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トルコ発、マジックリアリズム群像劇。
本国ではオルハン・パムクと並び称される有名な作家らしい。パムクの邦訳は幾つか出ているが、テキンの邦訳は初めてでは?
本作は『トルコ版「百年の孤独」』と言われているようだが、人間の描き方を見るとガルシア=マルケスよりも莫言に近い気がする。特に『白檀の刑』とじっくり比較してみると面白い発見がありそう。
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トルコ版『百年の孤独』といわれる中東文学の代表的傑作。郊外のゴミ処理場に住み着く人々と彼らが創りあげる幻想的でグロテスクな異界の物語を、ノーベル賞作家パムクと並ぶ実力派が描く。
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解説によると、ゴミの山に現れては消えていく登場人物の人種や職業、事件がトルコの20世紀をなぞらえているという。そのあたりは読みながらはっきりと気づかされる印象で、風刺が隠し味におさまりきらない気味が強く、物語を楽しむ上で少々ノイズが大きい気がした。
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産業廃棄物の丘に作られたスラム街のお話。
個人が主人公ではなく、街に住む人々が描かれている。私小説を中心とした作品が多く(私自身がそういったものを好んで読むこともあるが)、思いが語られない分、客観的な説得力がある。
街に産業が持ち込まれ、政治が関わり、新しい人々が流入する変化が、丘に伝わる民謡や叙情詩で時折語られる。
トルコの歴史は知らないが、普遍性を感じる。
最後に解説を読んで納得したが、1984年の作品。しかし、現象は違えど、構造的に似たことが今も起こっているように感じた。