世界がこの作品に近づいている、と感じる。
ジョージ・R・R・マーティンは知らなかったが、美しく心に染みた。
ホール・マン、未読。
スターリングの「江戸の花」も、新江戸周辺にすむ身としては味わい深かった。
グレッグ・イーガン「対称(シンメトリー)」。日本語なのに半分もわからず、わからないながらも良くわかった。これを英日訳した訳者には、最大限の敬意を贈ります。
UKル・グゥィンの「孤独」を、文化人類学者の娘に生れ、自身も娘の母である作者の、「アカシアの種子に残された文章の書き手」「冬の王」「ゲド戦記」 を経由した現在の到達点なのだと、読んだ。制御された語による制御された文体が美しい。買うべき本だった。
コニー・ウィリス未読。
パオロ・バチガルビ、そうだろうと思う。「孤独」の最終行へと読後感はループする。
テッド・チャン「息吹」。この世界観、この宇宙観こそ、私がSFに(無意識のうちに)求めているものなのだと、これを求めるように(SFマガジンに?ハヤカワ文庫に?)育てられて来たのだと実感する。この本を読む読者諸氏と、言葉と空気を共有できた幸せに(新たな涙ともに)感謝します。
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病院の待ち時間に読もうと思っていて、最初のクラークを読みかけただけ。分厚いし、ゆっくりと読むつもり。
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個人的なベスト3は
スターリング『江戸の花』
ウィルス『ポータルズ・ノンストップ』
チャン『息吹』
スターリングのサイバー・パンク落語にはやられた。
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◎「遭難者」 アーサー・C・クラーク
「危険の報酬」 ロバート・シェクリイ
◎「夜明けとともに霧は沈み」 ジョージ・R・R・マーティン
「ホール・マン」 ラリイ・ニーヴン
「江戸の花」 ブルース・スターリング
◎「いっしょに生きよう」 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
「耳を澄まして」 イアン・マクドナルド
「対称(シンメトリー)」 グレッグ・イーガン
◎「孤独」 アーシュラ・K・ル・グィン
◎「ポータルズ・ノンストップ」 コニー・ウィリス
「小さき供物」 パオロ・バチガルピ
「息吹」 テッド・チャン
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Robert Sheckley「危険の報酬」
James Tiptree jr.♀「いっしょに生きよう」
they are so simple, who satisfy the desire.