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過激なタイトルと違い真っ当な本
2015/08/31 21:34
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ほん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
基本的には米国を例に取り何故そうなるかどれくらいそうかが書かれてるが
日本、中国、欧州などにも言及していて比較できるのも良かった。
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米国では製造業の新興国シフトに伴い、地域間の所得格差が拡大しているそうです。これは今日の付加価値を生んでいるイノベーション産業での雇用の乗数効果が従来の製造業よりも高いことに起因しているとの事。また、イノベーションハブでの知識伝播、雇用の厚み、関連サービス業の充実などにより、その傾向に拍車がかかっているのだとか。これらの弊害を緩和しながら、米国経済を拡大するために、雇用のミスマッチや補助金を含めた投資効果向上を実現すべく様々な提言もなされていますが、日本でも地方の疲弊やバラマキ財政などで考えさせられる場面も多く、非常に知的な刺激を受けた一冊でした。
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「エンジニアが増えればヨガのインストラクターが増える」アメリカ西海岸を中心に起こっている、IT産業の集積による乗数効果によって、数多くの雇用が生み出されている。それは工場などの製造業に比べても大きな経済波及効果がある。
シアトルのカフェで働くウェイターというブルーカラー職種が、ミシガンの工場で働く事務員というホワイトカラー職種よりも給与が高いと聞いて、何を思い浮かべるであろうか。ウェイターのような単純労働は代替可能で、アルバイトでもできてしまうので給与が安いと思われがちである。一方で事務員のような知識労働は高学歴な人に職業訓練を施す必要があるために給与が高くなる、というのが我々が20世紀に抱いてきた常識であった。
良い大学に入り、良い会社に就職して知識と経験を得てキャリアアップしていけば、給与も右肩上がりに高くなるというのは21世紀現在にはもはや幻想であって、多くの労働者の給与はまったく別のメカニズムによって規定されるようになりつつある。
シリコンバレーやシアトル、ポートランドなど、アメリカ西海岸を中心にIT産業の集積が起こっている。年収の高いハイテク産業に従事するクリエイティブクラスが増えることによって、彼らにサービスを提供する地域産業も活性化するのだ。GoogleやAppleなどの企業はグローバルから多くの富を地域内に流入させ、そこで働く従業員が外食やフィットネス、医療、教育などに消費することで地域産業は潤う。
ハイテク産業は決して多くの従業員を雇用しているわけではない。カリフォルニア州クパティーノにあるApple本社で働く社員は約1万2000人と、直接雇用者の数にしてみれば工場誘致などをした方がインパクトが大きいかもしれないが、Appleはすでにアメリカの国家を凌ぐ現金を保有している企業である。
つまり、ハイテク産業においては従業員1人当りの生産性は飛躍的に伸びていき、グローバルから富を集積させる働きを担う。新たな貿易の主要産品として、クリエイティブな創造物が海を越えて売れる時代においては、ハイテク産業を地域に誘致することこそが最大の経済振興政策となる。
一方で、ベビーシッターが赤ちゃんの面倒を見る、美容師が髪を切るといった地域社会に密着した非貿易産業は、生産性の飛躍的な向上はあり得ない。1人が対応できる規模には限界があるし、そうすると需要に応えるために従業員を増やすといったインセンティブが働くようになる。
つまり、ハイテク産業が集積している地域においては、その豊富な消費需要によって非貿易産業の雇用も増え、またその雇用条件が向上していく傾向にある。シアトルでクリエイターが快適に過ごせるカフェを提供するためには、そこで働くウェイターの給与も高く設定して良質なサービスを提供する必要があるのだ。
実際にApple一社による雇用乗数効果は、12000人の従業員からその5倍、6万人以上の非貿易産業における雇用を創出していると言われている。それはカフェのウェイターやベビーシッターのようなブルーカラーから、医師や弁護士のような専門職まで含めた多様な雇用を生み出しているという研究結果が出ている。
地域に工場を誘致するために、用地を無償提供したり法人税を安くするといった政策が行なわれてきたのはご存じの通りである。その結果、より安価な人件費を求めて工場は海外に移転していき、多様性のない雇用によって多くの失業者が溢れるという結果になったことは、多くの地域が学んできた。
21世紀の都市経済学と地域活性化について、実例を踏まえてその最先端の動向を学べる良書である。
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・いかにイノベーションを生める人材を集めるか、これにつきる。
・IT人材の育成および誘致(優秀な移民)がキーポイントになる
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20140731~0817 一言でいえば「朱に染まれば赤くなる」ということか。アメリカで生じている都市間格差が必ずしも日本にそのままあてはまるとは限らないが、示唆に富む内容。教育は大事ですね、本当に。
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・年収は住むところで決まる。
※年収は貧しい地域の大卒<豊かな地域の高卒 となりうる
・イノベーション産業は多くの雇用を生み出す。
・イノベーション産業が集まる都市には一層企業が集まる。
・豊かな地域は偶然決まったりする。e.g.マイクロソフト
・産業政策は有効でないことが多いが、ビッグプッシュとしての効果はある場合もある
