紙の本
ゴーン被告の件をきっかけに読んだ本
2020/02/11 19:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
御高名な刑事弁護人がどういうことを考え、どういう弁護活動をされているのか一端を知ることができました。弘中先生が扱われるような大きな事件では検察官のやり方がずいぶんあくどいんだなぁ。
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被告人の利益を護ることだけを考える。弘中先生のおっしゃる「正義」というものがよくわかった。知識も能力も経験も,何一つ弘中先生に勝てるところはないけれど,せめて刑事弁護についての「気持ち」は負けたらあかんなと思いました。修習生時代に教官から言われた「刑弁魂」という言葉を思い出しました。
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○弁護士の弘中氏の著作。
○村木事件や小沢陸山会事件など、数々の刑事事件の弁護を担当した著者による、刑事裁判の真実について、検察の捜査や取り調べの実態を通じて明らかにしたもの。また、弁護士の職域の拡大に伴う副作用やマスメディアを中心とする「つるし上げ」社会について警鐘を鳴らしている。
○著者の経歴や有名事件ばかりを担当していることから、「目立ちたがり屋」という偏見を持っていたが、それが間違っていることに気づき、恥ずかしい。著者の弁護士としての真摯な仕事ぶりや取り組み方、全体を見通す姿勢は、(本書だけで判断するのは早計だが)尊敬に値するもの。
○数々の事件をみると、いつ自分も「無実の罪」に問われるか分からないし、マスコミや世間から「悪者」にされるかが分からないという現実に、恐怖を覚える。そんなときに、自分の見方になってくれる弁護士が身近にいるのかも不安だ。(小沢事件やロス疑惑、ミドリ十字事件などは、自分もマスコミと同じく、「悪者」のイメージを持っていた。)
○本書では、様々な提言もなされており、一般市民としても、読む価値がある。取り調べの可視化や司法取引の解禁などは現実にも実現しつつあるが、さらなる司法改革、刑事裁判、検察行政の改革を望みたい。
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小沢一郎事件、厚生労働省の村木厚子さんの事件、薬害エイズ、三浦和義ロス疑惑等の事件は、ともすればメディアの影響で、捜査を受けた側があたかも悪者であるかのような印象をもってしまうが、それはしばしば警察とメディアがお互いに情報を提供しあうことで、つまりぐるになることで起こることだという。いや、メディアだけでなく、弁護士自身も権力とつるむことがあるようだ。弘中さんはあえてこうした被疑者側の弁護を引き受け、その無罪を勝ち取るべく奮闘する。この本を読めば、それが他人事でなく、わたしたち一般庶民も容易に犯人にされてしまう可能性が常に存在することがわかる。こうした刑事事件において、鍵となるのは検察での調書で、検事は自ら事件のすじがきを考え、硬軟いろんな手を使って容疑者に罪を認めさせる。とりあえず認めておけば出れる、ここで認めても裁判で否認すればいいのだと言って。ところが、調書は裁判での証言より重んじられるらしく、一旦認めてしまうとそれをひっくり返すことは至難の業になる。そもそも、民事事件と刑事事件は違って、刑事事件ではなにが真実かより、どちらに有利になるかが戦われる。検事は自分に不利な事実は出さないし、被疑者側も黙秘権を行使することが可能だ。本書のタイトルは無罪請負人であるが、弘中さんが手がけた事件のすべてで無罪を勝ち取ったわけではない。しかし、弘中さんはつねにそうした不当に犯人にされる人々の側に立ち、戦いつづけている。本書は週プレの読書案内で知った本で、さっそく求めて読んだが、実に置くあたわざる本である。
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冤罪、国策捜査、検察のストーリーに沿った供述の強要、自白するまで保釈しない人質司法等々、刑事弁護の経験豊富な著者による検察や司法制度に関する批判の数々。そして、こういうことは決して他人事ではないと著者は警告する。
確かに、こういう事例を並べられると、検察は怖い、日本の刑事司法はめちゃくちゃだという気にさせられるが、他方、犯罪が裁かれ、これにより社会に秩序がもたらされていることも事実であり、これに関する評価は本書には書かれていないが、そういう事実も踏まえて本書を読む必要があるだろう。
たしかに、検察に不利な供述調書の隠蔽のように、冤罪を生みかねない行動はよくないが、かといって、検察官は国家権力と大勢の人員を使っていて、徒手空拳の弁護人と対峙するのは不公平という主張は正しいのだろうか。立証責任は検察官にあり、疑わしきは罰せずとの原則によれば、検察官の方が有利とは一概には言えないように思える。
それはともかく、記憶に新しく、生々しい事例が多いので、ドキュメントとしても面白く読めることは間違いない。
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郵便不正事件、小沢一郎と鈴木宗男、ロス疑惑事件と薬害エイズ事件、これらの事件の被告弁護人をつとめたのが著者。
これらの事件のうち第1の事件だけは、完全に検察のチョンボであったが、その他の事件は、起訴された当時はさんざんの疑惑報道ばかりだったので、そうかもしれないと思わされ、とはいうもののモヤモヤの状況になってきて、そのうちに報道もなくなって忘れられて・・・結局どうだったのか? というのが自分の認識でした。
本書を読むと、これらの事件すべてにおいて被告は無罪であるとしか言い様がなく、検察やマスコミの非道に憤りを感じられずにいませんでした。
とかく検察は非常に強力な権力を持っているので、その暴走を許してはいけない。これらの事件に対して自分と同じような認識しか抱いていない人には是非読んでもらいたい本でした。
