紙の本
辞書並のお役立ち本
2015/09/24 22:11
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Chocolat - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者、ハルノさんの猫への献身には頭が下がりました
こんな家の猫は幸せですね~
いろんな病気や怪我の対処法や、病院によっての治療法の違い、多頭飼いの苦労まで、漫画家ならではの詳細なイラストで描かれ、猫に関するあれこれが、ギュッとつまった、お役立ち本でした
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すげー!この人は猫飼いのプロだ!
吉本隆明氏の長女であり よしもとばななさんのお姉さまでもある著者が、同居する父と母を介護の末に看取り、自身も乳ガンを患いながらも、病気を抱えた飼い猫たちとの日常を綴るエッセイ。親と同居の独身女子である著者にかなり共感できたし、将来の自分と重ねて「いっちょ覚悟を決めるか!」と背中を押された気分にもなりました。
外猫を外猫として見守るということは、その猫が生きられないかもしれないということまで受け容れる覚悟を持つこと。安易に拾い上げてうち猫にしてしまうより、よっぽど覚悟のいることなんだ…。時にご近所の冷たい視線にさらされつつも、猫の生(せい)を丸々認め、受け容れ、外猫にエサをやって面倒を見る一方で、外猫の避妊・去勢手術や病気の治療、苦情があればウンコの処理などもきっちりと行うその姿勢には、頭の下がる思いでした。
ところで亡くなった吉本隆明氏のお骨は、愛猫のお骨と共に四十九日を過ぎてもまだ家にあるのだとか(2年前の話なので今はどうだか分かりませんが)。うちもそれでいいかい?!(笑)。隆明氏と愛猫フランシス子の関係が、うちの父とうちのコマとの関係にそっくりで面白い。
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ある夏の夜、家の隣の墓地で障害を持った白い猫を拾ってからの8年間の記録。
濃厚です。
かなり軽い感じの文章で書かれてますが、
何度も泣き、驚き、感服し、何日か読むのを休みました。
シロミちゃん他猫たちの記録の連載、
父母の介護、ご自身の病気。
その上この毎日のように何かが起きている猫たちの世話。
それも家猫だけではなく、
自分の家にやってくる外猫まででもなく、
近所のノラたちの餌やりや世話まで。
尋常では考えられない多忙とお金問題。
でも弱音が書かれてないんです。
決断力・覚悟・信念が鋼のように心を貫いているんです。
潔すぎて…私はまた泣いてしまいます。
猫から学んだことが多いのではと思います。
猫を介護しているようで、
かえって猫たちに守られている気もします。
自身の病気の発見も、
ハルノさんが泣いて感情を吐き出さねばいけないポイントも
はからずとも傍にいた猫がちゃんと誘導しています。
ハルノさんが猫から学んだことを、
惜しげもなく分けていただけてありがたいです。
私にも近い将来、親と家族猫の介護がやってくると思います。
決断できない私。とことん付き合って
ハルノさんが出かけていく猫を見送る時の覚悟に近づけるよう、
「その日」がくるまで、何度か読み返して
教えを乞いたいと思う一冊です。
父である吉本隆明さんの『フランシス子へ』は
後日絶対に読みたいと思います。
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うちの猫もみんな捨て猫だけど、シロミほど重い障害を持っている猫はおらず、著者の猫愛には、本当に頭が下がる。
著者が、どれだけ深い愛と覚悟を持って猫と生きているかが伝わってくる。大島弓子と似ている。
室内飼いしないとか、病気持ちの猫を健康な猫と一緒に飼うなど、明らかに批判されそうな飼い方だが、批判も受け入れる(そしてちゃんとした根拠もある)こういう人を見ると、清々しい。
吉本隆明に特に思い入れはないが、母(隆明の妻)という人はなかなか一筋縄ではいかない興味深い人物みたいで、だれかこの妻を主人公に小説書いてくれないかな、と思った。(よしもとばなながもう書いているのか?寡聞にして知らず。)
近所の目と病気や怪我や事故をおそれて(またそれに伴う手間と出費を懼れて)室内飼いしてる私は猫を不幸にしているのではといつも思っている。
