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集英社文庫版。
講談社文庫版が出たのはいつだったろうと調べてみたら、1999年だった。もうそんなに経つのか……。
最初に読んだ時は『夏と冬の奏鳴曲』や『痾』が好きで、本作はいまいちピンと来なかったのだが、集英社文庫版で再読してみると、秀逸な青春ミステリだった。当時はちょっと地味に感じたのが理由だったのかも……。
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僕が麻耶雄嵩ファンなのかというと、言い切る自信はない。それでも不思議と手を出してしまうのは、なぜなんだろう。今回、絶版になっていた『あいにくの雨で』が集英社文庫より復刊されたので、読んでみたわけだが…。
以前、講談社のPR誌『IN☆POCKET』に麻耶さん自らが本作を語る文章が掲載されていたが、僕の記憶が確かならば、その文章のタイトルは、「あいにくの出来で」というものだった…。辛い作品だったとまで書いている。
そこまで言われると逆に興味がわくではないか。結論から言うと、他の麻耶作品同様、読後感がもやもやするのは同じ。麻耶さんらしいなあとは思う。『翼ある闇』などと比較すると地味なのは否めないが、特別悪くはない。そして、特別良くもない。
最初に密室の謎解きを配置するという特異な構成。メインの謎は、古びた塔での殺人事件なのだろうが、並行して描かれる生徒会の活動の方が興味深い。現実の政治も顔負けの勢力争い。諜報機関がある生徒会なんて嫌だ。
正直、生徒会の部分が必須の要素とは思えないが、そっちの方が面白い時点で致命的という気もする。いっそ生徒会を中心に据えた学園ミステリにすればよかったのに。本作は登場人物が覚え切れないほど多いが、中でも生徒会関係者がやたらと多い。
終盤の二転三転する展開の末に、真犯人が告白した事実が、一応驚くポイントなのだろう。このジャンルにあるまじき結末のはずなのだが、何だかどうでもよくなっていた。動機といい、突っ込みどころは多いはずなのに。正直、推敲不足な感はある。整理すれば、この構成をもっと生かせたはずである。弱点を補って余りあるパワーがあるわけでもない。
麻耶さんは、インタビューでご自身を短編向きと語っていた。『メルカトルと美袋のための殺人』、『メルカトルかく語りき』、『貴族探偵』シリーズなどを読むと、なるほどその通りだと思う。長編に関しては、いつまでも『翼ある闇』が立ちはだかるのだ。
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ミステリの構造と謎解きを楽しむことに主眼を置かず,物語としての軸が鮮明な点で読みやすい.できれば,登場人物達をもう少し立たせるための序盤構成があると,とっつきやすい.
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麻耶雄嵩は好きなミステリ作家だが、初期の作品はなんだか読みづらい…とデビュー作を読んで思ったが、4作目にあたる本作も同様、ページをめくる手が捗らない。
事件の展開も終盤がやたら慌ただしく感じるし、オチの付け方も麻耶らしいといえばそうだがインパクトに欠けるような……
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他の麻耶作品と比べると異色な青春ミステリ。ラストは派手ではないが喪失感でいうと随一かもしれない。
章の仕掛けもなかなか効果があったと思う。
ただ、どこか幻想的なのは麻耶らしさとしていいとしても、登場人物の描写が薄く、性格や関係なども地の文の説明と描写で開きがあるように感じてしまった。もう少し掘り下げがあればラストが際立ったと思うので残念。
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あいにくの雨で~あいにくの麻耶雄嵩
とはいえ、裏切られるの承知で読み始まってはいたのですが相変わらずのちゃぶ台ひっくり返しの技。
後味、いい、悪いの問題ではもはやない。
覚悟して読んでいたのでショックは少なかったけれど
どんなバカ?とは期待していた。バカじゃなかった、残念。
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ちゃんと「青春ミステリ」になっていることに、まず驚きました。
13章を冒頭に持ってきて、密室の謎を種明かししてしまうところはさすがです。
「探偵」という概念を鮮やかに覆すトリックが素晴らしい。
