紙の本
タイトルと内容が微妙に合っていないような・・・。
2018/05/09 19:11
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
『六人目の少女』の著者による二作目。あえて具体的な地名やらへの言及を避けまくった前作とは違い、地名や有名な建物やらがてんこ盛り(しかしシリーズにはあらず)。
ヴァチカンの秘密組織(?)に属する教誨師・マルクスはサイコメトラー的能力を買われ、警察とは別に事件を追う神父。カトリックにおいて告解は他言無用だが、看過できない犯罪にかかわる内容となると放っておくわけにはいかないので、遥か昔から存在するのが教誨師なのだ。人が人を裁く裁判所ではなく、神の信仰の前にその罪が贖われる<魂の裁判所>という役割を果たしている(原題は<魂の裁判所>のこと)。マルクスは以前の事件で頭を撃たれ、過去の記憶がないが、ローマで女子学生がシリアルキラーによって誘拐されたため動き出す。
その一方、ミラノ警察の写真分析官サンドラは5ヶ月前に報道カメラマンの夫を事故でなくし悲しみに暮れていたが、夫が実は殺されたのではないかとインターポールの人間に示唆され、独自に調査を開始する。
まったく違うスタートラインから始めた二人がいつしか交錯するに従って、バラバラに起きているように見えた事件や偶然とされていた出来事が、すべて一枚のパズルのピースとしてはまっていく・・・という話。
そんなわけで、なにしろ登場人物が多い。 二段組みで500ページ以上あるし、時間軸も行ったり来たり。しかもほとんどイタリア人名なので、前半あたりは「えーっと、この人、誰だっけ」と<主な登場人物一覧>にたびたび戻ったり。
しかし後半からは一気。なにしろ長編3本分ぐらいの内容が詰め込まれているので、終盤では「そことそこをそうつなげるか!」という驚きに満ち満ちている。
でもこの物語のテーマはアクロバティックなトリックでも、教誨師という存在でもない。
<悪>そのもの。
ある登場人物がこんなことを言う。
「善には、つねに対価が存在する。 しかし悪は無償だ」
「悪を知るためには、その闇の世界に深く入り込んで、徹底的に知り尽くし、一体化する必要があるんだ」
本当にそうなのだろうか。
あまたの作品の中でプロファイラーと呼ばれる人たちや捜査する側の人々が心も身体も蝕まれ、<深淵に見られている>ことに疲れ切ってしまうのは(場合によっては一線を超えてしまうのは)、悪を知るにはそれしか方法がないからなのだろうか。確かに、意識的に非常識な振る舞いをするためには“常識”をわきまえていなければならないが・・・。
と、いろいろと考え込んでしまう余韻もたっぷりの充実の重さ。
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前作『六人目の少女』が面白かったので第2作も購入。
謎めいた教誨師を視点人物とするパートと、未亡人となって間もない女性警察官を視点人物とするパートが交互に語られる構成。
この2人がそれぞれに追う事件が徐々に絡まり合って行き、更に、要所要所で教誨師の過去に関わる章が挿入される。この過去パートがよりサスペンスフルな効果をもたらしている。
ポケミスの中でもやや分厚い方になるが(一緒に買った「SF的な宇宙で〜」が薄め、かつ1段組だったので尚更……)、あまり厚みを感じることなく読み進められる。癖のない訳文は最近の娯楽小説らしく読みやすい。
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複雑長大。
複雑な分、2作目のジンクスということになるかな。
とは言え、読み始めると前作同様最後まで一気に読む。
途中とちゅうの捻りもいい。
1作目の緊張感、2作目のプロット、で、3,4作目にとんでもない傑作が出るんじゃないかと期待値が膨らむ。
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これは面白い。久々にこんなに面白い本を読んだ。
交錯する物語、次第に浮かび上がる真実。
雑多に詰め込まれているように見えて、整列している。
ミステリとはこんな物語のことを呼ぶ。
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ローマで失踪した女子大生は連続誘拐殺人事件の被害者なのか?
