紙の本
序章のみ
2021/08/09 16:20
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投稿者:もんたぐ - この投稿者のレビュー一覧を見る
序章はよく読みましたし、興味深いものでした。あとは経済学を学んでいる方が読んだらおもしろいのかも?と言った内容でした。
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ケインズが1930年に次のような趣旨の小論文を発表した。「技術が進歩するにつれ、単位労働時間のあたりの生産性が増えるので、人々がニーズを満たすために働かねばならない時間はしだいに減り、しまいにはほとんど働かなくててもよくなる。そこで差し迫った金銭的必要性に煩わされない自由をどう使うか、余暇をどのように使うかが問題である」こうした状況が100年以内、つまり2030年までにくるとケインズは考えていたが、現在は当時と比べると少しは労働時間が減っているもほとんど働かないには程遠い状況にある。それはなぜかと人間の欲望とは、幸せとは何かについてついて眠くなるような哲学的考察を行い、環境問題にも言及する。終章でやっと資本主義についての考察となりやや目が覚める。
消費税は浪費的な消費を抑制し、強欲を満たす所得(ひいては労働)を減らすとの考えは新鮮(その発想は無かった)、また、金融イノベーションは無用として金融商品に課税をとの主張は先のリーマンショックを考えると納得感がある。そして、オランダは英国より労働時間が短くて一人当たりの平均所得が多いとか、フォルクスワーゲン社がレイオフを避ける目的で労働時間を切り詰めシフトを小刻みにしたとき生産性が向上したなどの話はとても企業経営を考える意味でもとても興味深い。
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ノーブレス・オブリージュ。徳。昔から言われてきたことで、著者の主張も正しいと思う。
けれど、具体策にするとそれは結局、徳ではなく得をするものでないと、上手くいかないのでは。いくらお金を貯めてもまだまだ心配な私達が、他者のためだけに蓄えを吐き出すか?寄付金控除があるからやるけど…
そして、持ち家の中に大量の不要品を溜め込んでなお安物買いを続ける日本の老人問題に、この本は有効だろうか。
この本の言葉が届く人には不要な本で、この本が必要な人には届かない言葉のような気がする。
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価値の最大化の名のもとに「つねにもっと」と欲望創出を是とする資本主義。量的に限度がある「必要」と異なり、精神的で限界がない「欲望」をベースに置いてしまうと追い立てられるようにいつまでも走り続けなくてはならない。そうではなく、よい暮らし・よい人生を成り立たせるのはどのような要素かを倫理的な側面から論じ、「もう十分」の基準を作ろうと試みている。一人当たりのGDP等の「最大化」を目指す数値ではなく、「足るを知る」にあたって不可欠な7つの基本的価値を提示している。経済成長も大事だけど、それだけが大事ではないというの考えさせてくれる本でした。
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ケインズの予想が外れた理由
1,働くのが楽しい=暇になるのが怖い
2,働かざるをえない
3,もっともっと働きたい=ある種の財の本来的な希少性を求めるため
マルクスは技術投資によって生産性があがることを見落としていた
地位財や少数独占財の存在は金銭欲を募らせる
慣れ、の問題
相対的な裕福度=旧東ドイツは統一後、所得は上がったが幸福度は減った
幸福度調査は幸福をそのものは計測できない
幸福は必ずしも善とは限らない=快楽エンジニアリングに走ることになる
成長に限界はなかった=成長に終焉はないから働くことに終わりはない
1972年「成長の限界」はこなかった
負の外部性(環境汚染など)は、成長の限界を呼び起こす可能性がある
より良い暮らしを形成する7つの要素
足るを知る。良い暮らし、が概念としてなくなった。
基本的価値の選択基準を決める必要がある
1,健康、2,安定、3,尊敬、4,人格又は自己の確立、5,自然との調和、6,友情、7,余暇
この基本的価値は他のものでは埋め合わせられない
経済成長は、他の目的が無くなったから目標に鳴った。
飽くなき欲求に火を付けたのは、成長重視の思想というより市場重視の思想への転換。
部分の合計が全体となっただけ。未熟な個人主義。
ベーシック・インカムには2種類ある。資本の授与と年間所得の保障。
資本の授与のほうが選択肢がある。
ベーシック・インカムは怠惰と浪浪費を促すか。資本の授与は、遺産相続と同じ。余暇の使い方過ごし方、余暇を通じた人生の充実の方法を教えることで、怠惰を防げる。
自由貿易は貧困国にも利益をもたらすとは必ずしも限らない。非効率的であっても製造業は必要。先進国は保護主義によって豊かになった。
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this book,'how much is enough?' alart for the eternal desire. why can't anybody say it's enough? effect of snob, Bandwagon, veblen, underdog? i feel, i'm snob,my (e)utopia is your dystopia.
