紙の本
言いえて妙
2015/12/02 05:00
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
慎太郎氏らしいタイトルだが、実際には、暴走老人の「極めて暴力的に」だろう。昔から唯我独尊の人だが、八十を越えて、ますますその傾向が強まった。本書は、政治のみならず、来し方の文学やプライベートな過ごし方にも触れているが、段々、偏屈になってきた気がしてならない。まあ、この人の生き方方には違いないのだけれど。
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60年続く石原文学の最先端、82歳になった石原愼太郎の戦闘的短編集。
この本を探すのに苦労しました。発売日に本屋を三軒回っても売っていない。こりゃネットで注文するしかないか、しかし1冊だけ注文するのもなあ、と躊躇していてあっという間に2週間が経過。ある日ふらっと本屋を冷やかしに行ってみたらありました。発売日に行ったときにはなかったのに。2週間経ってから入荷するのも変な話ですが、まあ手に入ったので良しとしましょう。
この短編集には『青木ヶ原』『やや暴力的に』『僕らは仲が良かった』『夢々々』『世の中おかしいよ』『うちのひい祖父さん』の6つの短編が収録されています。特筆すべきは2000年の発表から14年、ついに完全版収録と相成った『青木ヶ原』でしょう。現代の幽霊譚。自殺者の亡霊に導かれて男はいろんなところを駆けずり回ります。愼太郎さんの本はたくさん読んだわけではないのでこの種の話も書かれることを知って驚きました。映画にもなっているんですね。
そして『夢々々』。愼太郎さんが見た数々の夢のスケッチ。死んでしまったある人のための物語。思わず涙がこぼれそうになってしまいました。夢の中では生きていたのに。
巷では暴走老人とか言われている石原慎太郎。その名に恥じない過激な短編集でした。御年82歳。まだまだ元気でいてほしいものです。
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私には、良さが分からなかった。
著者のことは、決して嫌いではないし、興味があったから読んでみたんだけど、著者の夢の内容までは興味がない。
「青木が原」も、なんかもの足りなかった。
評価の高い著者だし、きっと、読書初心者の私の感性が未熟だったのかな。
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【「暴走老人」の面目躍如! 刺激的短編集】「太陽の季節」以来、半世紀以上にわたり作家として、そして政治家として脚光を浴び続ける筆者の、過激にしてピュアな傑作短編集。
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認知症の老人たちは、忘れ去られようとしている人生の記憶の部分にすがっての作り話をする。わずかでも立ち直れればという思いがそうさせる。一種の防御反応のなせる術。現在のところ認知症が治癒する方法はない。あくまでもできるのは進行を遅らせること。死は誰にでもいつか訪れる。長生きのコツはあるのかもしれないが、死から逃れることは出来ない。「やや暴力的に」は著者が今際の際で書いたもの。絶望的孤独の中で生きることのままならなさについて深く考えさせられた。
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短編集。石原文学というのがどういうものなのかそこはかとなく感じられる。オーソドックスな小説の範疇にはいりつつ、独自性も感じさせる小説群だと思った。もう少しきちんとした評価があってもいいのになというのが読後の印象。