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投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今NHKの朝ドラは『マッサン』、
日本で初めて「本物」のウィスキーを作った竹鶴政孝と
そのスコットランド人の妻をモデルにしたものである。
妻役の女優の熱演もあってなかなかの人気らしい。
ドラマはあまり見ないのだが、
実話に基づくものに興味を持って、元になった伝記の類を読んでみることがある。
今回はドラマそのものより本当の話を知りたいと、探して読み出したのがこの本だった。
竹鶴政孝はウィスキー好きには気になる人物だろう。
明治の半ば過ぎに広島の造り酒屋に生まれながら、
スコットランドに単身わたってウィスキーの本場の技術を学び、
サントリーを経てニッカウィスキーを創業、
日本のウィスキーの始祖ともいうべき人物である。
本書はその竹鶴の人生を、ニッカウィスキーの本拠地である余市はもちろん、
スコットランドまで足を運んで丹念に取材し、小説にまとめたものである。
読者の感じ方もあるだろうが、小説という形式は私にはとても読みやすかった。
ウィスキー好きと言っても私自身はスコッチのファンで、
日本のものはそのレベルの高さは認めながらもあまり飲むことはない。
それでもこの人物、只者ではないのは誰の目にも明らかだし、
人間としての興味が尽きない。
この時代にひとりスコットランドで修行したのもすごいが、
日本酒の家に生まれながらあえて日本でウィスキーをつくろうとしたのもすごい。
この時代にスコットランドから妻となる女性を連れ帰ったのもすごい。
そして一緒に海をわたって日本人として生涯を全うした奥さんもすごい。
ドラマと比べると、とくに竹鶴の人柄はだいぶ違った印象である。
ドラマの主人公は、一生懸命ではあるが、不器用でフラフラしていかにも頼りない。
それもまあもっともで、あのドラマは様々な困難を、
わりと普通の人々ががんばって乗り越えていくというのがテーマなのだろう。
しかしここの竹鶴は太い。
毎日欠かさずウィスキー1本を空けていたという酒豪でもあり、
そのイメージに相応しい骨太な人物なのだ。
もちろん困難はいくらでもあるが、それに正面から立ち向かう気骨は大変なものだ。
やはりこうした並外れたものがないと新しいことはできないということだろう。
先日たまたま本屋に行ったら、『マッサン』をめぐる本がたくさん並んでいて驚いた。
しかし見てみるとほとんどが最近出された本である。
古い本があらためて出版されたのもあるようだが、
要するにドラマ人気にあやかろうということだろう。
それを悪く言うつもりはない。
出版社にすればふつうの販売戦略だろうからだ。
未読なので何とも言えないが、当然いい本もあることだろう。
だが1982年、ドラマになる30年以上も前に書かれた本書には、
それなりの存在感があるのは確かだろうと思う。
著者はおそらくは純粋にこの竹鶴政孝という男とその生き様に惹かれて本書を書いたのだろうし、
その共感と描かれた男の熱さはしっかりと伝わってくる。
今やサントリーの「山崎」はコンクールで優勝し世界一の称号を手にするに至った。
ニッカの「余市」も、まさに日本人ならではの繊細この上ない味でいささかも引けをとらない。
これらに関わった竹鶴政孝の人生を思い浮かべつつ飲めば、
今夜のウィスキーもまたその味わいを増すというものである。
紙の本
魅力的な人物
2019/07/05 14:08
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ヒゲのウヰスキー誕生す』(川又一英)は、NHKのドラマ「マッサン」の主人公を描いた本です。
ドラマではマッサンは亀山政春という名前ですが、実際は竹鶴政孝という人で、妻はエリーではなくリタでしたが、マッサンという呼び方はほんとうにしていたようです。
それはともかく、この本に書かれているマッサンは優秀で粘り強く、発想は自由で、魅力的な人物です。
ドラマを見ながら読むと、なかなか面白い。
ドラマはこの本の通りではありませんが。
それと、わが西宮にはマッサンが作ったニッカウイスキーの工場があります。
だからこのドラマは、私には地元企業のお話ですね。
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主人公竹鶴政孝のキャラも良いけど、奥さんのリタがイイねぇ。「夕方は何時に帰るのか。夕食は家で食べるのか食べないのか。それをはっきり告げるのが男の礼儀ではありませんか。」日本のウイスキーの誕生やその作り方、竹鶴政孝の偉業は勿論だけれど、何と言っても登場人物の人となりや個々のエピソードが面白い。
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本書は1980年代に出た本の文庫化であるが、輝きは損なわれていない!旧き善き職人という風情も残す、決して妥協をしない、余市では“名物おじさん”的に親しまれたらしい竹鶴氏とリタさんの物語…非常に面白い!!
