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精神疾患を抱える人と話をすることがあるので、心構えとして知っておくべきかと手にしてみた。
やはり最も自殺の要因となり易いのはうつ病らしい。もちろん、専門家の治療が必要なのは言うまでもない。だが、本当に苦しんでいる時は病院に行くことそのものが難しい。だからこそいのちの電話などのホットラインや、身近な人の関わりが大切になってくる。
心底意外だったのは、自殺を考えていそうな人には、はっきり「死にたいと思っていますか」と聞いた方がいいということ。死にたいという気持ちを口にできるほうが、心の内をはき出すきっかけになり、そこから救われることがあるのだそうだ。
素人考えでは、下手に「死ぬ」という言葉を出して、かえってその引き金を引いてしまいそうに思えるがそうではないらしい。
死にたいと思うほど辛い、という気持ちを汲んであげることが最も大切で、死んではいけないとか、生きていればいいこともあるとか、説教じみた言葉や確証のない曖昧な慰めは、自分を否定されたという印象を与えるだけで禁句なのだという。
自殺防止目的にしろ、カウンセリングにしろ、人格形成途中の子供にしろ、相手の心に寄り添う基本は全く同じ。
まずは気持ちを受け止めて認める、受容する。
そうやって信頼関係ができ心の土台ができて初めて、次へのステップが踏み出せる。
人の心はかくも繊細で、そしてたくましい。