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仲間を連れた若い男が、嫌がる女性を自宅に連れていき、一族総出で説得し、無理やり結婚させる――中央アジアのキルギスで今も行われている「誘拐結婚」の驚くべき“慣習”を、誘拐の現場やその後の生活に密着して取材した渾身のレポート。
世界最大規模の報道写真祭ビザ・プール・リマージュで「ビザ・ドール(金賞)」を日本人で初受賞したフォトジャーナリスト林典子さんが、2012年7月から5カ月間のキルギス滞在中、実際に誘拐現場に数回遭遇し、誘拐で結婚した約25組の夫婦や女性たち、いったんは結婚を受け入れたものの数日後に逃げ出した女性や、離婚の準備を進めている女性たちを取材。さらに2014年1月から1カ月余りの追加取材を行い、彼女たちのその後の暮らしぶりを撮影したものだという。
この慣習については聞いたことがあったけど、書評を見てますます読みたいと。
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誘拐結婚は人道に悖るかと思えば、誘拐結婚の結果幸せに暮らしている夫婦もいるのが不思議。
当人同士が好きでも親が反対しているというとき、駆け落ちのように誘拐結婚の形式を選ぶのは分かるが、女性にとってまったくの晴天の霹靂である誘拐で、幸せになれる人がいるのはなぜ? それって本当に幸せなの?
文字ではなく写真の本なので、答えは見る人が読みとるしかありません。
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誘拐結婚が慣習として存在しているのも驚きだけど、どうやってこんな写真が撮れるくらいの関係を築けたのだろう? って写真が満載。
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タイトルが強烈過ぎて、ちらっと中身を見て、こんな慣習(このように呼ぶべきではないかもしれないが)がある地域があるなんて…と、詳しく読んでみたくなり、図書館にて予約。ずいぶん待ちました。誘拐された女性のほとんどが結婚を受け入れざるを得ない事実。しかしその是非については、古くからの背景を、万が一調べ尽くしたとしても到底知ることのできないわたしには意見できかねます。数々の写真に、事実とともに写っている、キルギスの自然や、織物や、人々の美しい衣装がまた、印象的な本です。男性も女性も、子どもたちも、とても凛々しいです。
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見たこともないリアルな表情、二十歳前後での過酷な人生を受け入れて行く女性たち。全てのページに釘付けだった。ただただ運命を受け入れる女性たちの強さに感服した
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この写真集を手にしたからといって安直な発言はできないけれど、でも、誘拐結婚は伝統ではないし、少なくともこんなに乱暴ではなかったと話している老夫婦がいることからも、やはり異常な慣習だと思わざるを得ない…。
誘拐結婚の結果幸せに暮らしている女性もいるとはいえ、それは諦念の末に生み出した幸福ではないのかしら…。恋愛結婚、もしくは幾つかのお見合いを経て結婚したら今より不幸になっていたとは、誰も言えないのでは…。
そして所狭しと室内を飾る伝統模様の色彩の豊かさよ…。
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タイトルからしてインパクトのある写真集である。最初に知ったのは購読している『ナショナル・ジオグラフィック』誌上で、この写真集にも収められている「誘拐されて抵抗する女子大生」をとらえた1枚が胸にドスンと響いた。
「え?なにこれ現代の話?」「そもそも誘拐と結婚て同列に並べていいもの?」いくつもの疑問が脳内をよぎり、ハッとして写真に添えられていたテキストを目で追った。キルギスで伝統とされている結婚様式のひとつであること、現在は現地での法律でも禁止されているが未だに根強く行われていること、誘拐後に結婚を拒否して戻ってこれても、その後汚れた存在として周囲から冷たい目で見られてしまうこと…。
他国の「文化」と関連のある慣習を、その文化圏以外の人間が語ることは難しい。日本人の「刺身」という食文化ひとつとっても、我々の感覚と諸外国の方々とでは想いが異なる。そういった迷いが、写真家である林典子さんからもうかがえた。敢えて、記録に徹しているのだな、という印象も受けた。だからだろう、この誘拐結婚に対して、(本来なら、彼女自身が働く自立した自由な女性であるので、こういった形式には反対の立場なのだろうが、)意識的に多角的な見方をしようと試みていることが分かる。誘拐結婚をして幸せになっている夫婦も取り上げているし、このシステムを賢く利用して、駆け落ち同然で結婚してしまったカップルなども紹介されている。