救われない結末にも関わらず、
「麻耶さんなのに爽やかな話だなあ」と思ってしまうのは、完全に麻耶麻痺していますね。
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部活を引退し、受験を控えた高校生の烏兎とその親友の獅子丸が、同級生の祐今に襲い掛かった事件に挑んでいく青春ミステリです。
久しぶりに摩耶さんの作品を読みましたが、面白かったです‼
いきなり13章から始まり、なんだこりゃと思いながら読み進めていったのですが、まんまと騙されました。
読み方が珍しい漢字が多く、それだけで少し世界が歪んだように感じます。摩耶ワールドですね。また、普通の高校生とは思えない生徒会のスパイ探しとかの件も好きです。
犯人の心理に少し共感するところがありました。ネタバレになるので書きませんが、人間はいろいろなことで悩み、憎しみを抱くものなんですね。でも、それはその人しかわからない。事件とかってのは、きっとそんな人の心に、勘違いとか偶然とかその人の関与してないなにかが作用して起こるものなんですね。
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麻耶さんの小説は、
絶対一筋縄ではいかない、何かあるはずだと
身構えて読んでしまう(笑)
いきなりトリックの説明から始まって
犯人判明寸前で事の起こりから物語が始まる。
ので、一体誰なんだー、ともやもやしたまま読むことになるw
推理小説は時間を忘れて読んでしまうなあ。
ああ、でも空間に弱い私のために
塔の図解が欲しかった・・・。
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ちょうど私のニーズに応えたような内容で、とても満足できました。
青春モノだけど青春過ぎず、ミステリだけど複雑でないものが読みたかったので、今の気分にピッタリでした。
トリックはあって無いようなものですが、ハラハラ感やドキドキ感は充分味わえました。また、後味は悪めですが、あまり酷すぎる・絶望的過ぎる感もなくあっさりとまとまっていて良かったです。
オチは若干、「麻耶先生のいつものパターン」といった風で新鮮味に欠けますが、言い換えれば「安定の麻耶節」という感じで安心感のようなものも感じられます。人に勧めるのにも調度良さそうなので、買って良かったです。
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高校生たちが主役の青春ミステリ。
ただし麻耶雄嵩なので絶望感がすごい青春。
でも…なんだろう…麻耶雄嵩に慣れたのかラストもうわぁとは思うものの、なんか今回はライトだったな!とか思うようになってしまった…。
でもメルが絡む長編ものよりはだいぶ読みやすいのは事実だと思う。直前に読んでたのが夏と冬の〜…だったので余計読みやすく感じた。
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ちょっと入り込めず自分の気持ちが上滑りしてしまう作品だった。小中学生くらいで読んでいたら楽しめたかも。
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初めて拝読した麻耶作品。
雨というタイトルに惹かれて購入。ラストが衝撃的で、なんかもうつらい。これからの烏兎くんと獅子丸、そして祐今のことを思うとなんとも言えない気持ちになる。祐今は何も知らないまま過ごし、烏兎くんと獅子丸は奇妙に歪んだ関係を持続していくのか気になるので、その後の物語が欲しいとか思ったり思はなかったり。
“俺たち親友だろ”の重たさ。
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青春ミステリーというところか。
最初は劇画的という印象だったが、だんだん引き込まれてしまう。
犯罪って納得出来るものではないだろうが、この内容もどうも納得できないな。
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やっぱりなんか、すごいなぁ…好きだなぁ。
この人かな、と思いつつも、この作家さんなのだからきっと何かあるのだろう、と。結果、それだけじゃなかった。そんな問題じゃなかった。
全てが解き明かされない。だから、読後に色々考えてしまう。間違いなく彼は勝ったのだろう。でも、この先ずっと彼の世界はこの日を境に全く別物になるのだろう。負けることより心に刻まれる雨の日。
読み終わって、登場人物たちのこと、そして今までとこれからを、ぼんやりと考えてる。