紙の本
彼女の山
2022/03/29 00:59
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投稿者:やさし - この投稿者のレビュー一覧を見る
山登りをする女性の数年間が、山に行った数日×数回を中心に描かれる。山に持っていくもののひとつひとつ、その時のルートなどは何かわくわくしたし、思いがけず山に魅せられた時の表現などは本当に好きだったのだけど、時々読みづらい。というか共感できない部分があったということなのかな。
紙の本
久々の小説は、慕わしい物語でした
2015/08/23 09:13
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は、どちらかといえばインドアで読書が趣味みたいな編集者の女性。
そんな彼女が、40歳目前、さまざまに人生の不調が重なったとき、運命のように山歩きの魅力に出逢ってしまった。
責任ある仕事をきちんとこなし、他者との関係もよさそうにみえる。だけど、そのためにずいぶん無理をしているからの不調を、山を淡々と登って降りるという中で解放してゆくという物語である。
北村薫氏は、おじさまのくせに、相変わらず女性が抱えている気持ちがわかってるな...と思う。
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この一年、狙ってもいないのに「途中で大事な人が…」という小説ばかりに当たってきた。
そのことがなくても作者が言いたい事は言えると思う。大好きな作家の作品、おそらくあと十年経てば受け入れる事はできるだろう。ただ、今回ばかりは落ち込んだ。
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女性が一人称で語る、登山の連作小説でした。
登山はあまり経験がないけれど、山の空気感や鳥の声、朝の静謐さが伝わってくるところはすごいです。山、行きたくなります。おやつパック持って(笑)各章に出て来る「本」も気になります。
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最近、友人が登山にはまった。
なんでだろうかと謎だったが、
この本で分かった気がする。
自然は偉大だ。
わざわざ疲れにいくなんて‥と思っていた
浅はかだった自分。
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アラフォー山女子の山日記。
一人登山が好きな女子がたくさんいるようで、なんだか頼もしいです。
山に行くにしても素敵な山男子との出会いを妄想してしまう自分には、到底たどり着けない場所に立っています。
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山登り。仕事。友人。別れ。出会い。山登りが自分の体や経験に問いかけてみて自分を確認することのようで愛しい。旅に出る時、重くなっても本が手元にあると落ち着く…。
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最近、偶々何回か続けて上高地を旅するテレビ番組を見ていたので、風景や音が眼前に広がるように感じながら読むことができた。決して大仰でなく、説明的でもないのに、まるで自分も主人公と一緒に山を歩いているかのように、光や音や空気、色、匂いまでリアルに感じられたのは、作者の筆の力によるものなのだろう。
編集の仕事をしているアラフォーの主人公の女性が、人生に煮詰まっていたときに誘われて行った登山でその魅力に開眼し、休みを作っては登りにいくようになる。彼女のその登山の様子が何年かに渡って描かれる。
この主人公の女性がとても自然体なのが良かった。仕事を忙しくこなす出来る女性だけれど、少し抜けたところもあり、親しみを感じられる。この作者の描く女性はちょっと優等生的というか、現実離れしていると思っていたけれど、この主人公には違和感を感じず、素直に共感できた。
合わない上司と部下の板挟みになったり、私生活では同棲していた男性と何年か前に別れ、なんとなくまだそこから切り替えられていなかったり、親友が亡くなったりと、苦しさも抱える女性が、時に人と触れ合い励まし助けられながら、1人で山を登って下って、やがてどこかに行き着く。(山小屋で一息ついたり、景色のひらけた場所でぼーっとしたり、頂上から周りを見渡したり…) 人生ってこうやって進んでいくものなんだと、清々しい気持ちと勇気をもらえた。そして、何より、私も山に行きたくなった。(鍛えてからじゃないと無理だけど)
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毎回文庫本を3冊まで選んで持っていく主人公。
今の自分だったら、書籍リーダーをポンと持っていくだけだろうかなと。味気ないなー。
