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以前「会社にお金が残らない本当の理由」を読んだので、その流れで読もうと思ったけど、期待した内容とは異なった本でした。「少々不恰好な本になりました」と冒頭に書かれているので、そのあたりがギャップとしてそのまま感じられたのかもしれません。過去の賢人のいつくかの引用がありましたが、小林秀雄の引用がいちばん印象的だった。
「人は様々な可能性を抱いてこの世に生まれてくる。彼は科学者にもなれたろう、軍人にもなれたろう、小説家にもなれたろう。しかし、彼は彼以外のものにはなれなかった。これは驚くべき事実である。」
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10年前に出た岡本吏郎さんの大ベストセラー「会社にお金が残らない本当の理由」の肝の部分を、現在の税制等に合わせて、より詳しく(ものすごく難しい部分もわかりやすく、全ての疑問に答える形で)
焼き直してくれた本。
その肝以外の部分も充実し、ものすごく勉強になった。
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立ち読みなのに大当たり。タイトルはハウツーっぽいのに、内容は本格的。
〈作戦には2種類ある。よいのと悪いのとである。時としてよい作戦計画も偶然の事情によって失敗し、時としては悪い作戦計画も運命の気まぐれによって成功する〉ナポレオン
要は運が重要なファクターとなり得るということ。
〈一般解を実行すると誰でも勝てるが、参加しない人がいる。ポジショニングは滑稽を明らかにするところから始まる。〉
このあたり深い。
〈司馬遼太郎は武士が頼もしさを大切にしてきた、と言った。ドラッカーは責任、ウィリアム・ジェームズは指向性、ハイデガーは存在と呼んだ〉
日本だろうが海外だろうが関係ない。底にあることは似ている。
「未完成の自覚」という言葉は、亀井勝一郎という人の言葉らしい。
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☆3(付箋12枚/P261→割合4.60%)
岡本吏郎さんの本は経営戦略に興味ある人以外でも本当に面白いので、おススメです!
可能性の幅を考慮するということは、未来が不確実であることに備えることです。これは人生戦略そのものとも言えませんか?
・私の友人に過去にインターネットの集客をうまくやっていた税理士がいました。私の前で得意になる彼に、私は、「インターネットの集客に慣れて、それだけに依存してしまうのはよくない。必ず競争が激しくなってくるから、そのうちコストばかり上がって対応できなくなるぞ。インターネットの市場は、“完全自由競争”になることが運命づけられた市場だ。それがわかっている場で長居をしてはいけない」と注意をしたのですが、「わかってるよ!」という“わかっていない反応”しか得られませんでした。もちろん、さすがの彼も今はわかっているようですが…。
・時々、お客さまから「あのライバルをとことんやっつけたいのですが…」という相談をいただくことがあります。私は、このような相談に対していつも次のように答えます。
「いいですよ。私は結構戦争好きですから、やりましょう。ただ、覚悟してください。敵を徹底的にやっつけるという戦略をとった場合、無傷ということはあり得ません。金はとてつもなくかかります。勝利がもたらす利益よりも、支払う代償が大きくなる可能性もありますよ。それでもいいならやりましょう」
こう言うと、ほとんどの経営者は、別の戦略を選びます。
・「可能性を欠くということは、ある人にとって、一切のものが必然的になってしまったことを意味するか、それとも、一切が日常茶飯事になってしまったことを意味するか、そのいずれかである」―キルケゴール
誰もが、「変化が大事だ」と叫びながら、日常茶飯事が好きなのです。つまり、「可能性」が嫌いなのです。ちなみに、新興宗教も、傾向として、可能性を否定することを好みます。そして、「一切合切が必然」などと説きます。
…キルケゴールの言葉を私なりに言い直すと次のようになります。
「目先の現金よりも可能性」
目先の現金と可能性のどちらをとるかというのが、私たちに毎日のように迫ってくる問題です。可能性は、決して広くありません。無限になんてあるわけがありません。でも、だから、可能性は大事なのです。そして、可能性だけが生きる糧だと考えていいでしょう。ですから、キルケゴールが言うように、可能性が喪失するようなことがあれば、それは人生の終わりです。
しかし、自己都合による経済的な合理計算は、この可能性を狭める方向に働きやすいのです。ですから、お金を懐に入れたい不自由な自分を笑いながら、私たちは可能性の航海の日々を楽しむべきです。
・力は常に力であるが、熱狂は熱狂に過ぎない。―ナポレオン
・2011年3月の東日本大震災は、一時、全国の中小企業の経営にも大きな影響を及ぼしました。週末に大震災が起き、その翌週からは、私の元にもたくさんの経営者からの悩みの相談が持ち込まれました。
私が震災後1ヶ月ほど言い続けたことは一つです��
「起こっていることは傍流、起こっていないことの方が主流だ」
・小林秀雄は、「将棋の神様が二人で将棋をさしたら?」という問いを『考えるヒント』の中でしています。そして、その問いを物理学者の中谷宇吉郎に投げかけた時の様子が書かれています。