ただ、やはり、写真を見る限りでは誘拐されてきた女性の瞳はほとんどの場合が虚ろだ。彼女たちのインタビューが多少載っているが、大抵、まだ大学生だったり、1年後に都会へ出て就職する予定があったり、既に恋人がいたりと、自分自身の人生を自分で作っていく途中であったことがうかがえるものばかりだ。そういったものを諦めて、状況を受け入れて花嫁になった者もいる。そのこと自体が絶対的な不幸だとは断言できないが、女性の犠牲の上にこのシステムが成り立っていることは忘れずにいるべきだ。
キルギスの男性の中にも、誘拐結婚に反対の人は多くいる。しかし、学校の教師のような「学がある」と周囲から思われている人であっても、誘拐結婚に手を染めるケースが未だに存在している。更に、林さんのリサーチによれば、このような乱暴な誘拐結婚は決して「伝統」ではないと言う。
生活と文化と時代が複雑に絡み合った「生き方」の一場面の切り取りとして、この写真集は非常に優れている。問題提起という側面も孕んでいるだろうが、写真家本人が一概にそうとも言えないというスタンスを一貫して崩していないので、変にヒステリックな要素もない。そういう地域、人々、現実があるということを、美しい写真とともに知る第一歩となればと思う。
誘拐結婚の写真がメインだが、キルギスの町並みや伝統的な家具デザイン、子供たちの様子など、場所としてのキルギスについて知ることのできる写真もおさめられている。何気なく壁に掛けられた織物の美しさに見惚れる。
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今朝初めて目にした「誘拐結婚」という言葉。昼過ぎに本書を入手し、今読み終えた。女性の人格、意思への配慮が皆無の暴力的な結婚を”慣習だから”と受け入れざるを得ないなんて。かつて自分も同じように連れ去られ、絶望の中結婚したはずの女性たちが、今では 若い女性の説得役になってしまうなんて。
著者の林典子さん自身が、「取材中、自分の立ち位置について何度も考えた。目の前におきている現実に、私は鑑賞すべきなのか」「正解はないと思っている」と言っているのに強く共感する。この事実を知ることができ、良かったと思う。
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帯文:”世界が注目する受賞写真でつづる、衝撃の「慣習」。気鋭のフォトジャーナリスト、林典子が、1ヵ月の追加取材を経て届ける待望の初写真集!” ”中央アジアのキルギスで、仲間を連れた若い男が、嫌がる女性を自宅に連れていき、一族総出で説得し、無理やり結婚させる「誘拐結婚」。”
目次:はじめに、キルギスという国、チョルポン、ファリーダ、ウルス、アイティレック、アイペリ、ディナラ、それぞれの肖像、あとがき、著者プロフィール
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不思議。誘拐という形で無理やり1、2回会ったような男に連れてこられて結婚させられる。数時間泣き叫び抵抗しても、数時間すれば受け入れてしまう彼女たち、そして受け入れるのが「当たり前」もしくは「仕方がない」となってしまっている風習、習慣、価値観。息子が誘拐した女性を説得する息子の母親たちの存在。すべてが不思議だった。
誘拐する男性も、チンピラとか犯罪者ではなく、ごく「普通(何が普通なのかも私の価値観ではあるのだけれども)」の人たちで、優しそうな家族がいる。誘拐された女性の家族も、娘を差し出すパターンもあるし、連れ戻そうとするパターンもある。
法律次第で善悪なんてコロコロ変わるし、何が道理的で、倫理的かどうかなんて、他の国の者が自分の国の価値観に照らし合わせて勝手に善悪をつけることではない、ということもわかる。だから、不思議としか言えない。
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いろいろと異なる価値観の中で生きている人たち。それもやはりいろいろ違って。写真のきれいさがせつない。
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キルギスの誘拐結婚について紹介する写真集。
「誘拐結婚は人権問題で、問題提起のために発表する」のか「慣習としての誘拐結婚を文化紹介として発表するのか」どう伝えるのがベストなのか、著者が悩んだように、読者もこの現実をどう受け止めたらいいのか、簡単には答えが出ない。
20世期に入り、キルギスがソ連の共和国になったことと、馬から自動車に交通手段ご変わったことが、強引な誘拐結婚の増加に寄与しているのではないかという見解は興味深い。
重い現実。