紙の本
バックパッカーと年齢
2021/02/27 19:44
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投稿者:ぱぴぷ - この投稿者のレビュー一覧を見る
学生の頃、バックパッカーにあこがれた。自分でやる気力体力がなかったので、ひたすらバックパッカーの人たちの本を読んで楽しんできた。しかし、自分が年を取るにつれて、バックパッカーの旅は、本当にしんどうそうだな、自分は多少お金がかかってもいいから、体がもう少しちゃんと休めそうなホテルに泊まりたいなどと思うようになったのが、本書の最初の旅の記事を読んでもそう感じた。
しかし、二つ目の旅、三つ目の旅の記事に進んでいくにつれて、やっぱり見知らぬ場所を知れるのは面白いななどと引き込まれていった。しかし、よく見ると、冒頭の旅が、一番新しいもので、わくわく感のまだある二つ目と三つの目の旅は、古めの旅なのだ。やはり、筆者の年齢が関係しているのだろうか。
とはいえ、それほどメジャーではない国々の暮らしについて知れるのは興味深いし、写真が多いのもいい。ここに収められているのは2009、2010、2013年の旅だから、いま現地を訪れてもだいぶ変わっているのではないか。しかし、ある時代の記録として、やはり面白いと思う。(3.5点)
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アルバニアとグルジアに行ってみたくなった
ルーマニアの私の短い滞在ではわからなかった経済的なことなどがわかった、また田舎の方をゆっくり訪れたくなった
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読書録「バルカンの花、コーカサスの虹」3
著者 蔵前仁一
出版 旅行人
P79より引用
“車の数も少なく閑散とした感じもするが、
それでも交通渋滞が起きているらしい。”
目次から抜粋引用
“バルカンはどこにある?
絶景かなコトル湾
ヨーロッパ最後の中世へ
お釣りが多い
聖なる山アララト”
作家・グラフィックデザイナーである著者
による、バルカン諸国と南コーカサス地方を
旅した旅行記。
クロアチアから始まりアルメニアまで、多
くの写真を使い穏やかに語られています。
上記の引用は、アルバニアの都市での様子。
車が少なくても渋滞が起きてしまうというこ
とは、渋滞というものは集団を作って生きる
生物とは切っても切れない現象なのかもしれ
ません。
同著者の他の著作と違って、イラストはあ
りません。著者の穏やかな絵柄のイラストが
ないのは、少しさびしく思いますが、その分
写真がふんだんに使われています。
写真のカラー率も、ざっと見たところ7~8割
といったところなので、景色や町並みの美し
さを楽しむのに十分なボリュームなのではな
いでしょうか。
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旅行人で掲載された内容とは知らず、手に取った。
最終章を読んでいると、読んだことが有る気がして、ようやく気づいた。
コーカサスやバルカン半島には、とても憧れるが、これから行く機会を作れるかどうか難しいところだ。
本書を読み、空想旅行ができたと思う。幸せなひとときであった。
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蔵前仁一(1956年~)は、バッグパッカー向けの雑誌「旅行人」(1993~2011年、前身の「遊星通信」は1988年~)を主宰した、バッグパッカーの間では知らない人はいない、イラストレーター、旅行作家。
本書は、著者による、スロベニアを除く旧ユーゴスラビア6ヶ国とアルバニア(2013年)、ルーマニア(2009年)、及びコーカサス3国(2010年)の旅行記で、ルーマニアとコーカサスは雑誌「旅行人」に掲載されたものに加筆し、旧ユーゴとアルバニアは書下ろしである。
私は、本書の中にも出てくる(『あの日、僕は旅に出た』に更に詳しい)、著者の歩いた1987年の年初のアテネの街を、著者と同じようにバッグパックを背負って徘徊し(それから西ヨーロッパ諸国を巡った)、その後1990年代の大半を仕事のためにヨーロッパで過ごした期間と併せて、ヨーロッパの二十数ヶ国を訪れたが、当時はバルカンの国々を個人で旅することはハードルが高く、著者が本書で訪れた国は全く行くことはできなかった。その後ずっと、チャンスがあれば、それらの国々を巡ってみたいと思っており(その次にはコーカサス3国も)、そのときには必ずや参考になるはずと考えて本書を入手した。
多くの日本人が持つヨーロッパのイメージは、西欧を中心としたカトリック的なものである。しかし、東方正教会に長く属し、ときにトルコの支配を受けることもあったバルカン諸国(ギリシャを含む)からコーカサス諸国に至る地域は、間違いなくもう一つのヨーロッパであるし、東西冷戦時は社会主義体制下にあったことや、その後少なからぬ国が民族紛争を経験したことなどの、複雑な近現代史を歩んだ街を、いつか自らの目で見たいと、私は思っている。
一読してみると、蔵前氏の持ち味であるスローで、シリアスにならず、ときにコミカルな旅の表現はやや影を潜め、楽しいイラストも残念ながら載ってはいない。しかし、まだまだ個人で旅する人が多くはない、バルカンとコーカサスの国々の各所の記述は、(近年は「地球の歩き方」の情報もかなり充実しているとはいえ)個人旅行者の目線ではとても有用なものであり、旅行記というよりも、ガイドブック的な意識で手にする方がいいのかもしれない。
コロナ禍が収まり、遠からず再び不安なく個人の旅ができるときが来ることを願って、しばらく書棚の片隅にしまっておきたいと思う。(本好きの鉄則のひとつは、興味を持った本はそのときに買うことである。日々多くの本が出版される今、後で買おうと思ったときには絶版になっていることが少なくないのだ)
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90年代、バックパッカー文化全盛の頃からずっと読んでいた自分からすると、筆者の個人旅行記はタッチは変わらずともコンテンツはずいぶん変わった印象。
当時のアジアで頻発した面白ネタなど皆無で、まさに今風の旅行記だと思う。
当時の貧乏旅行は、日本の経済力を背景にした贅沢な道楽だったということがいまさらながらわかってきたわけで、そういった環境をふまえ、この本では現在のバックパッカーの「今風の旅行記」、イーブンでフェアな旅になっているのはさすがというべき。
それでも無意識の中で日本=経済大国、が前提になっている、言わば上目線な箇所もあり、2021年に読んだ自分としては必要以上にそこが気になった。ただ、実際には2010年ごろの旅なので、ギリギリ豊かな日本の残り香はあったのかもしれない。