紙の本
史実とは異なる点が...
2015/01/29 03:40
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投稿者:ハギノヒロジ - この投稿者のレビュー一覧を見る
気になります。
「先生と僕」という夏目漱石を取りあげた4コマがあって、
そちらも少し著者のフィルターがかかっていますが、
こちらに比べると史実に忠実だと思います。
それほど、アレ?という点が多く。
酒を飲んだり(夏目漱石は下戸だったとか)するシーンを見ると、
ちょっと気になってしまったり。
あと、高い!
安いやつもあるので、そっちの方がいい気も...
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英国留学から戻った夏目漱石が、『坊っちゃん』を書き始めようとするとき。
夏目漱石の周囲の人々を通して明治という時代を描く。
漱石の家に集まる若き日の荒畑寒村、森田草平、坊ちゃんのモデルだった(?)太田仲三郎、山嵐のモデル(?)堀紫郎。
この5人がゆる~く繋がりながら、明治という激動の時代を駆け抜ける。
森鴎外が住んでいた家に、留学から戻ってきた漱石が住んでいた。
二人が樋口一葉の住んでいた家の前で彼女の思い出を語り合う時、一葉の後にそこに住んでいた森田草平を訪ねて平塚らいてうを見かける、なんてことがあったかどうかはわからないが、そんなことがもしかしたらあったのかもしれない。
漱石と小泉八雲の関係。
日本が西洋とどう対峙していくかを顕わしているかのよう。
どうしても近代社会になじむことができない漱石が、ロンドン留学中に神経症を発症したのは有名な話だが、『坊っちゃん』の中にも近代対古き良き日本の対立がある。
漱石は古き良き日本に心を寄せてはいるのだが、結局近代化には勝てないことも知っている。
西洋と日本を比べたら、日本は遅れている国である。
はたして本当にそれだけなのか。
日本には日本の良さがあるではないか。
自分の意志であるのなら、絶対にイギリスへ行くことなどなかったというくらい外国嫌いの漱石が、生活のために英文学を教える。
なんとか小説を書くだけで生活できないか計算する漱石。
漱石にとって小説を執筆するということは、神経のささくれを寝かせるのに必要な行為だった。
ただ自己の精神の解放と慰安が目的であった。
漱石のセリフとして「根がしっかりしていてこそ、嘘話の葉も青々と繁る。こうすりゃよかった、ああすりゃもっとおもしろかったってね。言ってみりゃ小説なんざ。思い切りのすこぶるつきに悪い負け惜しみか、頭の屁みたいなもんだよ」とある。
近代化のシンボルとして山縣有朋や桂太郎、伊集院影あきが登場。
安重根や東条英機もチラリと出てきて、北原白秋、伊藤左千夫、国木田独歩なんかもそこら辺にいたりして、知らなかった明治がぎゅうぎゅうにつまったマンガなのである。
236,237ページの写真(マンガだけど)が圧巻。
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明治という時代背景から推察される、さもありなんと思われる、坊ちゃんの成り立ちがユーモラスに描かれる。たまたま、今、坊ちゃんを書いた夏目漱石宅の近くに住んでいるので、余計に往時のことを考えてみたくなる。確かに森鴎外の旧宅も、樋口一葉の旧宅も近い。
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明治38年、坊ちゃんを書こうとする漱石。いろいろな登場人物が出てきて楽しめるけれども、どこまでが創作? 坊ちゃんと近代日本がオーバーラップしているというテーマには、うなずかされた。
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軽佻浮薄の輩を多少揶揄ってみたくなった ぼうだい厖大な通貨発行は必然的にインフレーションを呼んだ 根がしっかりしていてこそ嘘話の葉も青々と繁る 強迫神経症からの唯一の逃避手段であった こうじ好餌と堕さぬ為には 小泉八雲ラフカディオ・ハーン 哀惜の念もだし難く 樋口一葉旧宅を望見して懐旧 山県有朋 椿山荘と名付けた自邸 名人で「けんけん内股」の如く地の果てまで逃げても逃げおおせぬことを身をもって知っていたからである はこう跛行 浅学に由来する そうてい装丁