二つの顔をもつ魚サクラマス 川に残る‘山女魚’か海に降る’鱒’か。その謎にせまる! みんなのレビュー
- 木曾 克裕 (著), 日本水産学会 (監修)
- 税込価格:1,980円(18pt)
- 出版社:成山堂書店
- 取扱開始日:2014/06/20
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紙の本
一部が一生淡水、一部が海に降り、産卵に戻ってくるのはなぜなのか。
2015/03/20 21:34
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
サクラマスは河川の上流で産卵・孵化し、海に降るものと河川に残るものに分かれる。そして河川に残るものが山女魚と呼ばれる。本書はどのように残留型と海降型に分かれていくのかなどの調査結果を述べたものである。
一生のうちに姿かたちや生息環境を大きく変える生き物は、全体像を捕まえるのが難しい。身近にある生き物の場合には、それぞれの形や場所で別々の呼び名をもらっていることも多い。現地の人が同じものを違う名前で呼んでいたりして、調査する人も大変だったであろう。
同じサケ科で日本近海にくるものだけを比較しても、一生淡水で生活するものから、その逆にほとんどを海で過ごし産卵にだけ河川に戻るものまで広範である。そのような中、サクラマスは「一部が一生淡水、一部が海に降る」という形態をとっているのはどういうことか。進化の問題や生態的なすみわけの問題など、さまざまなことに関わる答えを教えてくれそうな魚として、サクラマスはとても面白い位置の生きものではないだろうか。
本書での降海型の調査は主に三陸沿岸である。記載されているデータは1980年代からのものが多い。あの、2011年直前はどうだったのか、以降はどうなったのだろうか。本書の出版が2014年であるので、そのあたりの調査結果を載せることは難しかったかもしれないが、ぜひ報告をまた読ませてもらいたい。津波による沿岸変化は悲しい結果が多いのだけれども、その経験をできるだけ今後に活かせるよう、地道に調査を続けていただきたいものである。
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