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華籐えれなセンセの名作が文庫化。
今読み返すとBL下克上もののお手本そのものです。身分差、監禁陵辱、敬語攻め…!ありとあらゆる萌えが理路整然と盛り込まれています。
そしてゆるぎない愛、というマストアイテムもしっかり。
イラストも旧ノベルスのまんまで嬉しいです。
今のセンセから考えると、かなり乙女向けな作風だったんだな~と思ってしまったんですが、その時代のトレンドとか、編集部の意向とかあったんですね。
男らしくて聡明だけど冷たい態度の冴木と、身体は弱いけど美しくて強気なお姫様の柊一cpが本心を語ることなく、主従逆転してなお意地を張り続ける話。
とてもハラハラさせるのは、お互いに憎しみだけではなくて何かがものすごくダダ漏れてるからです…
ドラマティックで、ロマンティックですてきなんですが、相当BL年季が入った現在ではいろいろ突っ込みたくなるし、もの足りなさも正直感じてしまいます。
裏を返せば、センセの作品にますます磨きがかかってさらに進化している、ということなんですけどね…
でも、やっぱり好きな作品です。シリーズで文庫化していくのなら購入するつもり。
書き下ろしは、入院中の冴木が二十歳の頃を回想して己のドMを自覚するというかなりニヤつく話です。スポンジの話が、何だかかわいいです!
タブレットとかの小道具に今っぽさがあって、時代の流れを感じました。