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カール・マルクスの資本論の全3巻を、一番重要な部分だけを取り上げて、全6回にて読んでいく著者の講義を本にされたものです。資本論は難しいし結論も分かりにくものなので、このように全体を俯瞰できるようにまとめてくださったものは有り難かったです。また、それぞれの論点に対する見方も色々と取り上げていただき、資本論の良いところ、悪いところも体系的に身につけることができると思います。
マルクスという人間像も把握したうえで読むというところも資本論への良い近づき方を与えていただいたと思います。資本が良いものなのか、悪いものなのかはともかく、それがどんなものかについては大分整理できるのではないでしょうか。
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資本論の佐藤の講義をまとめた本。読み方、面白さはどこにあるのか?といった部分がなんとなく理解できる。一巻と二巻以降がなぜ文体が違うのか?テキストを読むという事はどういうことなのか?に対する佐藤の読み方の提示として、まあ外務省の噂話の本よりも楽しく読みました。
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「私は、予見される将来、少なくとも私が生きている時代に資本主義システムが崩壊することはないと思っている。それだから、資本主義の暴発をできるだけ抑え、このシステムと上手に付き合っていく必要があると考える。」あとがきより。私もそう思う。そして、どう生きていくかの解答にまた一歩近づけたように思う。この講義録に出会えて良かったです。
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紀伊国屋ビブリオバトルで紹介されていたので読んでみた。資本論の成立事情や全体構成が分かるような解説は参考になる。ただマルクス経済学以外の経済学の扱いが十把一絡げにしていて、この見方に首肯していいのか迷った。
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現在の日本の近代経済学者で一番マルクスを読んでいるのは竹中平蔵さん。
まずは型を覚えてから、それから、その型を崩していく。
哲学はラテン語でやっていたい。ライプニッツを読みたくて、ドイツ語訳した。今は哲学をやるならドイツ語をやる。
コモディティではなくスペシャルになること、つまりマルクスでいうところの熟練労働者になること。
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「文体は思想だ」って佐藤さんが文中で言ってるんですが、資本論の話より合間に出てくる雑談やその語り口の方が面白かったですね。著者の本を読むのはこれが初めてだったので、特に新鮮でした。ロシアや拘置所の実体験に基づく話ってのはやっぱり説得力があります。
いま生きるために…
コモディティにならないようにする。単純な代替可能労働力商品として使われないように、熟練労働者として生きる。
そしてもう一つが、自分の周りで、直接的人間関係の領域、商品経済とは違う領域を作る。
僕の場合、後者が今の課題です。
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私は今まで資本論を2回読んだけれど、よくわからなかった。
私の場合はじめの方が読みやすいと感じてうしろの方になるにしたがってなんだか味気なく計算式もよくわからずもう流しているだけで終わった。はじめの方の理解は柄谷行人の作品で親しみがあったのが大きいのだろう。
佐藤さんによるとうしろの方はエンゲルスの文体らしい。エンゲルスの文体は味気ないということか・・・。マルクスの計算も彼は数学が苦手で四則演算のみで間違いも多いという。
それでなんだか読んでいるうちに感じていた違和感の理由はわかった。資本論第四巻にあたる剰余価値学説史を読んでみたく思った。
資本論を読んでいてよくわからなかったが印象だけは持った。それはマルクスの別の作品でヘーゲル法哲学批判序説というものがあり、そこに宗教の批判という部分がある。
●宗教の批判は、人間が人間にとって最高の存在であるという教えでもって終る。したがって、人間が貶められ、隷属させられ、見捨てられ、蔑視された存在となっているような一切の諸関係 - 畜犬税の提案にさいして、或るフランス人が「あわれな犬よ、おまえたちを人間並みにしようというのだ!」と叫んだ言葉でもっともみごとに描きだされているような諸関係 - をくつがえせという無条件的命令をもって終るのである。●
