投稿元:
レビューを見る
数年前に腕時計を電波時計に換えました、その日を境にあるストレスから解消されて今に至っています。私は駅から徒歩4分のところに住んでいて、通勤に通う電車は1本逃すと10分ほど待たなければいけません。徒歩4分の距離で、時計が数分ずれていていたために、普通に歩いたつもりが電車を逃したことがありました。
ところが、いつも寸分もずれないこの腕時計をするようになってから、電車を乗り逃すことが減りました。私はこのようにして正解に時を刻む有り難味を享受していますが、この本はいかに正確に時を把握することが重要であるか、それがGPSやミサイル誘導などの技術にもつながっていることを解説しています。
それとは別に、年を重ねるにつれて時の流れを早く感じるようになります、その内容についてはこの本では詳しく触れていませんが、時に関する本については、今後も関心を持ち続けたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・最初の機械式時計は、塔時計という教会の塔のようなもの、当時の時計の動力は「おもり」だから(p22)
・日本ではずっと中国の「宣明暦」が使われていたが、800年も使われていると江戸時代には2日分も誤差が生じていた(p25)
・西洋でも1582年に、紀元前45年から使われてきた「ユリウス暦」を改訂して「グレゴリオ暦」を制定した、換えた理由は1600年以上使ってきてずれが大きくなったから。他の理由として、地球の自転速度がどんどん遅くなってきているため、地球誕生した頃は1日は5時間、中生代で22時間、これが断言できるのは、原子時計があるから、現在は50年で35-36秒ずれている(p28)
・1時間を60に割った分:minite(小さい)という意味、秒は second minite(第二の分)と呼ばれていたが、そこからminuteが抜けた(p30)
・インドと交易したポルトガル船一隻分の荷物の価値は、当時のイギリスの国庫の半年分であり、ポルトガルの船はしばしばイギリスの軍艦に襲われた、船はあまり陸地から離れられなかったので海賊に襲われた(p38)
・海賊の襲撃や航海の長期化をさけるために、海上で船の位置を簡単に知る方法が求められた。緯度は太陽や星の高さでわかるが、経度は地球自体が回転しているので難しかった、そのため時間を正確に知ることが至上命題となった(p39)
・原子時計の登場によって、ようやく1967年に天文学者に代わって、物理学者が時間計測を担うようになった(p58)
・グリニッジもパリも実際の経度はそれほど変わらないにも拘わらず、わざわざ1時間の差をつけているのは、歴史的に世界の中心を競い合っていた両国のプライドの表れ(p67)
・アメリカのGPS以外にも、各国も独自のシステム構築をしている、EUのガリレオ、ロシアのグロナス、中国の北斗、日本の「みちびき」(GPSの補完)(p75)
・可視光といわれるものの波長は400-800nm、この範囲の電磁波が色として目で見ることができる光(p86)
2014年7月20日作成
投稿元:
レビューを見る
「分」のない、江戸時代の時計いいなぁ。
いまは秒針分まである(針3本)のがふつうだもんね。べんりだけど。
昔から、時を司ることはすべてを支配すること、というのがおもしろい。
同じ時間の概念を時計という目に見えるものでみんなに示して、行動を支配しやすくするということなのかしらかしら。
著者はイッテルビウム光格子時計という、137億年に1秒ずれるかずれないか、くらいの精度の時計らしい。
ちなみに137億年とは宇宙の年齢と同じらしい。
ということは、137億年に1秒ずれるかどうかってどう判断するのだろ。
ともかく科学って結構クレイジーな世界だなと
つっこみたくなるほどの時の歴史が載っています。
装幀はクラフト・エヴィング商會。
中の挿絵も素敵です。
投稿元:
レビューを見る
誤植が多いのは気になりましたが、中身はとてもよいと思います。
最終的には、かなりレベルの高いところまで話を持っていっていますが、無理なく着いていくことができるよう、わかりやすく丁寧に書かれています。
もちろん、深いところまでは触れられていませが、光格子時計の入門書としては、十分な内容だと思います。
とてもいい本だったので、今度はもっと本格的な本の発刊を、著者には期待したいですね。
投稿元:
レビューを見る
サブタイトルは「日時計から光格子時計まで」とあり、時間に関して魂魄にまとまった内容となっている。
