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投稿者:きいろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
元の版も好きな作品なので、どこか変更になった部分があるかと、読んでみました。元の版で私が一番印象に残った一文が見当たらず、記憶違いでなかったら、作者の宗教観が変わったかも知れないと思いました。それは、ギリシャの旅の方。宗教に対してより冷静になってる。
トルコの旅の方は、こんなに大変だったっけ?と思いました。私なら、ギブアップしてる。
実を言えば、私は村上さんの作品は、小説よりエッセイや紀行文の方が好きで(小説は重く感じるときがあるから)、こういうのはあると嬉しいです。
紙の本
辺境の旅
2019/02/13 00:44
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投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
ギリシャ正教の聖地アトス島。狭い島に女人禁制の修道院がひしめく秘境。村上春樹と2人が巡礼の旅に。断崖絶壁で閉ざされた隠者の世界に心惹かれるが、わりとすぐに終わってしまう(島にいるのは上限3日という制約があるので)。後半はトルコのトラキア地方からイースタンブールを経て黒海沿岸、ソ連国境、イラン・イラク国境、シリア国境を経てエーゲ海側に至る。これがパジェロに乗って2人交代で走破したというから凄い。トルコもまたギリシャとはちがった異郷ぶりで、作者は危険な目に遭ったり(クルド人の武装勢力に囲まれたり)、兵士と交流したり、国道24号線でタンクローリーに囲まれたり、白いドレスを着て馬に乗った少女の夢のような光景に見とれたり、地元の親切な人々に感謝したり無視したり、そんな光景が目に浮かぶ。ヴァン猫、チャイハネ。パン。トルコいいなあと思わせられた。時系列も飛ぶし、行ったところを網羅的に書いていないが紀行文としてかなりおもしろい。
紙の本
自分にはできないハードな旅!
2002/10/14 05:14
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投稿者:ローズヒップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ギリシャもトルコも、「こんな旅、自分では絶対できない!」と思ったからなお面白かった。
ギリシャ聖教の聖地アトス半島の修道院巡りの旅。女人禁制だから私なんて足を踏み入れることさえできない。修道院で出されたこの世のものとは思えない青黴パンを齧りながら、村上春樹もよく頑張った!
トルコでも、三菱パジェロに体当たりしてくる野犬をかわしながら、走り続けた。一口にトルコと言っても広い国。筆者は、5つの部分に分かれていると感じたそう。そういう感覚は車の旅だからこそ得られるんだろうな…うーん、うらやましい!
紙の本
リアル・ワールド
2001/06/24 22:58
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投稿者:katu - この投稿者のレビュー一覧を見る
ギリシャ篇とトルコ篇に分かれており、それぞれ「アトス—神様のリアル・ワールド」、「チャイと兵隊と羊—21日間トルコ一周」というタイトルが付いている。
どちらか一方を選べと言われたら、私ならギリシャ篇を選ぶ。
アトス半島というギリシャ正教の聖地にある修道院を巡る旅である。世の中にこんな場所が存在するのか、というくらい世俗からは切り離された世界である。そんなアトス半島の修道院から修道院を基本的には徒歩で渡り歩く。修道院は異教徒の巡礼を認めているので、巡礼に訪れた人たちは食事も出してもらえるし、泊めてももらえる。修道院によって料理やベッドにずいぶん差はあるわけだが。
すべてを終えて著書はこのように書いている。
「たぶんそれは宗教云々というよりは、人の生き方の確信の問題なんだろうと思う。確信ということで言うなら、世界中探してもアトスくらい濃密な確信に満ちた地はちょっと他にないのではないかという気がする。彼らにとっては、それは疑いのない確信に満ちたリアル・ワールドなのだ。」
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村上春樹のギリシャ、トルコ旅行記。トルコが地域ごとにヨーロッパ的なものからアラビア的なものまで文化的な幅があるなんてこれを読むまで知りませんでした。
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東トルコ旅行のお供に持っていた本。時代が違うのであまり旅本としては参考にならなかったけど、東トルコという辺境の地を書いた貴重な本。作者ならではの鋭い視点がおもしろい。
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村上さんのギリシャとトルコの旅行記。でも、いわゆるそんな感じはしなくて、ヒリヒリと読んでいるほうにも緊張感が伝わってきます。旅先で優しくしてくれる人間っていいですね。
