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リクルートの創業者である江副浩正のことを綴ったノンフィクション。彼の幼少期や人間性、奥さんのことやリクルート創業後の人付き合いなど、その当時の時代状況が文体からひしひしと伝わってくるものとなっている。
リクルート、江副浩正、リクルート事件等単体の言葉については聞いたことがあったが、その人柄や会社としてのリクルートについてはほとんど知らなかった為、参考になった。つまるところ、お金に対する嗅覚と変えることができなかったその人間性が、最終的に自分の生涯までついてまわることになったのは善かれ悪しかれといったところではないだろうか。
変える部分と変えない部分、そして変えれない部分というものをしっかりと認識した上で、自分もまたその中から意識的に何かを選んでいきたいものである。
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今40台半ばの私はリクルートの盛隆と同時期に働いてきた世代です。
ご本人すでに亡くなられてますから、本書は江副氏周辺の取材により執筆されたのだと思います。奥様や腹心から見えた江副氏の姿となっているように感じました。江副氏ご本人の考え方とか感情とかあせりとか、喜びとか、そうゆうものも外側から眺めている印象です。
リクルート創業から成長期の情熱は読んでいて気持ちいいです。優秀な人材が集まってきた社風って、そうゆうことかだったのかと思います。若いころはよくわからなかったです。
会社が大きくなったときの環境/世界が大きくなると変わるところと変わらないところのバランスが難しいですね。意図的には本質的なところは人は変われないだろうし。
カリスマ経営者というのは、どこか歪んでいる印象を受けます。人との関わり方が自己中心的というか...。
一方で、社員の名前を覚えていたり、「江副さん」と呼称されるなど親しみやすさある一面もあり。なかなか、人とは複雑です。
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主人公 江副浩正(えぞえひろまさ)
東大時代から、リクルート事件までをリアルに表現した書籍。
リクルート事件に至った経緯を知ると、彼の性格や政治家とのつながりが影響している。
性格は家族環境が起因している。母親は三度変わり、周りが自分でどういう見られ方をしているか気にして生きてきた。性格の表裏があり、真意が常にわからなかったと前妻の碧が述懐。ただ、家庭環境のせいでそうなっただけで、江副は悪くないとも考えていた。
また、右腕を置くような人でなく、ワンマン経営者に近い。ただ、その性格があってそのリクルート。
スタートは東京大学の「東大学生新聞」の営業。各企業の広告だけを集めた雑誌作りの可能性を信じ、企業した。そのあと、不動産にも興味をもつことから、のちのSUUMOに発展。
「健全なる赤字」⇒本業からの利益を使った他事業を起こした結果の赤字は、いずれリクルートの将来になるためと判断していた。その裏付けがホテル業界やリゾート業界。
つまりは減価償却費!!
リクルート事件後は財団法人江副育英会を設立。趣味であったオペラ歌手育成にも力を入れた。
著者は最後に、2014年10月の上場は、資金が十分なリクルートには不要であり、古参の社員たちの望みであり、「江副が創業したリクルートという上物だけが残り、使われているだけで、本当の企業としての体質は、創業時のものから遠くかけ離れたものとなってしまった」と説明。