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深海生物の本はずいぶんたくさん出ている。キモチワリー、スゲー、という怖いもの見たさ的な本が多い。でも本書は違う。ぜんぜん違う。
もちろん深海生物は出てくる。ダイオウグソクムシも、もちろん出てくる。けれど、それが主ではない。
むしろ、深海というブルーオーシャン(って、書くとおかしな想像が生まれそうなので、書いてみたかったが、深海生物自体はそれほど儲からないらしい)を通じたビジネス本なのである。
この水族館には行ったことがあるし、著者の他の本も読んでいたから、おおむね予想をしていたので裏切られた感じはない。(表紙にもあるメンダコは、ちょうど展示されてなくて、見られなかったんだ。そっちのほうが残念)
生き物を商売にすることへの葛藤を持つ人や、それを批判する人も多いだろう。僕にもそんな気持ちがないわけではなかった。けれど、そのことについても正面から答えている。
まさかこのメンダコの表紙の本で、そこまで読めるとは思わなかった。一方で、リュウグウノツカイは食べたらかなりまずかった、というようなネタも含まれている。あえて扱いが大きくないが、スゲーという写真も、ある。
というわけで、一冊で何度かおいしい本だった。