ハルノさんや大島さんには批判に屈することなく、頑張ってほしい。
猫飼いには参考になること多数。ペントナイトの良さや、尿の匂い消しの方法など、本当にためになった。
そんじょそこらのスポンサー付きの猫雑誌やサイトより、ずっとためになる。
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思想家 吉本隆明さんのご長女で よしもとばななさんの
お姉さんである 漫画家ハルノ宵子さんの 猫のエッセイ集。
猫が自由に出入りできるように 1年中ドアをあっけぱなしという吉本家。とにかく猫のために…という生活。猫を飼う人間として いろいろ考えさせられました。
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ハルノ宵子さんはとても猫が好きで大切で
でも、とても冷静に物事を捉えて行動しているのです
野良猫の♀を捕まえて避妊させたり
野良猫たちの生存率、病気、生態が
赤裸々に、でも淡々と書かれていて
そして、愛情たっぷりで、なんだか感動しました
自宅の猫たちも、外に出るのは自由
でも、必ず自分に問いかけるそうです
「もしもの事があった時、本当に後悔はしないのか?」
「しない」って・・・
猫たちの病気の治療のこともちゃんと考えます
「焼いたらお骨がボロボロだった、
などど怖がる人がいますが、
死んでからお骨がボロボロでなんぼのもんじゃい!と思う
生きている間が華なのです・・・と
生きている限りは手厚く、そして避妊は非情に、が方針
納得というか、説得力というか、気っぷがいいというか
たくさんのデメリットもちゃんと受け止めていて
格好いい人だなと思います
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たぶん本当の猫好き・動物好きでないと楽しめない内容と思います。ペットを自分を満たすための“道具”として考えているような人にはピンとこないと思います。
愛する猫の死、両親の介護や死、著者自身が身体の一部を喪失するなど、普通に書いたら重たい内容になっていると思いますが、猫を中心としたコミカルな日々が綴られていて悲壮感が全くありません。ある意味、こんなに前向きな本はないと思います。元気もらえますね。
様々な重病を抱える猫の描写も一線を画すというか、もうその症状も含めて本当に猫を愛しているんだなと思いました。
小さい頃、病気もちの2匹の雑種猫を飼っていたことがあり、毎日母ちゃんが体内の蟯虫をお尻から出してあげてケアしてました。私には到底できないと思いました。
無償の愛。
著者も私の母も動物が本当に”家族”だと思っているんだと思います。
可愛い猫をお金払って買って、服を着せたりおしゃれさせたりして自分を満たすために飼っている人には理解できないと思います。
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妹である、よしもとばななさんのエッセイでも、たびたびお姉さんの豪胆ぶりが紹介されていますが、惚れ惚れします。
外猫については意見も人それぞれですが、わたしも基本的にハルノさんの考えに近いです。自分の家の猫は外には出していませんでしたが、猫が伸び伸び外を歩けない町は寂しいなあと思います。
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猫への愛を感じる、という一言では語れないような気がする。
田舎の農家出身のわたしには、あくまで動物は畜生だ。だから動物に盲目的な愛情をかける人は正直苦手である。
この本は、愛情を割り切った文章で爽やかにしていた。だから色々突っ込みどころは満載だが、何故だか嫌味っぽくない。非常に好意的な意味で、厄介な方だと思った。
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とても面白かった。絵と文章の双方にひきこまれて、楽しく、同時にいろいろ考えさせられる一冊だった。
猫というのは実に不思議な生きものだ。人と関わり合いながら生きているのに、矯めがたい野性があって、自由な行動を好み、(特に都会では)時にそのために命を落とす。「それでも猫は出かけていく」というタイトルには、猫好きとして幾度もつらい思いをしながら、それでも猫のそういうありようを受け入れていこうとする思いが込められているのだと思った。