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今秋のNHK朝ドラ「マッサン」の主人公、竹鶴政孝・リタ夫妻を描いた作品です。
竹鶴は大正時代に英国へウイスキー作りを学ぶ為に渡り、双方の家族から大反対を受けながら英国人のリタと結婚。そして日本に帰国後、一からウイスキー作りを始めます。戦中、戦後と時代の荒波をくぐり抜けながらウイスキー作りにひたむきに情熱を傾ける政孝の姿は熱く、キラキラしています。こんな人を生涯支えた奥さんのリタをほんま尊敬するわ。
政孝が最初にウイスキーを作ったのはサントリーだったり(サントリー山崎工場の基礎を作ったのも政孝!)、その後立ち上げたニッカウイスキーが思ってたよりも早い時期にアサヒビールの傘下に入ってたりと、現代の大手酒造メーカーとの関係も色々あって面白かったです。
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ニッカの竹鶴政孝とリタ夫人の生涯。
ものづくりとは愛ですね。長い時を耐え、努力し、ともに生きる愛! すごい。
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日本のウイスキー史、サントリーとニッカの因縁、ニッカの由来等、興味深く読みました。
それに加えて、竹鶴政孝とその妻リタさんの絆を描かれているので、頭の中に鮮やかに竹鶴政孝の動く姿が浮かび上がります。
ふと気付けば私も父と同じウイスキー党になっていましたが、父にこの本とニッカの“竹鶴”をプレゼントしようかな。
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NHK連続ドラマにあわせた文庫化に乗せられて読了。ニッカの創業者である竹鶴政孝の一代記。変人といわれたそうだが、確かに頑固者だったようである。とにかく〝模造品〟は作らないということで、ウイスキーはかくあるべしにこだわった。奥様のリタもその点はなかなかのもの。ドラマでもそこらへんが描かれるのでは。
スコットランドから帰国後、留学に出してくれた酒造会社がウイスキーを作る経営的体力がなくて、今のサントリーへ入社。竹鶴が気候的にスコットランドに近い北海道に蒸留所を、と考えたのに、サントリーの鳥井社長が「蒸留所は人が見学にこれるようなところじゃないと」と大阪を中心に探させたという話は両者の哲学の違いを感じさせる。その後、竹鶴はニッカを興し、北海道は余市でウイスキーを作り、山崎はサントリーの定番となる。
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日本で本物のウイスキーをつくった竹鶴政孝氏の物語。
日本における洋酒の歴史にも触れることができる。
スコットランドで出会い結婚をした「リタ」の心情にももう少し触れたいと思った。
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日本で初めてウィスキーを作った男、竹鶴政孝氏とリタ夫人の生涯。
小樽商大の先生に勧められて文庫本を購入。余市のニッカの蒸留所のスタンプを押していい気になっていたのだけど、帰りの飛行機で忘れてしまい、これは二冊目><
小樽で学んだアントレプレナーシップと余市蒸留所の風景を思い出し、胸にジンときた。
竹鶴氏は戦後の企業家としてもっと評価されていい。
朝ドラがそのきっかけになればと思う。
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竹鶴政孝の伝記。日本のウヰスキーをつくった男。竹原出身。スコットランド留学中にリタさんと結婚。今度の朝の連続ドラマ「まっさん」の原作?本格ウヰスキーを作るまで順調だったわけではない。どんな伝記もそうだけど,何かしようとするときに困難は起きること,その困難に対してどうアプローチし真摯に向き合うか,そして結果が望む物でなくても打ちのめされずに次に行くこと,その望まない結果が巡り巡って次のチャンスを成功に導くこと,これらの要素が含まれる。人生の原理なのか。
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図書館で借りた時は、『非売品』となっていた。
アサヒビールが、記録として配布してた?
それが、朝ドラになったので、販売するようになった?
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H26年9月29日から始まった朝の連続テレビ小説「マッサン」の原作の文庫版。国産ウイスキーの夢を追い求める竹鶴政孝(ニッカウヰスキー創業者)のウイスキーにかける情熱と夫婦の絆を描く作品。
ウイスキーととても呼べないような粗悪な国産ウイスキーが出回っていた時代を経て、今やジャパニーズ・ウイスキーは世界でも評価が高くなっている。しかし現在に至るまでには相当の苦労があった。ニッカウイスキー創業者竹鶴政孝とそれを支援した人たちがいなければ現在ウイスキーはこれほど日本に浸透していなかったかもしれない。何かを新たに始めようとするものは批判される。それを乗り越え何かを成し遂げることの難しさは言うまでもない。これからはウイスキー片手にテレビ小説「マッサン」を見ながら再び竹鶴政孝さんと夫人リタさんの人生を味わっていきたい。
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リタさんとまっさんの外国人同士でも重なる真摯な心や真面目さや豪快なチャレンジが読めた
こんなにこだわって作ってるウィスキー、日本初のウィスキー、他社のが偽物に思えてきた
まっさんの作品をハイボールでなく味わいたい
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竹鶴政孝の本物への拘り。
武士は食わねど高楊枝?
日本男児の本懐ですね。
ご実家で愛を受け、会社で夢が芽生え、2人で道を切り開いていく力強い物語り。
この本は、政孝氏のご家族への愛、ウィスキーへの愛、リタ夫人への愛、愛が沢山詰まった物語りだと思う。
日本人であることが嬉しくなる本だった。