マルクスの資本論はこういった宗教の批判を根幹にしたものだろうという印象である。無条件的命令とは反省せよということである。そして反省の命令により服従を反省せよといっているややこしい話なのだが至極もっともな話でもある。
佐藤さんのいわれた単純だけれど最も重要なところは労働力の商品化についてだろう。労働力の商品化により全世界は資本主義に支配されてしまった。その支配の現実主義(リアリズム)は今生きていればひしひしと感じるものである。ではどうすればいいのだろうか?マルクスの言う無条件的命令である。反省の無条件的命令と服従することについて反省することである。自らが労働力商品であることを反省しなければならない。そこから形成されるだろう何かこそ人間の理想郷へ続く道である。
人間マルクスについての本も読んでみたい。
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佐藤優さんはものすごく頭のいい人という印象があり、資本論の本が読めるかどうか不安だったが、講義形式だということもあり、非常に読みやすく理解しやすかった。資本論のエッセンスを学びかじることができた。
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下手に経済学部に行くよりもこの1冊を熟読したほうが経済に精通できる。もっと勉強しないと。古典の重要かも分かる。
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佐藤さんは西洋にかぶれることなく、日本人思想家や学者を引き合いに出すので親近感がわく。
本の内容も難解ではあるがシンプルな筋立てであるため、思考の整理がしやすい。
もう一度読み返して深く理解したい内容である。
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佐藤優さんによる「資本論」の解読(ピケティじゃなくてマルクスですよ)。
資本論は様々な読み方があるという前提で、○○派はこう読んでいる、○○派はああ読んでいる、などの考察が面白い。格差や少子化など資本主義の行き詰まり感がある現在、古典の資本論を振り返ると考え方が整理できる。
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全6回、講座参加料1万9千円。佐藤優による、資本論の講義録。読んで損な訳がない。
講義内容の有用性は様々で、資本論的感覚は既に実社会で取り立てて考えなくても染み付いている事が多い。従い、思想の成り立ちや言葉の定義を理解する事は、さして実用的に利する中身とは思わないかも知れない。応用の必要性がなく、せいぜい教養と試験に役に立つ程度、と言い切って良いのではないか。
しかし本著が明確な意思を示し、際立つのは、資本主義の心情的限界とも呼ぼうか、理念的な刷り込みに疑問と気付きを投下してくれる点だ。筆者は、経済を媒介しない直接的人間関係を築く重要性、拝金出世信仰の問題を提起してくれている。そこに、本著を読む価値があった。
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『資本論』の読み方の案内本であり、ブックガイド的でもあり参考にはなるのだが、講義形式で脱線も多く、これを読んでも『資本論』についてはよくわからない(受講生は原典を読んだ上で受講しているのだろうけど)。しかも佐藤氏による解釈でしかない。が、『資本論』に限らず古典には様々な解釈があり、いろんな解釈を比較してみる必要性に気づかされる。時間と場所の制約を受けて2万払う6回の講座が、休日に1300円で読めるのはお得かなとは思う。
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「資本論」というのは何が書いてある本なのかが、(少しかもしれないが)理解できたように思う。
難しい話をしているはずだが、とてもわかりやすい(著者の力と頭のよさによる)。
各章の長さが適量という理由も大きいかもしれない。これは、講座1回分が1章ということとも、もちろん関係しているだろう。
同時に、佐藤さんからあのときに聞いた話、あそこの本で読んだ話は、この論理とつながっていたのか、こういうことだったのか、と気づけた点が多かったのも、この本を読んだ収穫だった。
佐藤優ファンは、この本を読むことで佐藤さんの言っていることがより理解できるようになるように思う。
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資本論を古典、論理の書として読む。商品の価値、労働力、カネ、労働者階級、利子や利潤、直接的人間関係の領域を作れ。
資本論は労働者階級の革命の書、というイメージでしたが、論理の書だとわかった。文系、学者の偉大さを知る。著者の幅広い知識や経験や捉え方もすごい。