紙の本
みんなに薦めてます
2015/09/21 02:24
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Chocolat - この投稿者のレビュー一覧を見る
菅原道真公といえば、九州の大宰府に左遷され、亡くなり、その御霊を慰めるために、太宰府天満宮が…と、学校で習ったような
でも、実は、こっちが本当では?と、惑わせる奇想天外な物語でした。
気の毒な人の代表のような道真公が、物語では、ちょっと幸せで、くすっと笑えて、ほんわかした読後感でした。
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やや荒唐無稽な気もしますが楽しい一冊
2015/05/08 22:50
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:めいんくーん - この投稿者のレビュー一覧を見る
菅原道真公というのは、どういう人物だったのか、想像の域を出ないというか、考えてみたこともないのですが、意外と弱いところもある人間味あふれる人として描いています。確かに、いかに高潔で剛毅な性格だったとしても、はるか遠い地に来てみれば、やぶれかぶれな気持ちになるのも当たり前なことですよね。しかし、なれてみると、意外とこの地は、道真公にとって、やりがいの感じられる面白い土地だったかもしれない、と思えてくるほど、この物語の力に引き込まれいきます。読み終わった後も、不思議とストーリーを覚えていて、本当にインパクトがある本だなと思います。
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おもしろく読みました。
2023/02/21 19:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:satonoaki - この投稿者のレビュー一覧を見る
澤田瞳子さんの小説を初めて読みました。
江戸時代の小説はいろんな作家さんのを読みましたが、太宰府!道真!この時代の話は初めてです。
澤田さんの得意な時代なのかもしれません。
江戸時代を中心に、「書いておけばいい」と次々に新刊を出す作家さんもいますが、なんだか雑です。
澤田さんは、丁寧ななかにユーモアを織り混ぜているように感じました。
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泣き寝入りにならずに変わることが出来た道真
2022/03/19 07:24
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
大宰府に左遷された菅原道真の民を想う政の変遷を、太宰府庁の官人たちのとの関わり方から描いた物語。正しい政治を目指しながら、世の中の上澄みしか見ていなかった道真を、屈原と対比させる点が興味深い。どれだけ民が飢えに苦しもうとも、国政を預かる高官がその情痛を身を以て知ることはなかったと道真は気づく。そして屈原とは異なり、変わるのである、その政治姿勢を。梅の花が咲き誇ったこの時期に読むことが出来て良かった。
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人間、どこでだって生きるんだ!
2024/02/02 14:47
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大宰府でうたた寝ばかりの小役人の穂積は、太宰大弐小野葛絃から都より下向してきた新しい太宰権帥の菅原道真の相手役を命じられた。穂積には都の事情は解らず、左遷されたきたのだろうとしか窺えない。
激する感情を持て余す道真だったが、大弐の姪の恬子の機転もあって、博多津の唐物商へ誘われる。唐渡りの文物を目にして気持ちが高揚し、生きる気力を取り戻した道真だった。しかし、人の生活は上り下りがつきもの。平穏無事には過せない。
落ち込んだままでもいられない、どこかで己が生きる意義を見出そうともがく姿が歴史上の人物を通して描かれる。
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理想がかなうことは稀。運命には逆らえない。
それを受け入れ、それでも足掻くことで、
人は生きる望みをつないでいくことができる、
と教えられました。
それと、本のタイトルというのはとても大事だなと。
「菅原道真西遷物語」などというタイトルであれば、
決して手にとることはなかったと思います。
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当時の太宰府には興味がありますし、左遷後の道真というのは新鮮なテーマと思いました。でも、道真像に隔たりが大きく、児童文学を読んでいるようでした。彼女が選ぶテーマには惹かれますが、リアルさに欠けます。例えば、ユーモア歴史小説というジャンルを掘り下げる方向もあるのではと。
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東風吹かば……なんて、やることを見つけた道真の大宰府ライフ。