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著者の問題意識には共感できるが、解決策は実行可能性のないものであると思う。何より西洋人の価値観の押しつけと感じてしまう内容。がっかり。
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ケインズ研究の権威として知られる経済歴史学者。「足るを知る」をテーマに7つの基本的価値(健康、安定、尊敬、人格・自己の確立、自然との調和、友情、余暇)に基づいた社会を提唱している。アリストテレスやヘロドトス、ロックやルソーやアダム・スミス、レイチェル・カーソンやシューマッハーなど、古典から近代までの様々な知識人の知恵が紹介されている。
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ベターな仕組みが生まれないから、資本主義を続けるしかない、というのがまずベースにあり。
際限なく広がり続ける経済が破綻することを考えると恐ろしいが、なかなか足を洗うのが難しいのも事実。
ケインズの時代に『働くのがたのしい』『もっともっと働きたい』という人がでてくるのが想定外だった、というあたりのくだりが面白い。
そういう人間がいるから大多数が迷惑するのはどの分野も一緒なようで…
しかし、『夢中禁止法』『没頭禁止条例』なんてのがある世界もつまらないだろうし…
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豊かな国ではよい暮しの物質的条件は既に整っているのもかかわらず、見境のない成長の追求が、よい暮しを手の届かない彼方へと押しやっている。共同体の指針は人生の善きものが行き渡ることを目的とすべき。
貧欲というより、明日にも転落するかもしれない不安。資本主義が、消費させるために作り出しているのかもしれませんが。
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ケインズは考えた。技術の進歩とともに労働生産性は上がるので、人々は働かなくてもいい。
そんなことはない。技術の進歩とともに忙しさを増している部分がある。
ケインズの予想は違う。時代の前提としている条件も違う。
だけどこの世界で富とは何か、どう定義つけるかで生き方も幸福度は変えられると感じた。
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平均だけを見ても意味はない。分布も見る必要がある。
ABEシンゾーは平均さえ上がれば良いと思っているのだろうが、いずれそのしっぺ返しにやられるはず。
覚悟せよ
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【由来】
・東洋経済
【期待したもの】
・資本主義のブレイク・スルーはどこにあるのか?