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けっこうな冒険紀行文です。私にはできそうにない旅の内容てんこ盛りです。前半はギリシャでの模様が記されています。
旅行に行った気分になれること、うけあい。
小説とはまた違った春樹節も素敵。小説家だよなぁ…と思わせる目線を通して旅をすることができますよ。
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村上春樹の旅行記。ギリシャの寺院、そしてトルコの村々を周った記録。辺境といっても差し支えないだろう場所で生きる人々が何をしているのかが、生き生きと伝わってきていいです。ちょっとおかしくて、所々考えさせられる、そんな旅行記っぽくない旅行記。
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村上春樹の文才は小説以外でも発揮されます。旅先での目の付け所、感じ方を絶妙な文章で記述するので行ってみたくなります。ギリシャに行く予定のある方、是非一読を。
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やはり、村上春樹はうまいなぁ、と思うわけですよ。
ギリシャのアトスでの修道院めぐりとか、過酷でハードなのに、楽しそうに思えるんですよね。文章の力を実感。
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また村上春樹。今にして思うと、トルコが今までの旅の中で一番、「使いみちのない風景」をいっぱいため込んだ場所かもしれない。思い出すことがいろいろある。
同意:トルコのパンはおいしい。→ おいしい。本当に。別の本で読んだが、あるフランス人は、トルコのフランスパン(いわゆるバゲット)は、フランスのそれよりもずっとおいしい、と感激したそうだ。昔ながらの釜で焼くからだろうか。本当に味わい深いパンなのです。
異論:トルコの犬は恐ろしい。→ 私は辺境ではなく観光地にいたからか。私が出会ったトルコの犬たちは皆すごくのんびりとおだやかで幸せそうでしたが。タイの犬は湿気と暑さのせいもあって皮膚病でただれてるは、日中はピクリともせず寝ているのに夜になると目を光らせ、まさに野犬。それからすると考えられないくらいのんびりしているように見えたんだけどなー。 (1999 Dec)
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読書中、アトスの浮世離れっぷりに俗世間を忘れた。普通に旅行記としては面白いけど、村上春樹らしさは希薄かも。
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大体からして、こういう写真とか書画とかを作家が始めたら、『あーあ、終わったな』とか思いません? 芸術家気取りは鶴太郎だけでええっちゅうねん! って感じで。
ところが、この紀行文は読ませる。緻密に書き切ろうという文章ではなく、気になったところを切り取って書きましたって文章なので、写真の風景を自分でも確かめたくなるんですわ。これ読みながらマルボロ吸ってた、懐かしき学生時代。
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いつもと少し違う文章の雰囲気に一瞬春樹じゃないかと思ったけどやっぱり村上春樹でした。p50?〜この音の響き方ばかりは、テープに録音して聞かせてもたぶん伝えられないだろうと思う。それはあらゆる状況を含んだ音だからだ。状況を響かせる音だからだ。アトスの夜の深い闇、沈黙、我々とは違う時間性、満天の星。?p70?僕には宗教のことはよくわからないけれど、親切のことならよくわかる。愛は消えても親切は残る、と言ったのはカート・ヴォネガットだっけ。?p75?かくのごとく、旅においては物事は予定どおりに順調には運ばない。何故なら我々は異郷にいるからである。我々のためではない場所ーそれが異郷である。だからそこにあっては、物事は我々の思惑どおりには展開しない。逆に言えば、物事がとんとんと上手く運ばないのが旅である。上手く運ばないからこそ、我々はいろんな面白いもの、不思議なもの、唖然とするようなものに巡りあえるのである。そして、だからこそ我々は旅をするのである。?p180?〜どちらを選ぶかは、個人の自由である。あまり楽しくない自由だけれど。?p184?〜旅行について何かを書くときには、とにかくなんでもいいから細かいことをすぐにメモすることが肝要なのだ。?p185?〜こんな餓鬼に負けてたまるかと思う。そんなもの存在しないと思えば、存在しないのだ。存在というものは認識を基盤としているのだ。?ね。やっぱり春樹でしょ。でも珍しく影響されなかったな…影響されなかったというのは、ギリシャにもトルコにも行きたくならなかったということ。内容自体はおもしろかったんだけどさ。