小林「仕切りが3つしかない一番小さな盤で、君と僕とで歩一個ずつ置いて勝負したらどういうことになる」
中谷「先手必勝さ」
小林「仕切りをもう一つ殖やして4つにしたら」
中谷「先手必勝だ」
小林「それ、見ろ、将棋の世界は人間同士の約束の世界にすぎない」
中谷「だけど、約束による必然性は動かせない」
小林「無論だ。だから、問題は約束の数になる。普通の将棋のように、約束の数を無暗に殖やせば、約束の筋が読み切れなくなるのは当たり前だ」
―中略―
小林「将棋の神様同士で差してみたら、と言うんだよ」
中谷「馬鹿言いなさんな」
小林「馬鹿なのは俺で、神様じゃない。神様なら読み切れるはずだ」
中谷「そりゃ、駒のコンビネーション数は一定だから、そういう筈だが、いくら神様だって、計算しようとすれば、何億年かかるかわからない」
小林「何億年かかろうが、一向構わぬ」
中谷「そんなら、結果は出るさ。無意味な結果が出る筈だ」
勝負は、「約束」に対してしっかりと対応しているかどうか、つまりセオリーを忠実に行っているかどうかで決まります。逆に、ルーレットや宝くじは、実力の発揮どころがまったくありません。
・この本の最初の方で、ソニーのベータ方式の敗退について、「誰も予想もしていなかったある出来事により」と書きましたが、その予測もしていなかった出来事とはレンタルビデオ店というビジネスの発生です。
こうしたビジネスが発生することなど両陣営とも予測外でした。両陣営ともビデオは家で録画したものを見るということを前提にしていましたが、現実のビデオの利用方法の主流は借りてきたビデオを見るというものになっていきました。そして、貸しビデオ屋は、当初は、両方式のビデオを在庫していましたが、ベータ方式のシェアが不利になってきた状況を見てVHS方式のみを在庫するようになりました。
これで勝負ありです。シェアのわずかな差が撤退に追い込まれるまでの影響となったのです。
・第一章で書いた旧商店街の景色は、順調に事業拡大をしてきた呉服店や家具店が、さらなる拡大を狙ってビルを建てたものの、運に敗れた後の景色です。ビルを建てるくらいなのですから、それなりの実力はあったと思いますが、実力の影響度よりも運の影響度が強い方向へ経営の舵を切ってしまったのです。その戦略は、ソニー同様に間違っていなかったのかもしれませんし、そもそも間違っていたのかもしれません。言えることは、運の影響度が大きくなる戦略をとってしまったというだけです。
・クラウゼヴィッツは、戦争を2つに分類しました。局地的戦闘を中心とする戦争とナポレオン以後に主流となった殲滅戦です。このクラウゼヴィッツの考えを当てはめれば、局地戦では、多少の“兵站”のミスは許され、殲滅戦では、それは許されないということになるかもしれません。
そして、私たち中小企業が、“兵站軽視”で、事業ができているのは、局地戦を戦っているからです。そのため何とか凌げているのです。その中小企業が兵站軽視のまま、大きな戦いに出れば負けるのは決まっています。それは世の中にたくさんの例があるので、あえて挙げる必要はないでしょう。
では、局地戦ならば、“兵站”は軽視でよいのでしょうか?もちろん、違います。やはり、戦略よりも大事です。
・仮に、経常利益が500万円で社員数が100人の会社があったとすると、一人当たり経常利益は5万円です。これくらいの数字の中小企業は世の中にたくさんあります。問題は、こういった数字で会社は存続できるのか?ということです。結論は、できないと思います。一人当たり経常利益が5万円ということは社員の給料を年平均で5万円アップさせたら赤字ということです。
…私自身は、一人当たり経常利益200万円を最低基準にして経営しています。
・ドラッガーが『現代の経営』において、中小企業の抱える問題を解決する方法のひとつとして「合併・買収による拡大」を提示してから約60年が経ちます。
ドラッガーは、中規模の企業が持つ特有の問題の解決には、「解決方法は合併または買収による拡大しかない」とまで言い切ったわけですが、それでも21世紀に入っても中小企業がM&Aを行うことは、決して、戦略の一部として考えられているレベルにはありません。
・私は、経営者から「決算書を見て意見をください」と言われることが多いのですが、決算書を見させていただいていると、時々、「んー、オタクはそろそろ何か事件が起こりそうですね~」と余計なことを言ってしまう時があります。そして、私が、こうした注意喚起をすると、ほぼ100%、その企業で事件が起こるものですから、私の一言は恐れられています。
…長年培ってきたカンのようなものでしかないので、これといった法則があるわけではありません。ただし、それをあえて言葉で表現するならば、この本のキーワードの一つである「自己都合」が見え隠れする決算書という言い方はできるかもしれません。
例えば、付加価値(売上‐変動費)が1億円ある会社の社員数が経営者を含めて3人という会社があったとすると、生産性の高い会社とは言えますが、一人ひとりに異常な重荷がかかっている可能性は十分に読み取れます。
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・年々実力をつけていって、運の影響を減らしていく。
・これからは、会社にお金を多く残して、役員報酬は少ない方がいい
という時代になった。
・不況期は「注文をとる」より「価格を守る(しのぎ)」方が大事。