歴史にifはないけれど、スキマを埋めることはできる。それが歴史小説。「うたたね殿」と渾名されるやる気のやい大宰府の役人、ついでに入り婿である龍野保積と、親代わりの叔父と兄を追って大宰府にやってきた才色兼備の恬子(もとい、小野小町)、この二人の視点が章ごとに入れ替わり物語が進む。文章は読みやすく、また登場人物も日本史の有名どころが出てくるのでとっつきやすく、これはヒット。大宰府に流された当初はショックでひきこもっていたけど、自分の才能を活かせる道を見つけてイキイキし始める道真。ぼんやりやる気なく生きていたけど、自分のできることをしようと思い始める保積。これからの道を見つけようと歩きだす恬子。その他のキャラクターもいい。
自分の力を出せないって、とても辛いこと。高杉晋作の辞世の句(下の句は野村望東尼が付けたとも)「面白きこともなき世を面白く 住みなすものは心なりけり」もそうだけど、自分の力を出して生きていける場所っていうのが必要だよね、それだから人生面白くなるんだよね。
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政争に敗れて大宰府に流された菅原道真を、迎える大宰府の役人側から見た軽めの(を装った)古代歴史小説です。やっぱり瞳子さんは古代中世が本領ですよね。隠れ(?)テーマは地域格差みたいな感じで、都とそれ以外の都市の絶対的な格差を、都の人間は実は全然分かっていない。という、今も昔も変わらない苛立ちを含む。
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学問の神様・菅原道真、名前は有名だけれど、文学作品で語られる事はあまりないような気がする。
そんな道真に血肉を与えたような作品でした。
博多津のにぎわいが、作品が平安時代の設定と知っていても、半島に近いせいの異国情緒が、奈良以前も彷彿とさせて…
歴史小説好きにはたまらない。
さりげなく小野の小町さんも登場したり(206ページにしてやっと気づく)、道真が雷神と結び付けられるエピソードもあり。
歴史の行間を興味深く埋めてくれる。
まだちょっと荒削りな感もあるのですが、戦国幕末江戸時代に関しては書き手も多いこの頃、平安以前は手薄な分野になってしまった。
個人的に期待したい作家です。
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夢破れた天上人の敗者復活戦。道真の復讐と
いっても、驚くほどの事ではない。けれど、史料に照らし時代を蘇えらせるのが、うまい。寒早十首の話が印象深い。
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鬱蒼と木々が生い茂る森の中を歩くのが好きだ。
樹木、野の花、小鳥、小川、湧き水、風、木漏れ日…
どこまでも変わらない景色。
でも、好き。
特に何か面白い事が起こるわけではない。
でも、どこまでも歩ける。
稀に
腰を降ろすのには丁度良い石の上に
誰かが座っている事がある。
彼らと触れ合う事はないけれど
幸運にも眼が合えば、
その口元は静かに開き、語りかけてくれる時もある。
森を歩いていると
時々そんな光る人と出会う。
澤田瞳子さんという方の
『若沖』という本が面白そうなので読んでみたいなぁと、思った。
すでに予約がいっぱいだったので
初読となる著者の本を適当に一冊借りて、
読んだこの本の中に<光る人>はいた。
なんかもう胸がいっぱい…
『若沖』はきっといい本だろうな、と確信した。
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菅原道真の太宰府での生活を想像して書かれた小説。道真が失意の底から元気を取り戻していく様子がおかしかった。
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澤田瞳子さん、はじめましての作家さん。
ふだん歴史小説はあまり読まないのですが、
和歌好きなのと、
この『泣くな道真』という響きが良くて読んでみました。
一番印象に残ったのは、道真公と僧侶、泰成の場面。
行き倒れの老人の枕元に掛けられた如来画…。
それを見て、仏様の画の本来置かれるべき場所を知る。
そして、”何とかという貴族”が詠んだ詩として、
道真作の「寒早十首」を批判され、自分の都での生き方を悔いる。
”日本史上、最も有名な左遷された男”
言われてみればそうですね。
右大臣にまで出世しながら左遷され、
憤死の後、怨霊にまでされ、
果ては神様だもの。
でも、その大宰府での日々が
悲嘆にくれるばかりでもなかったとしたら…?
欲を言えばユーモア小説として、
もっと道真公にはじけてほしかった気もしますが、
楽しく読めました。
著者の他の作品も読んでみたくなりました。
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確かに情けない道真ではあるけど、このタイトルはどうかなあ。骨董書画の目利きとか結構お役立ちだし。
更に、小野小町が太宰府に居た、それも道真が左遷されて来たときに、ってのはちょっとやり過ぎかと。
とは言うものの、庶民の現実を突きつけられて、自分の来し方を振り返って真摯に悩む場面は良かったな。