しかしまあ、著者の「猫愛」は相当なものだ。家にいるのは障碍や病気のある猫ばかりで、動物病院へ行くのが日課。窓をいつも開けていて、家の周囲で暮らす「軒猫」や、「外猫」つまりノラにも食べものを用意する。外猫用の「定番メニュー」の豪華なことには驚いた。赤身魚缶詰・白身魚缶詰・湯がいたホタテ・甘エビ・ナマリ節の盛り合わせ。お客さんが「おいしそう」と言うそうだが、そりゃそうだろう。
ハルノさんは、避妊手術を受けさせようと、雌の野良猫を一生懸命捕まえる。どんどん増えないように、ではない。厳しい環境にいるノラの寿命は悲しいほどに短く、えさをやったからといって増えたりはしないのだそうだ。毎年毎年生まれた子猫がはかない泡のように消えていく。それを座して見ているに忍びなく、これしかないと腹をくくっていると書いている。
ご近所には同じようにエサ場を提供したりしている猫仲間の方たちもいるが、「猫が通るのがイヤだから」と毒物を撒く人もいて、何匹もの猫がそのために死ぬ。ハルノさんは憤って書く。
「家の間を通られない権利?花壇を汚されない権利?自分の持てるあり余る権利の内、ちっぽけな最後の一片まで行使するために、弱い生き物の生きるというたった一つの権利さえも奪い取る。そんな普通の人こそが一番残忍で、欲深いのだと思い知らされました」
これまた猫好きで有名な著者の父吉本隆明氏が、生前「昔猫はもっとのんびりしていたのに、最近はみんなビクビクして逃げちゃう」と言っていたと、あとがきにある。そう言われてみると確かに、以前はもっとそこらへんに猫がいたように思う。子供の遊ぶ声まで騒音扱いされるような、寛容さを失った今の世の中だものなあ。あらためてため息をつく。
脊髄損傷で排尿排便が困難な美猫のシロミをはじめ、さまざまな猫たちが登場し、それぞれに忘れがたい印象を残す。シロミは、著者の父が亡くなった後、テレビから流れるその声にすっ飛んできて、あちこちを探し歩いたそうだ。余命わずかになって元の飼い主に会えたトッポのエピソードにもジーンとした。猫は人間と違って、苦しい悲しい痛いつらいと言うこともなく、日々を淡々と、かつ、全力で生きている。著者はこう書いている。
「単純であるがゆえに高度のことを成しとげている”人間”以外の生物たちには、常に敬意を表します」
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家猫、外猫、通りがかりの猫など、常時十数匹が出入りする吉本家。思想家の父・隆明が溺愛したフランシス子、ツンデレ捨て猫のシロミ…。吉本家に集う人と猫の生態をイラストを交えて綴る。
隆明や次女のばななは有名だが、ばななの姉がエッセイスト、漫画家とは知らなかった。外猫の過酷な運命や筆者の献身的な活動には頭が下がる。洒脱な文章はもとよりイラストもよく描けているけれど、巻末の写真がなおよかった。
(C)
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家猫だけでなく、周辺に屯する猫までも愛するということの大変さがわかる。本書の内容の濃さは特筆に値する。ここまでやってるんですか!という驚きを感じるとともに、流石吉本さんの娘、よくも細かいところまで…。と感心してしまう。 文中にもあったが、吉本隆明氏が、昔の猫と今の猫を比較した言葉が印象的であった。完全犬派の私であるが、この本はとても面白く読むことが出来た。
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すごい
本物猫飼いが
ここにいるって感じ
こんなに真剣猫と向き合い暮らすってすごいな
ノラの生存年数は
そんなにも短いとは。。。
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話は読みやすい、絵も見やすい
作者の猫への向き合い方、考え方は凄いと思う。
けど勝手に隣のお寺の墓地に猫の遺体を埋めたり、それを堂々と本に書いて発表してたり。似てる猫がいるからってあの家が猫を捨てたのでは疑惑とか書いたり、ちょっとどうなんでしょうと思う内容もちらほら。
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たんたんとしているのが良い。生活の中に猫がいる。飼っているのではなく、共に生活している。そんな風に、私は感じた。大変なのは言うまでもないが、きっと苦労ではない。むしろ清々しいくらいだ。「クロイヤツ」には感服しました。少し切ないけどね。