(2014/7/7)
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厚生労働省・村木事件、ロス疑惑三浦事件、小沢一郎氏の弁護等著者の弘中氏の語りくぐさわよくわかるけろども、この国日本の司法がこれほど病んでいるとは・・・。
検察の行政はもう、無きに等しい。なら、弁護士、判事は何を基本に判断しているのか。
この本に書かれている通りの司法であるならこの国は終わりだ。テレビ等に出ている「元東京地検特捜部」の奴らイイカゲンニしろ。
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弁護士として活動されて45年を振り返りまとめられた本である。
序章 刑事弁護とい仕事
第1章 無罪判決まで ― 郵政不正事件
第2章 国策捜査の罠 ― 小沢一郎と鈴木宗男
第3章 メディアとの攻防 ― 薬害エイズ事件とロス
疑惑事件
第4章 弁護士が権力と手を結ぶとき
第5章 刑事司法の現実
という内容である。
権力が束になって弱い者いじめ、また、マスゴミも同調。そのような日本の刑事司法に独特な感覚で立ち向かう弘中惇一郎氏。
不勉強で、知らなかった事実、法の適用の仕方。
勉強になりました。
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特捜部による捜査の酷さを説く。
厚生労働省 村木事件、小沢 陸山会事件 などの内情
最も興味を持ったのは、池田弁護士(オウム弁護を担当)の逮捕についてRCCの中坊公平に質問状を送ったこと。
弁護士が権力と結託する危険性に警鐘を鳴らしている。
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郵政不正事件。一般には厚生労働官僚の村木厚子氏が冤罪に陥れられた事件を指す。もとは郵便割引制度を悪用した罰金刑レベルの事件。手柄を焦る大阪地検特捜部が政官に及ぶ大事件にしようと関係者の供述をでっちあげ、あろうことか、重要証拠書類であるフロッピーを検察官が改ざんしていたというもの。有罪率99。9%、日本最強の捜査機関。裁判では完全無罪を出さない不敗神話さえ謳われていた検察の信頼を地に貶めた事件である。ドキュメンタリーなのに、さながら心躍る勧善懲悪劇。水戸黄門を見るような爽快感があった。とりわけ村木さんの言葉には泣いた。「私にとって犯罪者にされるかどうか、ゼロか百かの大問題。公務員として30年間やってきたことの信用を全て失うかどうかの問題。」保釈という甘い餌の誘惑に負けた公務員が続出する中で一貫して容疑を否認し、自白調書を一本も作らせなかった。起訴されても執行猶予がつくからとの検察の甘言に最後まで揺るがなかった。見事なまでの信念にただただ敬服するばかり。
小沢陸山会事件、ロス疑惑三浦事件、薬害エイズ安倍事件を通して日本の刑事司法の現実を炙り出す。人を有罪にするための仕組みはますます巧妙化される一方、救出する仕組みはほとんど整っていない。代用監獄、自白の強要、独房への監禁、死刑・・・・・警察・検察の力はあまりに強大すぎる。
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「弁護士には情報収集の力や論理的な思考力がもちろん求められるが、それとともに欠かせないのは、想像力と想像力だ。目の前にあるものだけでなく、事件全体をイメージして「何が足りないか」を常に考えなくてはいけない。」(136頁)
「おそらく人々は「かわいそうな被害者」を引き受けたくないのだと思う。被害者に同情を寄せながら、ではその被害者を自分たちが受け入れるかといえば、それはしないのだ。被害の原因・責任の追及、制度改善に向けた努力など、その被害の全体を社会で引き受けること避け、「悪者」を叩くことを自分たちを免責する。それ以上、被害の本質に近づかなくてすむ言い訳を自分にできるよう「悪者叩き」を繰り返すのだと思う。」(243頁)
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優秀な人は自分の先入観に自覚的だ、と思った。
弘中弁護士から見た、安田弁護士や中坊公平に関する記述もとても面白かった。
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素晴らしい本だと思った。当たり前のように、ニュースや、新聞に書かれている事が事実だと思い、無罪判決が出ても、本当は悪い事したのに、いい弁護士に、無罪にしてもらったみたいな感じで、ニュースを見ている人がたくさんいると思う。
無罪判決の重み、マスコミの恐ろしさ、権力との戦いを詳細に分かりやすく書いている。
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圧巻の内容であった。
刑事弁護についてはもちろん、この国の歪みについて深く考えさせられる一冊だった。
時間がない人は第5章だけでも読むことをオススメしたい。この国でどうやって生きていくのがよいのか、他国との比較など、実務に基づく深い知見が凝縮されている。
個人的に特に次のものは印象深い。小沢氏陸山会事件の石川議員女性秘書が検察に呼び出され10時間以上拘束し、夜になって「保育園に預けた子供の迎えに行かなければならない、せめて夫に連絡をさせてほしい」と懇願しても、検察官が「早く帰りたいなら、早く認めて楽になれよ」と迫った…との検察の取り調べの方法を述べている箇所に、身震いした。
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2冊目(1-2)
担当していたカルロス・ゴーンがレバノンへ行ったので読んでみました。この本を読んでる最中にもカルロス・ゴーンの会見が行われたが、日本の司法に対してゴーンが行ったことと全く同じ事が書かれていた。