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タイトル釣りだが、むしろエビデンスをこれでもかと投げつけてきて冗長なくらい。内容は常識的ではあるものの参考には大いになる。そりゃ製造業労働者は定型化された消費を好む、もしくは、そのような消費を行う分しか持っていないが、高所得者たるイノベーション産業労働者は、非定型の消費を好む。そりゃそうだ。ただ、その二つの労働者の乗数効果の差であったりとか、都市間でその階層の所得の逆転すらありえるというのは驚きである。ただ、残念なのはイノベーション産業の集積地と今までの経済の中心地が異なる国がアメリカくらいしかなく日本ではいずれも東京なので戦略的な行動でどうにか、とかは難しいこと。
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情報インフラの発展によって物理的な距離はあまり意味を持たなくなったと言われているが、イノベーションを達成するには何よりも地理的に集積していることが大事。さらにイノベーション(創造的な仕事)が増えることによって地元の非貿易産業(レストラン・病院・美容室等)も恩恵を受ける。※イノベーション企業の雇用が1件増えると、周辺で6件の雇用が生まれるとのこと。
イノベーションが集積することの価値について、ファクトと図解によってわかりやすく説いている。同じくローカルに資金を投下する重要性を説いた「スモールマート革命」と合わせて読むと面白い。
惜しむらくはイノベーションの集積地を人為的に創出する手法が確立されていないことである。
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表題から感じる軽薄な印象とは裏腹に、とても内容の濃い本でした。米国におけるイノベーション産業の興亡と地域に与える影響に対する考察。革新的な労働人口を確保するための国際的な戦略。地方の過疎化など日本にも当てはまる。米国での最近の傾向として、白人居住区と黒人居住区のような棲み分けが減って来て、同じような学歴や職業に従事する人間同士が住む地域が増えているというのと、高学歴者と低学歴者の格差が一層大きくなって来ているというのが印象的だった。やっぱ勉強しないとね。
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イノベーションと都市経済学の学際領域。タイトルはイマイチだけど、中身はアカデミックにも価値が高い。イノベーションはなぜ特定の都市・地域に集中するのか、そしてそれがいかに大事なのか、ということが良く分かります。僕、将来こういう本を書きたいんだろうな、と読んでいて思いました。
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原文の題は”The New Generation of Jobs”で、邦題はゴシップ的だが、まじめな都市経済学の書。物理的な距離はもはや意味がなくなったといわれるが、その一方で、世界の都市への吸引力は強まっている。どこに住み、どこで職につくかが、かつてなく大きな意味を持つようになっている。東京やDC、サンノゼなど大都市で生活し、働く意味は大きい。
グローバル・ローカルエコノミーという、経済のグローバル化が進むとともに、都市のローカル化が進んでいる。
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タイトルがあざといが、中身は都市の発展に必要な要素を解説したもの。成長する都市と没落する都市、富裕層と低所得層の格差がはっきりし、かつその差はどんどん拡大している。世界はぜんぜんフラット化していないし、都市のピーク化も一時的な現象かもしれない。地域活性に取り組んでいる人や産業政策に関っている人にとても参考になるし、起業家や経営者も知っておくと良い知識だと思います。
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ようやく読み終わった。
アウトソーシングによって職を失うこと
アウトソーシングによって、職を失う職種の人々が一番打撃を受ける一方で、一番恩恵を受ける。
➡より安いものが手に入る
➡スキルの持った人が集まる地域にいれば、その会社周辺の町が繁栄し、それによって、新たな雇用が生まれる。しかも高給取りたちから頂くお金であるため、多くのお金を手にできる。
能力のある人のところに仕事が集まるし、お金も集まる。
これを拡大すれば、能力のある人が集まる会社には、お金が集まる。そして、その会社のある地域にはお金があつまる。雇用が生まれる。町が潤う。
能力のある人々はどうすれば生まれるのか。
それは、教育と移民の受け入れである。
移民の受け入れの場合、能力のある人の移民と出稼ぎの移民では、地域に与える影響は大きく変わる。
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日本 もそうだけど学歴関係かく地方は収入が低く、都心は高い。世界も同じことが言える。日本企業も本社を地方に移転させると収入も雇用も変化をさせることができるので東北に移転して若者の仕事を増やしてほしい。
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本当に都市が“魅力的”な空間でありさえすれば、クリエイティブな人が集まり、イノベーションが起き、年収や消費や雇用や人口が増えるのか?情報通信技術の発展により、最早ヒトが地球のどこにいるのかという地理的制約は経済活動上大した問題ではなくなった。しかし現実には、多くの地域から人口が流出し、一部の都市に集中している―。本書は、米国の諸都市を対象に、膨大な経済学研究の成果から産業・雇用・都市の姿を描いた真面目な一冊。無駄な悲観も無責任な楽観も排し、都市の未来を考えたい人におすすめ。(都市工学専攻)
配架場所:工14号館図書室
請求記号:MA:M
◆東京大学附属図書館の所蔵情報はこちら
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2003209449&opkey=B147995566731392&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=6&cmode=0&chk_st=0&check=0