【要約】
・ケインズはかつて社会が豊かになったら、労働時間は減ってゆき、所得は再分配され、豊かな社会が到来すると予言したが、それは実現していない。その理由は、目的のための手段が目的化してしまったこと、手段を制御するための規範が変容し、形骸化してしまったことによる。このため、新たな規範(目的)に準拠し、それを可能にする政策を進めていく必要がある。
【ノート】
・ニーモシネ
・ かつてケインズは、経済活動の発展と共に富は社会に行き渡り、労働時間は短縮し、豊かな生き方に時間を使える社会が到来すると予言した。しかし、現実ではそうなっていないのはなぜか。著者らは、ケインズすら暗黙のうちに認めた、「一定のラインに到達するまでは金儲け主義でもいい」というパラダイム(「ファウストの取引」)が変質して目的化したことを理由に挙げる。これは、欲望、貪欲にも通じる。
また、「幸福」という概念が曖昧模糊としており、豊かな生き方の基準たり得ないことも論証してみせる(あんまり論証された感がないけど)。そして「7つの基本的価値」が、その基準たり得ると主張する。いわく、1.健康、2.安定、3.尊敬、4.人格または自己確立、5.自然との調和、6.友情、7.余暇。
また、それを実現するための政策として、ベーシック・インカム制度の実現と、広告が欲望を刺激するため広告税を導入することを提案している。
・著者はケインズ研究で有名らしいのだが、本書では、かつての資本主義が持ち合わせていた道徳感や倫理、そして「幸福」という概念についての検証を行っているため、古代ギリシャから現代のドイツ哲学まで議論の流れも視野に入れている。しかし、近現代以降の哲学に関する言及は付け焼き刃感が拭えないというのが率直な感想。また、文明批判のレトリックが、すこぶるアドルノを思わせるものだったこともあり、少しチグハグな印象を感じた。
・結局、これまでの「科学的」な態度では資本主義の肥大化・暴走を制御することはできないから、エイヤ!で、規範を立てましょうということか。「7つの基本的価値」について、「この種のリストはそもそも正確にはなり得ないものであり、誠実な不正確のほうが、偽りの正確性を追い求めるよりよいと信じる(P220)」との記述があるが、これは、従来の議論の作法では行き詰まってしまうから、その路線は採りませんという開き直りの表明だろう。言ってみれば、この開き直りに説得力を持たせるために、約200ページを割いて、これまでの経済学、社会学、哲学の議論を、検討してはダメ出し、ということをやってきたと言える。
・そんなわけだから、近代科学のパラダイムを脱構築しようとする力強い宣言の書と取ることもできるが、経済学の意匠をまとった「あいだみつを」と取ることもできる。
・ なお、「金だけは『これだけあれば十分』というのがない」というのが最初に提示されるテーゼなのだが、これは佐藤優も、色々な著作で述べている。例えば「人に強くなる極意(青春新書)」で「いくらあっても満足が得られないのがお金の本質(P144)」と言い、「資本主義がそのエゴをむき出しにしてくる(P153)」と記しているし、資本論を解題しながらもう少し丁寧に議論しているのが「はじめてのマルクス」だ。
・それにしても「強欲」などと言われてしまうと仮面ライダーオーズを思い出さないわけにはいかない。この連関については、いずれまた記したいと思う。
【目次】
第1章 ケインズの誤算
ケインズの予言の結末
平均の幻想
なぜケインズの予想は外れたのか
・働くのが楽しい
・働かざるを得ない
・もっともっと働きたい
第2章 ファウストの取引
ユートピアという発想、夢から歴史へ
経済学者〜強欲から自己利益へ
文学における比喩としてのファウスト
カール・マルクスの外れた黙示録
報復の失敗〜マルクスからマルクーゼへ
第3章 富とは-東西の思想を訪ねて
ヨーロッパとアジアの経済観
よい暮らしという観念の消滅
第4章 幸福という幻想
幸福感の歴史
幸福経済学
幸福経済学の誤り
・幸福度調査の問題点
・倫理的な問題点
第5章 成長の限界
成長の限界
環境保護主義の倫理的ルーツ
自然との調和
第6章 よい暮らしを形成する七つの要素
基本的価値の選択基準
七つの基本的価値
1.健康
2.安定
3.尊敬
4.人格または自己の確立
5.自然との調和
6.友情
7.余暇
基本的価値の実現
第7章 終わりなき競争からの脱却
徳への回帰
基本的価値を実現するための社会政策
ベーシック・インカム
消費に駆り立てる圧力を減らす
広告を減らす
富裕国と貧困国
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必要なのは、一本の葡萄酒と死の本。
ほんの少しの肉。
そして誰もいないところで二人で座っている私たちは、
スルタンの王国よりも豊かだ。
‐ウマル・ハイヤーム
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人間のよい暮らしにとって、経済成長は必須ではないよね、という話。
今の世の中は、経済成長が各人のよい暮らしに先立つ目的となってしまっていることで、よい暮らしの形成を妨げられてしまっているけれど、それが当たり前になったのはたかが50年前くらいの話、とのこと。
あまりにも私達の頭は成長を目的としすぎているな、と痛感した。
この本を読むのは、私にとっては余暇となったと思う。