紙の本
実践篇だけに有用な内容が充実
2021/07/18 09:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
理論篇を読了し、続いて本書を読了しました。実践篇というだけに具体的な対応や解決となる緒を紹介してくれている点は非常に有難かったです。
本書に著述されていた内容で、私の琴線に触れた内容は以下のものです。
『「おはよう」「いってきます」「ただいま」「おやすみ」などの挨拶をご本人に対してだけでなく、ご家族みんなで交わすようにすれば、必ずよい影響があるはず』
『時間を重ねること、あきらめず対応すること、安定した態度をとりつづけること、これらを組み合わせていけば、必ず改善は訪れます』
結局親側は、希望を塞がれることなく前向きに取り組んでいける為の後押しが欲しいのです。ここが何より肝要だと思います。
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実践編というように、実際の状況別悩みに答える形でどう対応したらよいか細かく書かれています。
記載されている状況に近い立場の方にはかなり参考になると思います。
が、状況は更に進んでいます。今はもう30代後半から50の声が聞こえるくらいの年代のひきこもりが深刻です。
もう親や身寄りがなくて貧困や生活苦に陥っている人も出て来ています。もっと深刻になっていくでしょう。
そういう状況に対する実践編はまだまだ先になるのでしょうね。是非斉藤先生に書いていただきたいです。
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あとがきに、
この本は、主にひきこもるお子さんを抱えた親御さんを読者対象に想定しています。
しかし私は、本当は当事者にこそ、この本を読んでもらいたいと願っています。
と書かれている。
「ひきこもり」の当事者が、何を思って引きこもっているのかより、家族や精神医療の関係者などが、
「ひきこもり」の問題をどう考え、行動しているのか、参考になる。
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既読の理論編と実践編との差異はあまり感じられない。「ひきこもり」の治療に臨床医師として携わる筆者の活動は評価されるものだ。しかし、10年を経過した2014年になっても対策があまり進んでいない現実は辛いものがある。本の内容は良いのだが、講演会かカウンセリングの口述筆記のような書きぶり、特に読者への肝心な提言の際に「○○していただきたいと思います。」との結びに辟易してしまった。
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なぜ親がどのように対応したらいいか困るかというと、ひきこもる子どもの心情を汲み取ることができないからですね、本書にもありますが。それがわかれば、どういう話し方・話題を避けるべきか自ずと分かるはず。正論をぶつけるだけではダメな一方、言いなりになることも危ない。実は親が言いなりになるのも嫌がっている場合もあって、親も子どもも同等の人間として、契約、つまり約束事を決めて互いの領域についてきっちり話し合うのがお互いに取っていい場合が多いだろう。その辺はまた別の本で知ることができるはず。
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わが家の手元に、精神科医の先生がいらっしゃる感覚になりました。
現時点では「引きこもり」を脱し始めた状況なのですが、
今後、何か対応に困ったら、相談の電話先の様に、何度も読み返すと思います。
指針が掲示されていて、自分の対応のずれ具合を何度も確認でき、とても心強いです。
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2002年に出版された本が、2014年に補足を加えて文庫化され、2019年に第七刷目を発行。
それだけ長い年月、この本が必要とされているのは、「ひきこもり」の絶対数増加とともに、本質の変わらなさっぷりにあるんだろうね。
一番苦しいのは本人、とわかっていながら、斎藤先生の視線を通して説明されて、ようやくすとんと腑に落ちることがたくさんある。
読んでいて思わずドッグイアしたのは
「ひきこもりは自己愛が健全。だから死を思うが、自己愛ゆえに行動に移せない」
「ひきこもりの人は日常に弱く、非日常に強い」
この言葉だけでも、大きな安心と元気をもらえた気がする。
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暴力への対処、親・兄弟の対応のしかた、コミュニケーションの取り方など。
うちは、暴力はなく、対話もかなりできているけれども、対話がありつつ無風状態に陥っている気がするので、それをどう打開するのかとか。
本人には「これではいけない」という焦りはあるものの、目の前の具体的な一歩が踏み出せないんだよな。
目次には「社会参加はあせらずに」という項目もあり。ここから先は根気と柔軟性か。
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こちらも様々な事例を通して対応方法を詳述。コミュニケーションの取り方、家庭内暴力をなくす方法等、前著『社会的ひきこもり』を十分に補完する内容。家族や当事者だけでなく、支援者も手に取って欲しい一冊。理論編と併読推奨。以前、秋田県藤里町の取り組みを目に耳にする機会があったが、自分の住む地域がどうなっているのか調べてみよう。
心に残ったフレーズ:「人間関係においては、多少は秘密をはらんだ関係に耐えることも大切なのではないでしょうか」「意思や欲望も他人からもらうものです。一人だけ力んでいても、湧き上がってくるものではありません」