おそらく山登りはしないので、こうやって連れて行ってもらえるのは有難い。しかも大好きな作家さんに。
至福。
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読者モニターで一足早く読ませていただきました。正直、コージーミステリーを書かれなくなった北村作品から足が遠ざかっていました。落語好きの北村さんらしい、あの、コトンと音がするような最後の一行も無く、事件らしい事件も起きない。初期作品と比べると、別人が書いたような作品のようでした。内容はおそらく北村さん自身の事を書かれているんだろうなあ。槍ヶ岳を見つめるゲイのカップルなんて、実際に体験しないと書けないと思います。だからこそ、主人公の恋人とのエピソードが取って付けたようで、余分に感じました。山のお話だけでまとめてほしかったです。
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【収録作品】九月の五日間/二月の三日間/十月の五日間/五月の三日間/八月の六日間
登山経験もなければ体力もない私でも、登ってみたくなるような描写で、魔が差しそう。さらっとした人間関係が好もしい。
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人は調子のいい時と悪いときを繰り返しながら、人生を歩んでいく。自分が心や体が不調なとき、停滞期を何をして吹っ切り、自分をいかに立て直すのか。中間管理職の立場にもなり始めた女性が、友人から山登りに誘われて、山に魅せられたところから話が始まります。完璧ではなくても、決まった道から少し外れても、そこから元に戻せばいい。自然という偉大なものの中で様々なことを学びながら、山と過ごし、山ガールをはじめ、山で出会った人々との交流も深めながら、自分のペースで自然ですごす様子を見ていて、山ではなくても、自分のペースですごせる時間っていいなと思いました。私も見つけたい。
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40歳目前、文芸誌の副編集長をしている“わたし”。ひたむきに仕事をしてきたが、生来の負けず嫌いと不器用さゆえか、心を擦り減らすことも多い。一緒に住んでいた男とは、3年前に別れた。そんな人生の不調が重なったときに、わたしの心を開いてくれるもの―山歩きと出逢った。四季折々の山の美しさ、怖ろしさ。様々な人との一期一会。いくつもの偶然の巡り合いを経て、心は次第にほどけていく。だが少しずつ、けれど確実に自分を取り巻く環境が変化していくなかで、わたしは思いもよらない報せを耳にして…。生きづらい世の中を生きる全ての人に贈る“働く山女子”小説! (「BOOK」データベースより)
初めての作家さんでしたが、さくさく読めました!読みやすい文体と展開です。カメラマンの元カレのくだりは、険しい山登りの合間の小さなオアシス。いい感じで驚き、癒され、涙ぐみ、同感しました。山、行きたくなっちゃったなー。山に行くのは、自分との別れであり、誕生であり、「わたしであること」の確認なんですね。
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謙虚になりに行くのではないか。絶対的に敵わないものが、いつだってそこに在るということを確かめに行くのではないか。
わたしは登山をしませんが、そんなふうに読めました。
そんな、どうしようもなくただそこに在る敵いようもない大きなものを見たくなる、というような気持ちなら解るなあとおもいました。それに対してなら、素直になれるという気持ちなら解るなあとおもいました。
そして、さすが北村薫は山でももちろん本を想い、読むのです。
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生活している間に身にまとってしまう鎧は重い。
気負いも、何かを背負っているから
かなり重いんだと思います。
山を登るって、自然の中に入らせてもらうっていうのは
きっとそんなものをそのまま持ち込むと
命にかかわることになるから、
そぎ取ってそぎ取って、
動くのに、生きるのに、
一番適正なところまでシンプルな自分になっていく。
あんな大変な思いをして、怖い思いもして
どうして山に行くのかは…山登りをしたことがない私は
やっぱり本で読んだだけではわからないのですが。
羨ましいことが3つ。
そこでひっそり咲く花や山野草が見られること。
頑張って辿りついた人だけが入れる高所の温泉に入れること。
…そして、同じ山小屋にひっそりと佇んでいる本に
また再会できること。
こんな楽しみ方もあるんですね。山って。
本を開くと清々しい風が吹いてくる
熱帯夜に読むのもいい一冊です。
主人公の持ち物の準備のくだりも楽しいです。
北村薫さん、女性の好きな食べ物(お菓子)
わかってらっしゃいますね~。