ヴァチカンの秘密組織に属する神父マルクスとミラノ警察の写真分析官サンドラはそれぞれの方向から事件を追いかける。
やがて二つの道が交差する時、驚愕の真相が…。
すげー壮大なミステリ。
次から次へと続く事件に暗躍する人々。お腹いっぱい。
この話は謎の男の特異性を納得できるか否かだろうなぁ。ある意味SF的でもあるし。
この手の話を読むと、自分にキリスト教的な素養がもっとあればより面白さの本質に迫れるのになぁと歯痒く思う。思うだけだけど。
関係ないけど、このタイトルはちょっと内容にそぐわないような…。原題がかっこいいだけにもう少しどうにかw
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連続殺人事件を追う教誨師と、夫の死を探る警察官。合間に挟まれる過去のエピソード。…読んでて誰が誰かわからなくなってきた。あと、生物変異体?(うろ覚え)という、相手の見かけ・声・動作などをそのままコピーできる体質の持ち主も出てきて、推理とSF(もしくはホラー)が混ざったような作品。確かこの作者の前作「6人目の少女」でも何となく作者に化かされた読後感であったなあ。
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無国籍のエンターテインメント大作『六人目の少女』で凄まじいデビューを飾ったイタリア人作家カッリージの長編第二作である。のっけからあれほどのアイディアを詰め込んでしまった彼が、第二作をどのくらいの意欲と自負とで書き始めたのか想像もつかないが、大抵の作家であればあのデビュー作を超える二作目というだけで、恐怖に震えそうだ。
そうした周囲の期待を背負って作り上げねばならなかった本書は、作者がそうした期待にしっかりと応えるこれまた印象的な作品であり、さらに作者があとがきで書いているように、二つの大きな興味深い題材を何としても小説化したかったという確かな動機に支えられて生まれたものであろう。
二つの題材の一方は探偵や諜報員のように動くバチカン内部の捜査官たちの存在である。法に縛られず、時には処刑さえも行う内赦院所属の<闇の狩人>たち。さらにデータベースとして実在するらしい罪の記録保管所で分析される悪の記録。こうしたものが小説の中では教会の送り出す追跡者たちという存在として浮き彫りにされる。
もうひとつの題材は、生物変異型の連続殺人犯、というまるで映画『遊星からの物体X』のように、殺人の獲物になりすまして生き続ける存在である。映画と違うのは、捕食者がエイリアンではなく、あくまでも人間であるということのみである。その存在はとてもわかりにくいものだが、小説内のあまりにも目立つ伏線によってじわじわとにじみ出てくる恐怖や悪寒そのものと言ってよさそうな嫌悪すべき存在である。
善と悪の代表型のような以上二つの存在の対立が、物語中で大きくツイストをすることで、ものごとは見たままのものではなくなり、より深い部分を見つめなければ真実が見えない構造として作品全体の迷宮性はさらに強烈に読者の眼をくらまそうとする。
この作家は小説構造を最初に建築学的に設計するところから始めるタイプの人なのかもしれない。そのくらい精密な計算された物語のパズルで全体が見え難くなっているために、一作目も二作目もスリリングで謎に満ちているのだ。
この凄腕のストーリーテリングは、巻末最後の一行まで続いてゆく。続編があってもおかしくはないほどだが、やはり続編はいやだなあと鳥肌が立つあたりで、本書の存在感が改めてぞわりと感じられるほど。犯罪小説の好きな方、犯罪という人間のある断面を見つめて、新たな物語の地平に驚きを発見して頂きたいものである。
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話が複雑で大変でした。章立てが細切れだったので細切れに読んでしまったので尚更。でもついていければ面白いですよ。
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数日開かなかったら、もうなにがなにやらわからなくなって、
何度も読み続けようとトライしたものの、だめだった。
話が複雑、登場人物が多い、それでも読めるものもあるけれど、これは無理。
しかもキリスト教がらみで馴染みがないし。
読めたら面白いのかもしれないけれど、途中挫折させていただきます。
同作家の『六人目の少女』はなかなかだった。
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告解から重罪を知り得た聖職者が秘密裏に罪をあぶり出す教誨師。記憶を無くした教誨師が、報道カメラマンの夫の死の疑問を解こうとする写真分析官と事件の中で交錯する。
そして生物変移体とは。
あっちの話とこっちの話が交錯するから、片方ではまだ知り得ない事にもどかしく感じるのはよくあることか。立て続けの事件にテンポよく先へ進みたくなる。
とりあえず、軽くそうかな?って思ってた予想はひっくり返されたので満足。
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最後のひっくり返しは面白かったが、それ以外は、うーん、あんまりだった。
サンドラの二転三転する身の変わりようについていけない。シャルバーをなぜそこまでひっぱる? あと対面した相手が言ったことを「嘘だとは思えない」、「正しいと信じる」という言い切りの場面が多くて、なぜ……となってしまった。分署長とか警部もキャラ付けがしっかりしている割に絡んでこないし。
モニカは良かったですね。
こういう言い方は良いものではないが、イタリアのサスペンスなら「パードレ」シリーズの方が面白い。
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序盤は引き込まれたが、だんだん訳が分からなく。。。せっかくなので最後まで読んだが時間がもったいなかった。