「暦がずれるのは地球の自転が遅くなっているから」というように、ずれていく時間をどう修正するか大変だ。著者が例に挙げている西洋の場合、1582年に、紀元前45年から利用されてきた「ユリウス歴」を変えて「グレゴリオ暦」に変えた。この期間の長さだと最初に決めた時とでは相当ずれが生じたのは想像に難くない。
意外だと思ったが、国際的な時間を管理している機関はグリニッジ標準時間で知られているイギリスではなく、フランスにあることだった。その機関は「国際度量衡局(BIPM)」で、そこの国際度量衡委員会がいろいろな国際単位を一元的に決めている。
今に至るまで時計のさまざまな技術の発展があって時間を知ることができる。時を刻むのもいろいろな苦労があったのか。
投稿元:
レビューを見る
[墨田区図書館]
進化について気にし始めた小1の息子のために片っ端から「進化」をキーワードに図書館検索して借りてきた一冊。
ただ、表題からもわかるように「時計」に関する本であることと、見るからに大人向けだったので、一人でざっと目を通した。が、本ってやはり面白い。
今回の進化に関する本たちからも色々学ぶ知識はあったけれど、この本でも、「地球の自転周期は一定ではないこと」、「地球誕生時は自転周期が5Hくらいだったこと」や、そもそも「時」を管理(司る)重要性を軽い語り口で古代文明から解き明かしたうえで、各所に手書きの絵図や、例えも多用して直感的に理解しやすいように、けれども細かく正確な説明もその全てを省くことなく紹介してくれているので、読めば読むほど興味は湧いてくる。
ちょうど先日実験教室で「クオーツ」時計についての基礎知識(クオーツが人口水晶のことで、電圧負荷をかけることで発生させる原子の固有周波数を秒刻みに領していること)で仕入れた後であったこともあって、クオーツ時計に関するくだりは何となく理解しやすかったし、知識に繋がりが増えることも読んでいて面白い。
P85での、「周波数と色の関係」では、振動(=周波数)に関するくだりでは、「音~電波~光~放射線」までの周波数の種類が説明されていたけれど、こういう知識も読めば「知っている」つもりでも、いざ一人では子供に説明できない自分にも気づかされて勉強の必要性にも気づかされる。
筆者の専門研究である光格子時計についての話は、P121の4章から。てっきり「光?の振動(周波数)?を用いて計測する」と思っていたのに、どうやら「光(で作った)格子で原子を捉えて光信号の計測する」という意味の光格子時計だったようで、そういう意味ではそれまでの原子時計と利用するものは同じでも名称からしてやり方が大きく異なる、ということらしい。
私たちにとっての時計は、時間を計り、時を示すもの。でもこの方たちにとっての時計とは、どれだけ正確に1秒を「決める」ことなんだな、と後半読んでいて思った。
投稿元:
レビューを見る
人類の歴史を振り返ると、「時を計ること」が政治、経済、産業などあらゆる分野を通して、私たちの生活に大きな影響を与えてきたことがわかります。本書では、これまで人間が「時間」をどのように認識してきたかを振り返り、時間の長さが誰によってどのように決められてきたかをみていきます。また、併せて著者が研究する「イッテルビウム光格子時計」がどのように時間の計測を行い、正確な1秒を計っているのかも説明されています。「究極の1秒」を求める科学の世界へ、一歩踏み出してみましょう。
投稿元:
レビューを見る
1秒を測る原理・手段を知るというよりも1秒の歴史を知る方により興味のあった身からすると、取り上げるテーマのチョイスがとても良かった。
物理は中学で止まってる程度の人間でもそれほど詰まらずに読める掘り下げ具合にも感動……。
光速で飛ぶ竹筒の例えが分かりやすいのだけど、想像すると笑ってしまってダメでした。
投稿元:
レビューを見る
単位としての「時間」がどのように定められてきたのかと言う歴史と原理が分かりやすいイラストともに紹介されています。ちょうど、「時間」の歴史に興味があったのでとても良い書でした。
2014の出版とのことで、時々古い情報もありますが、大まかな流れを知るにはまだまだ有用だと思います。
個人的には、時が宗教や権力者にとってとても大事であったと言うことに驚きました。また、分や秒が昔は存在しなかった事や機械の発展とともに世界で標準的な時間(より正確な時間)が追求されてきたと言う部分が面白かったです。
現代の正確な1秒を追求する姿に感服しつつも、昔の分や秒のないゆったりとした時間感覚でのんびりと生きてみたい気もします。
投稿元:
レビューを見る
年末、いくつかの本を並行で読んでいたけど、これで読み納めだろうか。
ちょっと古いけど、イッテルビウム光格子時計の研究をやっている同僚の書籍。面白かった。